会長
44話
急に新入会員が増えた。
「妖怪映画が好きな、小森ひろ子です」
「泣ける映画しか、観ません。波田涼だ。よろしく」
「アニメ映画ファンの金田駿です。実写映画も観ますよ」
ああ〜。変なのがこないようにと、サークル名をかたそうな「キネマの休日」としたのに。
また、あぶなそうなのばかり、なんでだろう。
まあ、人のことは言えないけど、わたし。
☆ ☆
「わたし、また大変なコトに気づいちゃいました」
「今度はナニ? ヨーコ」
「ウチのサークル、会長が居ません」
「そーだね」
「めんどぉだからぁ居なくてもイイわよ」
「鎌田さん、ナニかあったときには居たほうが」
「ナニかって、ナニ? りんちゃん」
「ですよねぇ。居ないより居たほうが、よくありません」
「百鬼夜行さんに賛成!」
「じゃ、決めましょ。宝田さん、やりませんか」
「学生時代で、こりました。いろいろあって。平会員の方が気楽」
「めんどぉだからくじ引きで決めれば、当たっても文句言わないと、どーせ名前だけでしょ」
「いい加減ですね鎌田さん」
「そうね、なんかあったらみんなで解決しましょ。くじ引きでイイですか?」
というコトで、最年少のボクが。
「はい、『キネマの休日』会長は、有楽進之介くんに決定!」
「ホントにボクでいいんですか……」
☆ ☆
「なんか、しっかかるんだよねぇ有楽進之介くん」
「どうしたの、アキ。彼が会長なのが不満なの?」
「違うのよ、わたしが中学の時に居た映画部にも有楽という後輩がいたのよ。親戚かな……。そう有る姓じゃないわよね有楽って」
「そうね、聞いてみたら」
「有楽くん、お兄さんとか居る? わたしの後輩に有楽という姓の男子が」
「え、姉はいますけど、兄は、いません。有楽かぁ親戚かな? 父は四人兄弟だし」
「そうなんだ。彼ねぇわたしにブルース・リーの映画を教えてくれたの」
「なる、ソレは有楽太郎という……」
「そう、有楽太郎くん!」
「その人、ボクの叔父です」
☆ ☆
有楽総士郎邸。
「なに、会長になった……」
「くじ引きだけどね」
「進之介、僕をその映画サークルに入れてくれ! いや、入る。そしたらオマエ、会長やめろ!」
「はぁ〜。オヤジ、ナニ言ってんの?」
「オマエは勉強が大変だから会長を出来ないと。代わりに父がと……」
あんた、ナニ言ってんだ。
☆ ☆
『カフェ・ケム〜ル』
「と、言うことで息子は会長を辞退したいと……。で、代わりに」
「あ、わざわざどーもです。お父さん。あたしたちもくじ引きで会長を背負わせちゃて……」
「わたしがやってもと、ミドリに言ったら」
「ウチの親戚の子が映画好きで、会長もやりたいなんて言うので入会したのよね。で、彼女に」
「寿久鈴です、はじめまして。まだ小六ですけど会長がんばります!」
コレはなんだ。
この子は、あの娘似だが。
あとで、ただの空似と判明。オヤジのトラウマが、おこした幻想か?
オヤジは、ただの平会員で入会した。
☆ ☆
某居酒屋の個室。
「クイズだ。いいか?」
「雷田さん、洋画モンスターのクイズなんて、わかりませんよぉ」
「大丈夫だ、選ぶだけだから」
クイズ、実際にない映画はどれ?
『妖怪巨大グラビアクイーンの逆襲』
『宇宙からのツタンカーメン』
『モグラ人間』
『ヒル女』
「『ヒル女』かなぁ」
「あまいなヨーコ、ありそうでない『モグラ人間』よ」
「さすが、ミドリさん。そうかも」
「あ〜私は『空の大怪獣Q』だと。鎌田ナオミがいう」
「オバさん、ソレは言ってんねーし。ソレにマニアには有名な作品だよ」
「ソレは『ウルトラQ』の映画ですか鎌田さん」
「いや、ソレは洋画だ東ちゃん。知ってるヤツは知ってるモンスター映画だ」
「答えは、前作存在します! だよね。雷田さん。そういうクイズは、嫌われますわよ」
「おお、コレはお嬢様。正解だ」
「雷田さん、ホントダメですよぉ。そーゆーの。でも『ヒル女』、観てみたいわ」
☆ ☆
個室の別の席で。
「波田さんの泣ける映画って? あ、宝田明です」
「どーも、よろしく宝田さん。まあ古いのだと『チャンプ』とか、スポーツ物に弱いんだよね俺。『ロッキー』のエイドリア〜ンでも泣ける。スポーツじゃなく活劇だけど『ドラゴンへの道』もいいなぁ」
「『ドラゴンへの道』って、ブルース・リーの。アレで泣けるんですか?」
「あの作品はね、ブルース・リーの最初で最後の監督作品でね、そのブルース・リー全開のハジけた作品に感動してね……。泣けるんだ」
「あんた、わかってるじゃん! 私は香港でスタントマンやってた塩見理恵、レディ・リーと呼んで」
つづく




