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同趣の人

43話


 『カフェ・ケム〜ル』にて。


「年に映画を三百本も観るのに、劇場には年に十二、三回なんですか」


「ええ、宝田さん。観たい新作が月に一作、あるかないかでね。あとは、ホームシアターで、好きな作品を観た方がいいの。ウチのホームシアターは、その辺のミニシアター並みのスクリーンだから、フィルム上映も出来るのよ。ウチのセバスチャンは映写技師の資格を持ってるの」


「古い映画とか、観てるのね。で、ナニを観てるのかしら?」


「はい、鎌田様。お嬢様は青春物がお好きで、昔のアイドルとか、たのきんトリオの作品など。お嬢様は少年隊の『19』とか特に好きでもう何度も……」

「セバスチャン、余計な事は言わない!」


「シルビアさんって、若そうだけど私と同世代かしら」 


「お嬢様は昭和……」

「セバスチャン、クビにするわよ!」


   ☆ ☆


「う〜ん」

「仕方ないですよ仕事なんですから」

「ああ、そうよね仕事だから……」


「残念です。でも……」

「ファンじゃないけど、この人気俳優と顔合わすのが、こんなトコとは」


「ボクもファンでは、ないんですけどね。まさかご遺体と事故現場でとは……」


 時々ある有名俳優の事故でのご対面。


   ☆ ☆


「あのぉ映画サークル『キネマの休日』って」


「いらっしゃいませ、そうですよ。もしかして雷田成らいだせいさんですか?」


「あぁ姓は雷田、名は成の雷田です」



「モンスター映画が好きなんですか、雷田さんはどんな怪獣が好きなんですか、ゴジラとかマンダとか?」


「オレねぇ怪獣は、はじめの初代の『ゴジラ』しか観てねぇんだ。洋物のモンスター映画専門。『トレマーズ』シリーズが好きでね」


「あ、なるほど。で、怪獣じゃなくてモンスターね」


「悪いねぇ。おねえさん、答えられなくてへへへっ」



 また変な趣味の映画オタクだわ。なんでまともな映画ファンの人が、入らないのかしら。やっぱりやめようかなぁ


   ☆ ☆


「特撮ヒーロー物とかからの人気若手俳優増えたわよね」


「そうですね、ライダーとか戦隊モノとかから」


 少しは、話せそうな話題だわ。

 特撮映画好きの実相寺さんらしいわ。

 昔だって、そういう俳優さん多いわよね。


「志尊淳とか、佐藤健……金子昇はマイナーかなぁ。昔はそういう子供向け番組演ってたの隠してたり言わなかったのにね」


「あ、北川景子もセーラームーンの実写に出てましたよね」


「あのさ、日本のヒーロー物とかは若手俳優の登竜門的なトコあるけど、海外のヒーローってあまり若くないベテランの俳優がやるよね。スパイダーマンとかは若いけど……」

「あのね、りんちゃん。海外のヒーローって昔からのヒーローばかりだから、みんないい歳してんのよ。バットマンとか、スーパーマン。オジさんばかりでしょ」

「鎌田さん、世界大戦あたりから活躍してるのもいますよね」


「ホント、普通の人間ならみんな老人だわ」


   ☆ ☆


「実相寺さんや東さんて、邦画の古い映画観るんですよね」


「ええ、まあ……」

「わたしはゴジラばかりだけどね、ミドリさんは……」


「シルビアさんって、怪獣映画とかは?」

「怪獣はあまり……。『マタンゴ』とか、『ガス人間』みたいなのは。実相寺さんは、おずとかは?」


「おずねぇ〜嫌いじゃないけど。やっぱりアレってさぁ主題歌よね。あたし好きなのよね」


 主題歌? なんだろう。


「なにかしら? ピンとこないわ小津映画の主題歌、有名なのあったかしら?」


「え、知らないの? オーバー・ザ・レインボー」


 あ、オズかぁ


   ☆ ☆


「間宮さんは、昔のヒーロードラマとか観てたんですか?」

「まあ、恥ずかしながら今も……。ははは」

「私も好きなんですヒーロードラマ。もう小さい頃からずっと」

「え、佐藤さんも今でも」


 はじめて、サークル内に好きな作品が一緒の人が。やめないで良かったかも。


「ここだけの話。ボク、映画より特撮ドラマが好きなんです。佐藤さんが言っていた北川景子が出てたセーラームーンをレンタルして観ましたよ」


「もしかして後楽園ゆうえんちのライブショーとかは……」

「姪や甥を連れて何度か」

「私も弟や妹と何回も!」

「はははは、そうですか。今度、一緒にどうです?」

「イイですね」


 同じ趣味の異性を見つけるのは意外と難しい。特に男のボクには。


              つづく     

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