カフェ・ケム〜ル
41話
「ここが『カフェ・ケム〜ル』か」
「いらっしゃいませ」
「あのぉ……ココに実相寺緑さんて方が……」
「あたしです。もしかして完能山さんですか?」
「はあ完能山誠です」
「あたしが実相寺緑です、ここで働いてます。カンウンターの方に」
「ナニか、あ、こちらが勝手にお呼びしたんでナニも頼まなくてもイイですよ」
「ウィンナーコーヒーある?」
「はい」
「あ……映画サークルなんだけど、オジさん60で、シャロン・ケリーのファンなんだけど入会できるのかなぁ?」
「問題ないですよ、ウチは年齢不問ですし、誰を好きでも個人の趣味ですから」
シャロン・ケリーって誰? 洋画はあまり観ないからなぁ。
「そちらさんさえ良ければ誰でも入会は可能です。ちなみにあたしは『海底軍艦』が大好きです」
「あなたの様な若い娘さんが海底……」
「最近多いんですよ若い娘で好きな人」
そうなんだ『海底強姦』知ってるの若い娘が。
「ソレは良い趣味であの潜水艦は優れもんだ」
潜水艦にバイブが付いてるなんて発想が面白い。
「私ね、あの監督好きでね。え〜と」
中野なんとか。
「本多猪四郎!」
「あ、元ネタか」
「え?」
「別の作品と勘違いを……」
若い娘の前で恥をかくとこだった。
海底強姦はないだろう。
「『惑星大戦争』とか? 『ゴジラファイナルウォーズ』かしら……」
「あ、だね……」
☆ ☆
ある夜の『カフェ・ケム〜ル』。
「間宮さん、モスラの卵知ってますよね?」
「ええデカいやつでしよ蛾の怪獣なのに鳥の卵みたいな」
「そうです。わたし、東は子どもの頃から気になってたの。あの巨大な卵で何人前のオムレツ作れるかと」
「虫の卵ですよね……。オムレツっつーか、卵焼き出来るんですか?」
うっ、想像したくないな。虫の卵を食べるという発想は、ボクにはない。
想像したら気持ち悪くなった。
☆ ☆
土曜日の夜の『カフェ・ケム〜ル』
土曜日の夜はサークルで貸し切りと聞いたので顔を出した。
思ったより若い娘ばかりだ。
向こうには騎兵隊の帽子をかぶった大柄の中年が。その近くにはぽっちゃりとした私くらいのオバさんも。
「もしかして、最近入った方?」
「ええ、完能山です」
「私、宝田です。よろしく」
「完能山さんはどんな映画がお好きなんですか」
「マイナーですよ。『クロエ』とか『ラブ&ドラッグ』あ、古いから知らないでしょ……。最近DVDで観た『ピラニア』は面白かったな」
「『ピラニア』はジョー・ダンテの方ですか?」
「あそこまで古くない、3Dの。アレは劇場で3Dで観たかったな」
「あ、わたしもDVDで観ました。学生の頃、アレってエログロ3Dでしたよね。そういうの好きなんですね」
「あ……。たまたまね、観たら面白かったのね。コメディぽくって迫力もあってね。たしかにグロいシーンも。まあセクシーなビキニのお嬢さんたちも嫌いじゃないよ」
ホントは大好きなんだが、下ネタも。
「まあイイんじゃないですか映画観て楽しめるのは、わたしもスカッとしたのが好きです!」
「あ、宝田さん。シャロンケリーって知ってる?」
「知らないわ? 何に出てる人実相寺さん」
「あ、完能山さんが好きな女優さん」
「あっ昔の女優だからね……」
昔のポルノ映画の女優とか、言えない。
でも、最近は洋画のポルノ映画ってないなぁ。
☆ ☆
銀座の歌舞伎座近く。
「歌舞伎ですか、百鬼夜行さん」
「あら、また……間宮林蔵」
「わざとですか、林蔵って。隼志です」
「林蔵の方か、言いやすいので……。ホント〜にストーカーじゃないんですよね」
「ホント〜に、違います」
「あの、平日によく会いますけど、間宮さんって、どんな仕事を?」
「あ……。百鬼夜行さんだから言いますけどね。秘密にして下さいよ。ボクは実は……」
「ためますね……。風俗のスカウトとかじゃ?」
「違います。ボクは地球防衛軍所属のウルトラ警備隊員なんです。秘密だよ」
あながち遠くもないよな。ウソだけど。
つづく




