百鬼夜行愛
37話
あれから数年後からはじまります。新たな映画サークルの物語。
ボクは、警視庁で刑事をしている間宮隼志。
ハヤシという変な名前だが、ホントかウソか知らないが間宮林蔵の子孫だからと祖父がつけた名だ。
本当は林蔵とつけたかったが父や母が林蔵は古いしジジくさいと、隼に志でハヤシと。
別の話では父がハヤシライスが好物で、そこからつけたとか、ありえない説もあるが、定かではない。
「おそくなったわね、ゴメンネ。りんちゃん」
ボクの相棒で先輩刑事の女性は鎌田ナオミさんだ、五十代はじめというがホントの歳は知らない。独身だとか。見た目は普通のぽっちゃりオバさんで、刑事には見えない。
彼女は間宮林蔵から、ボクをりんちゃんと呼ぶ。が、ボクは林蔵ではない。
昼休みで分かれたが、いつも決めた場所に、約束の時間には現れないのは困ったもんだ。
「どうしたんです、一時間もオーバーしてますよ。何処でお昼を?」
「友人がね同人誌の即売会に出ててね、見に行ってたのよ」
こういう人だ。
多分、自分の本を売ってたんだろう。
彼女は特撮映画の同人誌を作って、友人に委託しながらも自分で売ってる強者だ。
☆ ☆
日比谷で、聞かれた。
「すみません、この辺にゴジラの像があると。日比谷駅の近くとか」
茶髪のセミロングで下縁だけあるアニメとかでよく見るメガネをかけた可愛い娘だ。
ボクのモロ好み。
「待ち合わせなんですけど、ドコに日比谷駅があるのかもわからなくて……」
「お嬢さん、日比谷駅は地下よ。ソレにゴジラは、ホラあなたの後に」
つい、彼女がタイプで見惚れてたら鎌田さんが。
「あの……アレってシン・ゴジラですよね。待ち合わせはゴジラと、平成ゴジラの像ってありませんでしたっけ?」
え、ナニ。この娘、ゴジラマニア?
「あのね、日比谷のゴジラは、今はアレなのよ。その辺に待ち合わせの友だち、居ないの?」
「実はネット友だちなんで顔知らないんです」
それから半日待ったが、ソレらしい人は、現れなかった。
会ってはいけない相手だったのかも。
☆ ☆
たまたま、アキバで仕事中に。
駅前で、日比谷に居た彼女が、ビラ配りのメイドさんとナニか話してる。
「キミ、偶然だね……」
「あなたは、日比谷で……」
「メイドさんとナニかあったの?」
「あの、メイドさんと写真撮ろうとしたら怒られました」
「あの娘たちはね、写真撮影も仕事に入ってるから無料じゃ撮らせてくれないよ。撮ってからお金払えとか言われなくて良かったじゃないか」
「なんか、テレビで見た外国の観光地みたいですね、日本は先に断るから親切です」
「キミは、東京なれしてないみたいだけどドコから来たの?」
「群馬の田舎者です!」
「いや、ボクも千葉の田舎出身だから……。ねえ
よかったら名前教えてくれるかな、ナニかの縁かも。ボクの名は間宮隼志だけど」
「わたしは百鬼夜行愛ですけど……」
ひゃくきやこう・あい なんか怖い名だな。
☆ ☆
「あら、りんちゃんおはよう」
同じ課の諸星さんだ、彼女は鎌田さんの影響でボクをりんちゃんと。
「土曜日に日比谷のシネコンに居たよね」
「あ、昼前ですか?」
「そう、私は一番早い回で観たから、りんちゃんは何観に? やっぱ、アレかな」
アレってなんだ。
戦隊ヒーロー物とか観たとか言いにくいしな。
「まあ……」
「やっぱ『ちょっと茨城』ね、私も観たわよ。ラストで泣けるとは思わなかったわ」
『ちょっと茨城』か、アレは観てないや。
「私ね、主演の俳優、ファンでね……。え~と」
ファンなのに名前出ないんですか?
通称美魔女刑事、諸星レイチェル。自称ハーフ。
誰も彼女の本当の歳は知らないという。
あ、思い出した。ヒロインは茨城出身と言うので出た九段下32の黒瀬まりかだ。
「ヒロインの黒瀬まりかちゃんも良かった」
「やっぱり女の子ばかり見てるのね。ダメだぞ、そんなんじゃ。あの映画はね、けっこう深い社会問題とかあつかってるんだから」
そうなの、観てないからわからないや。
「えーと、誰だっけ出ないや。主演の彼の深い演技も見てた? あの最後のセリフは感動したわ」
あの、あなたも主演男優ばかりしか。
で、誰だっけ?
☆ ☆
某駅の地下道で。
「おう、久しぶり。元気してたか」
「はぁ……?」
「おい、俺忘れたか。鈴木だ、鈴木」
「鈴木って友だち、いるけど……」
「ホラ、いっしょによく映画見たよな! あんた『デアボリカ』好きだっただろ」
「はぁ〜あんた、誰かと間違えてない。わたしゃ『デアボリカ』観てないよ」
「なんだ、忘れられたのかチッ、あばよ」
「チッって、ナニよ。わたしゃ鎌田ナオミだよ!」
私、よく人に間違われるのよね。
だけど、私の顔ってよく居るのかね。会ったコトないけど。
つづく




