同好の二人
35話
某興信所。
「流山くん、『カイロの紫のバラ』って映画観たかな」
「観ましたよ……」
「私、知りません。どんな映画です所長」
「スクリーンから主人公が飛び出す映画ですよ、隼鷹さん」
「飛び出す……。3D映画ですか?」
「違うよ、隼鷹くん。本当にスクリーンから出てきて外の世界の女性と恋をするんだ」
「それ、日本映画でもありましたね。アレはヒロインがスクリーンから出てくるんでしたっけ?」
「ありえない話だと思うけど、昔の漫画とかではビデオから女の子が飛び出したりで、もしかしたらあるかもと、僕ねぇ『レオン』を五百回観てるんだよ。あの頃のねぇナタリーちゃんが出てこないかと思ってるんだか、なかなか出ない」
「そんなコトは有りえません所長! ソレに『レオン』のナタリー・ポートマンって、子どもじゃないですか、ロリコンですか所長!」
☆ ☆
「隼鷹さん、所長の言ってるコトは極端だがな。古い映画には、その頃の若い姿の女優が見れるというファンタジーなんだよ、オレもね、『ラ・ブーム』ではソフィ・マルソー。『アイコ十六歳』で富田靖子、『HOUSEハウス』で大場久美子の若い頃観て楽しんでる」
「ウチのオジさんたちはロリコンですか……」
☆ ☆
ついにクェンティン・タランチュラ監督の『闘女・ファイティングガール』が日本公開。
で、試写に呼ばれたオレは帰国した栗妻アリスと会場に。
出来上がった映画は、各国から集められた女優が、マーシャルアーツで、闘うオムニバスな映画に。
試写で、栗妻アリスの主演作を観て驚いた。
試写終了後、来日したタランチュラ監督に会い、英語がペラペラの栗妻アリスをまじえ話を。
「いや〜驚きました。あの運動オンチの栗妻アリスが、まるで別人のように」
「方賀監督、アレはスタントマンですから別人です」
「だと、思ったが栗妻さん……。あなたが演っているようにしか見えなかった」
「Mr.ホーガ、ハリウッドヲ、ナメンナヨ、デ〜ス。アリス・クリスマスハ、モウ世界ノアクション・ミューズデスネ」
「実は私も今日、はじめて完成作品を観てびっくりしました。あれ、スタントマンだけでなくCGも使ってましたハハハ……でも、コレで大分アカデミー賞に近づきました」
やはり、ハリウッドはスゴイ。運動オンチもアクションの女神に変える。
☆ ☆
わたしは銀間久光に誘われて千葉の幕張メッセでおこなわれた同人誌フェスに。
「あの子、制服で来てるけどウチの学校じゃない」
その子は、特撮映画の同人誌ブースで。
「わぁコレはヘドラのぬいぐるみよね、欲しいなぁ」
「そこの制服のお嬢ちゃん。ツウだね。そいつは一点物だから一万円だよ」
「たかーい」
「手作りだからねぇ……。お嬢ちゃんがもし金星人なら半額にまけるよぉデヘヘヘヘ」
なんか、気持ち悪いオヤジだったわね。私はすぐにブースを離れた。
「あなた、見てたわよ。バカねェ。あーゆーときはウソでも金星人になって半額でゲットするのよ。売ってる方も乗りがイイと売ってくれるから」
「そういうもんですかねぇ。私、はじめてこういうイベントに来たから……」
「そうなんだ。見て、この轟天号の模型。あたしはムー帝国のプリンセスだと言って半額でゲットしたのよ」
『あの……。あなた私と同じ制服よね、もしかして」
「同じ学校よね、あたし実相寺緑。あなたは?」
「私、東陽子。よかったらお友だちになりましょ」
「ヒカル、なんか、あの二人、わたしたちみたいね」
☆ ☆
某高校の廊下。
「ねえ、Snow Manってイイわよね」
「そう、あたしはSixTONESかな」
「わたし乃木坂、わたしねぇオーディションに出たんだよね」
「落ちたのね」
「だからココに居るのよ」
「あ、ヨーコ。あんたの好きなアイドルは?」
「え、私は好きなアイドルとかは……。映画俳優なら」
「映画俳優かぁ誰? 菅田将暉とか」
「違う。平田昭彦とか、岸田森」
「だれ、ソレ?」
「死んじゃったからね。行きてる人なら佐原健二柴田俊夫とか……」
「死んじゃた人って……」
☆ ☆
またまた廊下で。
「ねぇねぇ、ミドリさ〜ん。好きな芸能人とか、タレントいる?」
「ナニ? 藪から棒に。芸能人……。俳優とかなら、水野久美とか、若林暎子。あ、ムー帝国の女王演った小林哲子も好きよ、それから……」
「スゴイわミドリさん。男性では?」
「映画も良いけどテレビの『光速エスパー』の三ツ木清隆とか、『ライオン丸』の潮哲也とか好き。あたしねぇ死んじゃたけど岸田森が好きだわ」
「やっぱりミドリさんね」
「おい、廊下で抱きつかない。それから同い年だからミドリでいいよヨーコ」
つづく




