菅原文と高倉映美
30話
「映画部って、おもしろいかしら?」
「菅原さんは映画を観ないの?」
はじめて、できたクラスのお友だち。菅原文さん。
まだ、部活を決めてないと言うので映画部をすすめた。
「見ないことはないわよ。普通に話題作とかはテレビで……」
「そうなんだ、映画を劇場では?」
「あるよ、小さい頃。アンパンマンとか、ポケモンやドラえもんの映画をシネコンで。家族で見たわよ」
「どんな気持ちだった? テレビで家族と見るのとは違うでしょ」
「そうね、みんな映画だけを見てるって、家じゃないものね」
「家とは違う異空間よねシネコンって」
「異空間……。まあ、そうだろけど」
☆ ☆
映画部。
高倉映美と私は放課後、映画部の部室へ向かう。
それ程、映画には興味なかったけど映美が。
「高倉さんは、なんで映画部に?」
「幼なじみの先輩が居るの、あたしのあこがれの先輩でね、映画ファンなの。それで、あたしも映画好きに」
そういうパターンか。
で、私は高倉映美のあこがれの先輩っていう人に会ってみたくなり。
「ここが映画部の部室。隣が視聴覚室で、放課後映画を観てね、みんなで研究するのよ」
「研究?」
「あ……。この映画は、なんでおもしろいのかとか、ナニがダメだとか。トントン、一年の高倉です!」
トントンって、ドアをたたいてるのに、口で言うの?
「どうぞ」
「あ、太郎にいちゃん。ウチのクラスで映画部に入りたいという子が居たから連れてきたの」
私、入りたいとは。
「エミー。学校では、太郎にいちゃんは、やめようね」
エミーって。
太郎にいちゃんって、このどんぐりヘアーカットの黒縁メガネが、あこがれの先輩!
とりあえず、他の部活も見て回るからと入部は、しなかった。
映画部。
☆ ☆
翌日の教室。休み時間。
「高倉さんって、あの先輩とは幼なじみって……」
「そうだよ、あたしが小3の頃に太郎にいちゃんの家の隣に引越してきたの。近所で友だちが居なかった、あたしを遊んでくれたのが太郎にいちゃん」
「そうなので、あの先輩のどーゆーとこが?」
「当時あたし、ぽっちゃりでのろまなデブだったんで……。太郎にいちゃんは、そんなあたしと遊んでくれたの。優しんだ太郎にいちゃんは」
「どんな遊びしてたの?」
「いろんなよ、刑事ごっことか、夫婦ごっこ、宇宙人ごっこ、お医者さんごっこもしたわ。太郎にいちゃんは、お兄さんの影響で映画が好きでね。みんな映画からのごっこ遊び。私みたいなデブでも毎回ヒロインだったの。で、ねっお兄さんのコレクションだという映画のDVDとかも、たくさん観たわ。でも、一年で、あたしはまた引越して、この街を離れたの。けどね入学式前にあたしは、またこの街に。で、太郎にいちゃんと再会したの。太郎にいちゃん。あたしが変わったって、驚いてたわ、でね、再会したその日にまた太郎にいちゃんチで映画をね……」
ヤバ、この話はまだ続くのね、聞いた私がバカだった。
☆ ☆
観る会の二次会、某居酒屋の個室。
「ハーイ、今日のコスプレは井口昇監督の『戦闘少女』から、ヨシエちゃんのタコ腕ナースよ」
「ナースコスが、たまらんなぁ!」
「ありがとう活堂のオジサマ。コレは豊洲さんのリクエストでーす!」
「じゃ、わしもリクエスト!」
「なんでもいけるわよオジサマ!」
「『恐竜百万年』、よろしく!」
「乞うご期待!」
次の観る会後の居酒屋個室。
「クガァアアア」
おい、着ぐるみかい。
「ざんねんだなぁ。恐竜じゃなく原始美女の方だよ、お嬢さん。ラクウェル・ウェルチだよ」
「ごめんなさい、オジサマでも、着ぐるみの中はホラ!」
「おおっ、ピチピチビキニ!」
おじさん満足。
拍手喝采!
「次は、『アマゾネス』か『バーバレラ』お願い」
☆ ☆
某シネコン。
映画館は、わたしらのラッキスポットか……。あ、ガラガラだわ、これじゃ出会いなんてないわよ。仕方ない、終了後のロビーでも期待するか。
え、わたしの席の隣にまえ見た妖精鬼のカップル。
アミちゃんが、言うにはイイ事あると。
ええ、ウソ。カップルがケンカ別れって、ナニ、この展開は。
とうぜん、その日はナニもなかった。
☆ ☆
とある映画スタジオの『呪呪3』のポスターのまえ。
「ねぇ詩織さん、バート3は、おろされちゃたね」
「沙織さん、プロデューサーが変わってね主演と監督も変わったのよ」
「でもねぇアリスは出るのよ千織さん……」
「パート2はヒットしたのに、なんで私たちは……」
あ、和津さん。彼女も呼ばれたの?
「で、なんで私たちココに? 和津さん、知ってる?」
「いえ?」
「やあ、君たち」
「エイゾー監督だわ」
「『呪呪』のアメリカ版リメイクを撮るんだ。君たちはオレと来月渡米だ。パスポート用意しておいて」
マジ、コレって『呪怨』の、あの白塗り少年のパターンかしら。
つづく




