3D映画
29話
石原邸。
「お兄ちゃん、映画サークルの会長ってホント?」
なんだ、妹よ。そんなコト何処で知った?
「ああ、好きでなったわけじゃないけどな」
「ホントならイイの。実はわたしの友だちで映画がスゴク好きな娘が居てね。お兄ちゃんの映画サークルに入りたいって。おーい、ホントだったよ。来て!」
え、今来てるのか。
「彼女だよ」
「お兄さん、はじめまして光さんのクラスメイトの千葉じゅりです」
なんだって、あんたアイドルの。
「方賀くんの映画の主演の千葉じゅりちゃん! アキバ・キューティー26の……」
「そうだよ、お兄ちゃん。詳しいね。もしかしてお兄ちゃんアイドルオタク?」
☆ ☆
ある日の二次会で。
「なんですか? そのオモチャ以下の色メガネ。雑誌の付録かしら」
「君たちは知らなきだろうが、昔の立体映画は、コレをかけて見てたんだ」
「有楽さんこそ、その時代は知らないでしょ。私もだけど、子供の頃は薄いサングラスみたいなので3D映画流行ったわよね」
「さすが年の功、里々子さん」
「こら、私も聖子と同じ歳よ。キネマちゃん。だって観たでしょメガネかけて」
「そんなのあったなぁ。おっさん」
「あったね、最近は3Dなんかアトラクションか、AVだな」
活堂さんは、目を閉じて、ナニかを思い出すように。
「知ってるかね。ビデオとかパソコンが世に広まったのは、アダルトがあったからなんだぞ。世のスケベ連中が買ったからなんだ。エッチは世の中を変えるんだ。が、映画界では……」
「おっさん、そういうのはIMAXとかで映画は……」
「IMAXとかでAVを観てみたいもんだな……。日本じゃ無理かの。海外で大画面の無修正ポルノ観てたのは日本人ばかりだった……。日本人は、裸が、好きなんだ。うっヒヒヒ。3Dはポルノじゃよ」
「活堂さん、若い娘たち引いてますよ……」
僕もIMAXで無修正の4K版『エマニエル夫人』観てみたい。
「有楽くん、IMAXで、『愛のコリーダ』観たくないかね」
「ソレもありましたね……」
「お主もスケベえよのぉ〜」
「御代官様こそウォホホホ」
☆ ☆
某カフェでの二次会に。
「オッハヨーございます!」
まさか、あの人気グループ、アキバ・キューティー26の千葉じゅりちゃんが入会してくるとは驚いた。
僕は歌番組とか、観ないので映画の彼女しか知らないが、彼女はよく笑い笑顔のたえないメチャ可愛い女の子だった。
映画に出るまで彼女を知らなかったが、会合の彼女を見て僕は即、ファンになった。
「ウソーあたしぃ方賀監督がぁこの会に居るの知りませんでした!」
「マジかよ。じゅりちゃんが……」
世の中広いようでせまい。
アイドルとはいえ映画女優の居るサークルに入ってた僕は、なんて幸せなのか。
映画ファンで良かった。
「あれ、有楽総士郎! なんで泣いてんの」
「里々子さんと飲めるから……」
「ウソつけ〜。わたしゃ妻子持ちには興味ないよ!」
たしかにウソです。
☆ ☆
ある夜の帰り道。
「おどろいたなぁ〜なんの偶然ですかね。生徒のすすめで映画サークルに入ったら、あなたのような人に会うとは……」
「私も驚きました。まさか黄音さんが有楽くんの担任の教師だったなんて」
「それは僕もです。映倉さんが小学校時代の有楽の担任とは『ありえね〜』奇跡の出会いですね」
「あら黄音先生も、『カンフーハッスル』観たんですか」
「ええ、有楽のすすめでね。面白かった。映倉先生も観ました?」
「ええ、私も有楽くんのオススメでね。そしていろんな格闘アクション映画観て、私のドラゴンの血が目覚めて」
シュ、シュ、シュシュ
「ヌンチャクをまた回しはじめました! 先生もやりません。ダブルヌンチャクで、いつも二本持ってます。アチャー!」
「……」
映画の美人ファイターは良いけど。
☆ ☆
文化祭が終わると、あっと言う間に。
「部長、卒業しても、ボクらのコト、忘れないで下さい!」
学校一の美少女、宝田明部長がぁ卒業してしまったぁ〜。
そして春、新学期にボクは二年。後輩が出来る。
家に帰る途中に。可愛い女の子が。
「お久しぶり、太郎にいちゃん。四月に、わたしも太郎にいちゃんと同じ中学に入学するよ!」
太郎にいちゃん? もしかして。
「キミは隣に住んでた映美……。さ・ん?」
「やだなぁ太郎にいちゃん。エミさんって、昔みたいにエミーでいいわ。あたし、中学生になったら太郎にいちゃんと、沢山映画を観るんだ。子供の頃約束したよね。観に行こうって」
お下げで、ぽっちゃりしてたエミーは、いつの間に緑の黒髪のロングの美少女に。
春が来た。
つづく




