監督デビュー作
28話
方賀映造監督の『呪呪』が、新人監督の低予算映画で急ピッチで撮影し、公開。
会社も驚きの思わぬヒット!
「あれ、いまの」
「そうだよな」
「あの映画の……」
最近、映画のヒットのおかげで世間に顔がソコソコ知られるようになった。
うれしい。
「噂の『呪呪』見たぁ」
「見た。アレはやばいわよねぇ〜」
「アリスってさぁ〜『貞子』こえたよねぇ」
有名なるのはいいけど、映画のキャラが本名と同じ『アリス』で、最近バケモノの代名詞になってる。
「やだ、メイちゃんナニ、その化粧はまるでアリスじゃん!」
☆ ☆
某中学校の文化祭。
キャハハハ
「うけるぅ」
ドゥハハハ
「笑える〜」
「こんにちは、アキちゃん。監督デビューおめでとう」
「あ、聖子さん!」
上映をしている視聴覚室の前でも切りをしてたら。隣の家の映画の師匠の月島聖子さんが。
「映画、うけてるみたいね」
「あ、皆さん笑ってますが……。わたしは、泣けるように撮ったんすぅ」
☆ ☆
アミが、はじめて観る会の幹事を。
で、集合場所の駅前で一番に来て待ってたら。
会長さんから電話が。
〘大白里さん、ごめんね。仕事が終わらなくて、行けそうにないんだ〙
聖子さんからは。
〘子供が熱だして……〙
たしか、宝束さんはシネマ王子とデートと、和津さんや三つ子さんたち、栗妻さんたちは、『呪呪弐ノ巻』の撮影で。
あ、また電話だ。
〘ごめんねぇ〜ゴホッゴホッ。わたしもバカなのに風邪ひいて……。二次会だけでも〙
「イイですよ。木根間さん寝てて下さい!」
うわぁ~今日の観る会はアミひとりか。
「ア〜ミちゃーん。遅れてごめんねぇ!」
みずほさん!
「わぁ〜ん。ありがとぉみずほさん」
「ごめん、一緒の電車で来るつもりだったのに。 ん、アミちゃん、なんで泣いてんの?」
☆ ☆
なんと、豊洲くんがアキバで出会った美人をシネマディクトの会に。
「新会員の川崎カナともうします。どうぞよろしく」
大胆にもコスプレイヤーの川崎カナさんはカフェにメイドコスで現れた。
話してみると、感じがイイィ僕はすぐに彼女のファンに。
彼女は、プロのレイヤーなんだ。が、気になることが、腕の線は特殊メイク? まさか、本物の空気人形では、イヤそんな漫画みたいな事はありえない。あの映画、原作は漫画だったが。
「川崎カナさん、一つ気になるんだが、聞いてイイかな?」
「なんです? 年間365本映画を観る。え〜と」
「有楽総士郎です。その数は独身のときで、今は……。ソレは置いときます。あの、その腕の線は、もしやキミは空気人形では?」
「さすが年間365本映画を観る有楽さんですね、この線に気づいたんですね。苦労して付けた甲斐がありました」
やっぱりただのコスプレだよな、僕はナニを期待してたんだ。
☆ ☆
ソレは秋葉原のDVDショップの入口に貼ってあった。
『ななみです!』
コレは吉田さんのポスターだ。
「おい、石原。そんな娘が欲しいのか?」
「うわっ数寄屋橋さん、驚かせないでください」
「べつに驚かせては、声かけただけだ」
僕より前にでて数寄屋橋さんはポスターを見ながら。
「この娘はな、女房の妹なんだ。紹介してやるよ」
「マジすか」
でも、知り合いですから、僕。
☆ ☆
「そう、おもしろかったのね。私も行きたかったけど、まだ子どもが産まれたばかりで……」
出来ちゃた婚だから、産まれるのも早かった聖子さんの赤ちゃんをベビーカーに乗せ散歩に付き合う。
「どう、辰巳はパパ出来てる?」
「大丈夫よ、育児休暇とってね。育児書まで買ってきて、しっかりやってるわ。ミルクとか私より上手に作るのよ」
「へぇ〜。わたしがオムツ変えてた辰巳がねぇ」
「え、キネマちゃんって、彼とどんだけ、歳はなれてるの?」
「小さいわたしもやってたのよ……。ハハハ」
「早く泉がおおきくなって、一緒に映画、観に行けるとイイわね」
「で、泉ちゃんがシネマディクトの会、最年少会員になったりして」
「アハハ、あまいはキネマちゃん。もうなってたりして……」
☆ ☆
「数寄屋橋さん。ボスが、すぐに戻れと電話が」
「あ〜。なんだよ。もうすぐ始まるってときに」
某シネコンのロビーで。
「石原、テキトーな事言って遅くなるって!」
「そんなぁ適当な事ってなんですか」
「ん〜。だな、蒲田に巨大生物が出たとか」
「ん、なぁ……」
〘コラッ、おまえら、またサボってんのかぁ今の聞こえたぞ数寄屋橋!》
「蒲田じゃなく漢江の間違いでした。今、追跡中。 石原、行くぞ!」
つづく




