表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/31

エイゾー監督デビュー

27話


 部室で新宿春斗(あらじゅくはると)が、ボクに。


「有楽、『燃えよドラゴン』をはじめて観たぞ!」


 なんだ、新宿。またリー師匠の悪口か?!


「このまえは悪かった。『燃えよドラゴン』は、素晴らしい作品だった。ブルース・リーは偉大だ。あの作品を観て燃えない男はいないよ」


 と、ボクの手を。


 くぅう〜わかったか新宿!


「実は……。ボクも『ゴッドファーザー』大好きなんだ。ははっ」


 部室のドアの前で、宝田明(たからだあき)は、二人の会話を聞いてた。


「良かった。二人共良い映画ファンね……」


   ☆ ☆


 なんと、学生映画祭のグランプリのおかげで、ある映画の監督にオレは抜擢されて、脚本やキャスティングナドにも、ある程度任された。


 で、脚本をみてオレは動いた。


「……と、言うわけで栗妻さん。オレの映画に出てもらえます?」

「喜んで、私で良ければ」

「大丈夫、栗妻さんには主役級の役を頼みたいんだ」



 そして、あの三つ子の姉妹に。


「ええっ、わたしたちが映画に出るんですか」✕3


 あと、あの人だ。


「え、エキストラじゃないんですか? 私に役を!」


「和津さんにピッタリの役です」


 二週間後に方賀映造の監督デビュー作品の制作発表がニュースで流れた。


 主演は人気アイドルグループ、アキバ・キューティー26の千葉じゅり。


呪呪(じゅじゅ)


 ネオ・ジャパニーズ・ホラー。


 期待はアイドルの千葉じゅりの初主演映画。

 監督デビューの方賀映造。


 知る人は少ない。


   ☆ ☆


 映画部部室。


『文化祭で上映する作品を決めたいと思います……』


「部長。わたし、純愛物が撮りたいで〜す」


「ホラーだ!。ゾンビ物だよ」 


 なんて、先輩たちは。

 ボクはアクション映画が撮りたい。でも、一年生の意見は通らない。


「やはり学生映画なんで、文学の映画化なんて、どうですか。太宰とか」


 お、新宿春斗。言うな。


「それなんですがぁ。わたしが、この部に入ったきっかけになった三年まえの作品をリメイクしたいんです。わたし」


「部長が撮りたいものでイイで〜す!」


 先輩の誰かが。


 ボクは、その意見に拍手した。

 そしたら、みんなも。


「ありがとう、みんな。じゃ『走れメロス』のリメイクを撮りたいと思います」


 え、まさか新宿の意見が通った?


  パチパチパチパチ


「あの、さすが部長です。それは、僕の意見を……」


「違うの新宿くん。実はね、予算があまりなくて、前作の衣装や背景なんか残ってるので、ソレを使おうと。はじめから……。あ、でも監督はわたしよ」


   ☆ ☆ 


 まさか出られないと思ってた同窓会に出られた。仕事が早めに終わった。


 久しぶりに級友と、会って話して呑んだ。


 お開き。皆、社会人だったので二次会は無しで居酒屋の前で解散した。


 居酒屋の横にぽつんと立ってる女性が帰ろうとした、のを僕は見た。その背中に見覚えが。


「あれって」


 僕は、走って彼女の後に。


「あの、吉田さんだよね。委員長してた」

「あ、見つかっちゃったわ……。サトミくんね。変わらないわね。あなた遠くから見てもすぐにわかった」

「いや、吉田さんも。後ろ姿でわかったよ」


 僕が告ったとき、去っていったあの吉田さんの後ろ姿だ。

 フラれたときの。


「なんで、入って来なかったの?」


 彼女は遅れてきたと。そして帰る僕らを見て帰るところだと。


「声もかけずに?」


「みんな変わってなかったから……」


 そして変わったという彼女は僕にうちあけた。


「そうなの……。ホントに」

「ホントだよ、もう3本撮ったの……。サトミくんに最新作あげるわね」


 吉田さんはバッグからDVDを出し。


「こんな仕事してたら同窓会なんて出れないよ」


 ジャケットは、吉田さんのオールヌードだった。彼女はAV女優になっていた。


 そして、駅まで話して別れた。


 僕はウチに帰って、本棚の奥のAVのディスクを見た。


 つい、知らないフリをしたけど、やはり吉田さんだった。

 ななみちゃん。


 このDVDが二枚に、サインとか、もらえば良かった。


   ☆ ☆


 映画部部室。


「部長、このメロスの脚本(はん)素晴らしいです。ラストシーンでボク、涙が……」

「ありがとう有楽くん。コレで完成ね、あなたの意見聞けて良かったわ」


「ボクなんかの……」

「あのね、有楽くん。日曜日の午前中は、あいてるかなぁ」


「ぼ、ボクのですか?!」

「他にいないじゃない」

「あいてます、一日中」

「あのさ、『ワークマンZ』観に行かない」


「ボクでいいんですか?」

「わたしさ、有楽くんに新しい世界を教えてもらったの格闘アクション映画のおもしろさをね。だからお礼とか、チケット代出すわよ」


「そんなぁ自分で出します!」


 映画オタクで良かったぁ。学校一の美少女と映画が観れるなんて、兄さんより早い。



「わたしの友だちね、アクション映画観ないのよ。わたし、映画は誰かと観た後に誰かと語りたいの。だから一人ではあまり行かないのよね」


 なんて下校のときに。もしかしてボクを誘ってくれたのは、そっちが本当の理由かな。


 日曜当日シネコン。


「あら、アキちゃん。デート」

「聖子さん! い、いえ弟です」


「だよね、デートで観る映画じゃないわね」


 あ、弟ですかボク。

 でも、イイです部長の家族なら。


              つづく 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ