アカデミー賞をねらう女
24話
早くも長女誕生。
名は有楽真鈴と命名。
ホントはマリリンと。しかし、字数や外国人名なので真鈴と。
長男が進之介だから、ひまわりにすると思ったって。
そんな、僕はマンガオタクじゃないので。
実はパチンコの海物語のまりんちゃんを見てね、カワイイなと。
「それ、はじめて聞いたわ。マリリンは関係なかったのね、娘の名をパチンコのキャラクターからって、信じられない!」
「ジョークだよ、ジョーク。本気にしないで、ママ!」
☆ ☆
ボク豊洲健太は、シネコンで出会った神田ららちゃんと結婚することに。
結婚式会場の相談所に式のプログラムをきめに来た。
そして、ほぼきまり。
「ららちゃん、式のプログラム、コレでいいよね?」
「内容は悪くないんだけど……。一つだけ、やめてほしいのが」
「え、ナニ?」
「新郎新婦入場曲なんだけど、変えてほしいの」
「え、『ワン・チャイ』の黄飛鴻のテーマの曲だよ。功夫映画ファンに嫌いなヤツは居ない名曲なのに?」
「私は功夫映画ファンでもないし親戚関係も、アレはちょっと……。一歩ゆずってお獅子はいいけど……」
「じゃ『戦略大作戦』の主題歌は?」
「ソレもイヤ!」
☆ ☆
某小学校の廊下で。
「映倉先生!」
「あ、有楽太郎さんね」
「はい、『タイタニック』の好きな有楽太郎です。ボク、『タイタニック』を50回観て、毎回泣いてます」
「そうなの、私は5回しか観てないけど。有楽さんはスゴイわね。映画が好きなのね」
「ボクの兄さんは好きな映画は百回は観ますがそこまで観ると引きますよね」
「有楽くん、借りたあなたの人生No.1の『燃えよドラゴン』観たから返すわ」
げっ、愛ちゃん。
なんか、わざとらしい言い方。
「へぇ~有楽さん、その歳で『燃えよドラゴン』知ってるの?!」
「ええ、まあ兄さんが自分のNo.1だから観ろと……」
「先生もね、兄が格闘家でね、高校生の頃に見せられたわ。で、ブルース・リーにハマってヌンチャクはじめたの。学生カバンにいつも入れてたわ、今でも出来るわよ」
うそ、学生の頃にカバンにヌンチャク入れてた女子高生って先生、元ヤン?
☆ ☆
好きな映画の特集が載っていた『映画珍報』という雑誌を古本屋さんで買って読んでたら。
読者コーナーに映画サークルの募集広告が。
シネマディクトの会。
映画を観て居酒屋で語ろう。大人の映画サークル会員募集中。
と、住所とメアドが載ってたのでメールしてみた。
「かけだし女優している栗妻アリスです。名前は本名で。祖母はアメリカ人ですが同居してます」
「私は元会長してた月島聖子です、メールありがとうございました。正直、あの広告見てまだ入会者がくるのは驚きでした」
「すみません、ダメもとで出してしまい。住所の方は日比谷さんでしたが、ご結婚を?」
「はい、今の会長は仕事が忙しくて来てませんけど。こちらは前会長の木根間未来さんです」
「栗妻さん歓迎します。元会長の木根間未来ですよろしくね」
「はじめましてです。副業でエキストラしてる和津です。栗妻さんは映画とかドラマに……」
「エキストラの方ですか、よくご一緒しますよ。私はホラー映画のゾンビとか、テレビの殺害された遺体役とかやりました」
「え、なんかエキストラみたいな仕事ですね」
「エキストラとは違いますよ。ちゃんと役名も役者名もエンドロールに出ますから。私、将来アカデミー賞とる気で演ってます」
☆ ☆
オレはオーストラリアに帰り、そしてジョージ・ミラーマンプロデュースで映画を撮った。
順調だつたのはココまで。
ジョーのヤツが英語が苦手なオレを騙し、自分に多くカネが入るように契約していた。
しかも、映画公開初日に某昔話とあるアニメの盗作疑惑も。
訴えられた責任者のジョーは主演のミシェル・ラムを連れ二人で逃亡。
今頃何処に居るやら。海外、日本に逃げたという噂有り。
そして制作会社のミラーマン社は営業不振で倒産。
オレは、親父のつけてくた、イイ弁護士のおかげで被害者としてて日本に帰国。
前回と違いなんて情けない帰国なんだ。
みんなに合わせる顔がない。
空港で、オレの学校でのスタッフが待ってた。
「やあただいま……」
「お帰りエイゾー!」
やけに楽しげに迎えてくれる綾乃たち、オレへの慰めが?
「エイゾー、あたしたちが撮った作品が学生映画祭でグランプリをとったのよ!」
「ナニ、アレが……」
涙がとまらなかった。
☆ ☆
某居酒屋。
あ〜なんか、ココは落ち着くなぁ。
親父と結婚してから、あのマリリンは、あまり来ないと聞いた。
お、見かけない美人が居るではないか。新入会員かな。
「こんばんわ、僕もまだ入ったばかりの活堂といいます、よろしく」
「えっ、活堂……。力ちゃん!」
「なんで僕の名を?!」
「忘れた? ん〜わからないかなぁ私、劇団ラーメタルで一緒だった栗妻アリスよ」
「え、ウソだろ。あんた栗妻アリスだって!」
ラーメタルの頃は百キロこえる某女芸人のような超ぽっちゃりだった栗妻アリスかよ、あんた。今は何キロなんだ。やせ細って。
すっかり美人女優に。
「力ちゃん、私、絶対アカデミー賞とるわよ」
つづく




