新会長は
23話
まあ、いろいろ考えたが有楽さんの言う通り、ボクら映画ヲタクのラッキースポットの
劇場を出てロビーで。
「ららちゃん、コレ。キミの好きなコロネ」
「え、この袋は『ウォンカ』のね、わざわざあそこのショップまで」
「ああ、ココに来る前にね。劇場じゃシネコンの
売店の他の物は飲食禁止だから」
「ありがとう。ココのチョコクリーム美味しいのよね。あれ、箱が入ってる。ナニ?」
☆ ☆
「ええっ、豊洲くん結婚するの、おめでとう」
「どうも、会長。あ、すみません聖子さん」
「あなたも……。いつ知り合ったの、てっきり」
「てっきり、どうしたのキネマちゃん。豊洲くんだって彼女いたのよね」
「別に隠してたわけでは、というコトでお二人さん。式には招待しますからよろしく」
「豊洲くん、なんか嬉しそうで輝いてたわ。アレは恋をしてるオーラかしら。あれ? キネマちゃん」
聖子さんは辰巳と。マリオンは映吉のおっさんと、豊洲くんまで、初期会員で一人は、わたしだけに。
別にぃ結婚だけが幸せではないしぃ。
「キネマちゃん、どうしたの」
「いや、べつに……」
「わかるよぉキネマちゃん。自分だけ一人とか思ってない?」
「いやぁ~そんなコトは」
「キネマちゃん、最近あまり映画いってないよね」
「あ……そうね。聖子さんが辰巳と結婚してから……。あまり」
「ダメだよ、私たち映画ファンのラッキー・スポットは劇場なのよ、豊洲くんも私も、有楽さんだって劇場で……」
「あ、そうね……」
☆ ☆
べつに彼氏見つけに来たのでは、ないけど久々に一人でシネコンに。
「うわぁちょっとマイナーなのかなぁ今日の映画。平日だしガラガラ。あ……」
わたしの席の隣に子鬼が。しかもカップルよね。女の子みたいのも。
アミちゃんが言っていた妖精鬼よね。
カップルで楽しそう。
某カファ。
「アミちゃん聞いて、ウワサの妖精鬼見たわよ。しかもカップルで、それってわたしに対するあてつけかしら」
「木根間さん、落ち着いて。ソレはないと思います。もしかしたら良い予兆では」
☆ ☆
「おい石原、映画サークルに入る気ないか?」
「なんです、突然……」
「いや、別に深い意味はないんだが。お前落ち込んでたからな。映画のサークルには未婚の女も多いぞ」
「いや、そんな心配は、数寄屋橋さん」
「そこな、俺も顔出してるサークルなんだ」
「奥さんと知り合ったトコですか?」
「いや、ソレは大学のときのだ」
「時間が、あるからちょこっと……」
シネマディクトの会。観る会の二次会居酒屋。
「おう、木根間。連れてきたぞ」
「え、あなたドコかで?」
「あの、もしかして僕が人違いした……。シネコンでも、会ってますよね。お互い寝込んじゃって……」
「なんだ、お前ら知り合いか?」
「なんだか妙な縁かしら……」
「おい、みんな! 新会長に決まった。俺の後輩の石原だ! よろしくたのむ」
「石原さん、よろしく。はい、バトンタッチ!」
パンッ
「パンッって、数寄屋橋さんどういうコトです」
☆ ☆
だまされた。なんで会長に。
「石原さん、おめでとう。僕は、平会員の有楽総士郎というもので。さあ」
メガネでロン毛の痩せたオッサンが酌に。
「あ、すみません……。でも、僕みたいな人間が会長していいんですか」
「まあ、前会長が決めたことだから。実は僕が三代目をねらっていたんだよね」
「なら、あなたが」
「残念ながら僕は家庭の事情でね会長は無理なんだハハハハハッ。さぁぐいっと。頑張ってね」
あー四代目は僕がきっと。
世の中には会長になりたい人間と、なりたくないのになっちゃう人間がいるんだよなぁ〜。
☆ ☆
会長やめたけど、生活はあまり変わらない。会長って名前だけだからなぁ。
とりあえず暇だからラッキー・スポットでも行こうかな。
ナニがイイかな、スマホと、シネマ王子どちらがイイかなぁ。
シネマ王子は、その時やってるイイ映画を紹介してくれるが、もし彼が観てたらオチまでしゃべるからなぁ。
アレレ、観たいのが終わってるよ。じや他の。
あ、LINEだ。聖子さんからだ。
《ヒマだったら遊びにこない? 美味しいお菓子あるよ》
コレは行くしかないわ。
あ〜またラッキー・スポットから遠ざかった。
☆ ☆
活堂 力 旅に出る。
親父の再婚相手が、あの美人だったとは。
とても、同じ屋根の下に居れなくてオレは家を出た。
旅先のある小さな居酒屋で。
「つったく、弟はオカマになるし。人生を変えてまで好きになった女は親父にとられるしぃ〜。なんなんだぁオレの人生はぁうぉおおお」
「にいさん、あれてるねぇ。私の奢りだよ」
「あ、すまねぇ女将」
「強は、やっぱりニューハーフの道に。ハゲオヤジは若い娘と再婚かぁ……」
「えっ!」
あんたは、女将?
顔を見れば、あんた。
「母さん!」
「力、あんた夢はどうしたのさ? フラれてうろちょろしてるヒマがあったら役者になってあのハゲオヤジを見返してやりな」
「母さ〜ん!」
つづく




