入会者集まる
2話
なぜか、突然おくれて入会者が。
有楽町の駅に現れたのは身長190越えた巨漢の男性。
「石場古丸です」
明治初期のザンギリ頭みたいなヘアスタイルの力士みたいな人。
30歳くらいかしら。
「僕ぅ一番後の席しか座わったことないんですよ」
こんな人に前、座られた見えないわねスクリーン。
「最近はひな壇になっているトコも多いから大丈夫よ」
「はあ、それでも僕みたいなのが、前に居ると気になるようで……。でも劇場が好きなんです、映画は劇場ですっすね」
そして、五人目の会員は。
「銀座一京子です。はじめまして。あたしの好きな俳優はブラット・ピットです。大好きなんです!」
普通の女の子って感じ。おかっぱなヘアースタイルに赤いベレーが目立つ。
それと、同じ日に来たのは六人目。
見た目に馴染めなさそうな人。
「はじめまして。有楽総士郎といいます。39歳独身ですよろしく」
肩まで伸びたストレートのロン毛に黒縁のメガネ。頬骨がでた細く長い顔。あまり友だちには、なりたくないタイプだ。
「あ、僕の目標は一年に365本映画を観る事です……。ちなみにうるう年は366本かな」
「あ、そうですか。頑張って観て下さい」
そしたら、予定の日じゃなかった七人目が偶然。
「たまたま、聞こえちゃたんですけどー。もしかして、シネマディクトの会の方ですか?」
振り返るとダウンジャケットの金髪美人。
「あ、私はマリオン三越といいます」
「え、あなたは来週の日曜日に会うはずのマリオンさん!」
「ええ、マリーと呼んでね」
「はじめまして、シネマディクトの会、会長の日比谷聖子です」
☆ ☆
二人だったシネマディクトの会が七人になり、女性の方が多かったので自然と女性だけで集まり女子会とかもするようになった。
もちろんネタは映画。
「ねぇみんな、けっこう映画観てるのなら、お金かかるよね。なるべく安く観る方法ってあるよね〜」
そしたら会長の日比谷さんが。
「それは、木根間ちゃん。やはり前売り券かな。あと、買い忘れたり、その日に観たいときは金券ショップ行くわ。ただし観たい映画のチケットがあるとは限らないけどね。あとは……試写会当てるとかぁ」
「映画の日とかもあリますよ。でも、あたしはもっと安い方法で映画を観ます」
と、今日はベレーではないキャンプの銀座一さん。
「どんな方法? 銀座一さん」
「彼が毎回出してくれるからタダなの。男を使う方法」
「ホーなるほど……」
彼氏いない暦五年以上のわたしと会長であった。
☆ ☆
会員が増えてから、会では月に一回のみんなで映画を観る会をする事になって数ヶ月。
集合場所に一番に着いてしまった。まだ、誰も来てない。
すると声が。
「ひと月ぶりですね。木根間さん」
わたしの次に来たのは有楽さんだった。
「ぼ、僕。女性と二人で映画観るのはじめてなんです」
有楽さんは、わたし以外誰も来てないのを確かめて言った。
「へえー。そうなんですかぁでも、まだ二人とは……」
この人と二人なの。今回は、ちょっとイヤだなぁ。席は離れてとろう。
「初カップル鑑賞が木根間さんみたいなカワイイ女の子だなんて、僕の映画史に残る事件です。カワイイ女の子と一緒に映画を観るのは僕の夢だったんです」
「え、わたし、カワイイ女の子かしら……」
そんな夢は、たしかこの人は、30越えてたよね。それまで彼女なし。まあわからないではない!?
「こんにちは、木根間さん。有楽さん!」
やった、石場さんと、銀座一さんだ。
「こんにちはー」
おっ、豊洲さんも来た。
「今回の作品は、アクション物だから、楽しみにしてたんですよぉ」
みんな、おそいぞ。
あっと言う間に夢破れた有楽総士郎だった。
☆ ☆
たまたま新宿で会ったマリオンさんとお茶した。
「マリオンさん、最近面白い映画観た?」
「あ、木根間ちゃん。マリーでいいよ。最近、観る会でしか劇場行ってなくて。木根間ちゃんと同じ作品ばかり。あ、人にもらったDVD観たわ」
「そう。で、ナニ観たの?」
「グリーンマイル」
「わたし、ソレ観たわ、泣けたよねぇ」
「ハイ、グリーン……マイるったね。私も泣けました」
なに、今のダジャレ?
「わたしはね、配信で『ミッション・トゥ・マーズ』っていうの観てさぁ……」
「私も観たわ。ミッション・トゥ・まーず、まーずねぇ」
やっぱりオヤジギャグね。
「あと、『超人ハルク』観た。ハルクってたわ」
ハルクル? 張りきる? かしら。
「『チャーリーズ・エンジェル』はエエんじぇるぅ」
やっぱり、オヤジギャグ好きなんだ、マリオンさんって。
でも、なんかいらつくのよね。こういうの。
美人ハーフでなけりゃ、やめろって殴ってたかも。
☆ ☆
今度はアキバ歩いてたら豊洲さんと遭遇。
彼に誘われてマックに。
「昔流行ったという香港映画、面白いの教えてくれる。ちょっと興味あるの」
「まあだいたいの香港映画は面白いけど。ボクの趣味だとリー・リンチェイ。あ、ジェット・リーね。彼のワンチャイシリーズも面白いけど、『フォン・サイヨー』とか、『ハン・カーロン』とかも」
「はい? ホンサイヨー? ハンカ〜ロン?」
うわぁ〜。この人に聞いたわたしがバカだった。
「ゴメンネ、邦題がややこしいくて、憶えられないんだよね。原題の方が憶えやすい。たしか……。『フォン・サイヨー』は『レジェンド・オブ・ファイター格闘飛龍』だっけ、あ、違うかな『レジェンド・オブ・フラッシュ・ファイター格闘飛龍』だったかな……。電光飛龍だっけ」
どっちでもいいよ!
つづく




