映画の見方も変わった
18話
映画を観て帰る前に時間があったので銀座の街中をブラブラしていたら。
「え、なんですか?」
ウサギの着ぐるみに肩をたたかれた。
そして銀色の亀の形の風船を渡された。
「いらないです。わたし、そんなのもらう子どもに見えます?」
〘アミちゃん、わたしよ。木根間未来〙
「ホントに、木根間さん?!」
着ぐるみの中は木根間さんで、仕事で着ぐるみを。
「わたしも、そーゆー仕事。やってみたいです」
〘あ、でもね冬はいいけど暑いし……。汗臭いよ。着ぐるみって。ゆるキャラは、イロイロついて快適なんだとは聞いたけど。コレ安物なんだ〙
☆ ☆
某シネコンロビーで。
「やっは、パパは『ジャングル・キング』が観たいな」
「ヤダよ、ポケモン見るって来たんだよ」
「あ〜ママは『鬼滅の八重歯』観たいわねぇ」
「ヤーダ。鬼滅はキライ!」
「数寄屋橋さん。で、ナニを観たんですか? ボクなら鬼滅ですね」
「シネコンだからな、みんなで好きなの観たよ。俺の若い時とは、映画の見方も変わったなぁ」
☆ ☆
某シネコンの一劇場。
なんだ、ガラガラじゃねーか。
「ん!」
頭に角がある小さいヤツ。
〘パパ、映画館で変なの見た〙
コイツが愛の言っていた。
〘そーゆーのは多分大人には見えないかもな。とくに心の汚れた大人には〙
見えた。 俺はまだ汚れてなかった。
なんだ? このおっさん号泣して、映画はまだはじまってないぞ!
☆ ☆
ある夏日のシネコン。
「まったく、ナニよコレ……」
「いいじゃないですか、みずほさん。この映画、面白いしぃ……」
「そーゆー問題じゃないでしょ。入場料、ぜえっ〜たい返してもらうわぁ」
「返してくれるかなぁ」
「上映途中に、エアコン故障して、『まことにすみません』でむと思ってるのアミちゃん、劇場の中サウナよ」
「そこまで……」
☆ ☆
某カフェで。
「わざわざ来ていただいて、数寄屋橋先輩の相棒の石原です」
「いえいえ、ヒマでしたから問題ないね、イシハラサトミちゃん」
「あはは、たしかに僕、イシハラサトミですけど、女優の石原さとみとは字が違います。悟る、わかります?」
「悟りをひらくとかの」
「そうです。その悟と十二支は、わかります?」
「子丑寅……の」
「そうです。で僕は巳年の巳で悟巳なんですよ」
「でも、平仮名にしたら同じですね」
「なぁマリオン。こいつの兄は石原マリオで、お前が結婚したらアニキと一字ちがいになるんだぞ」
「数寄屋橋さん、なんでココに?! 兄は関係ないすっ!」
「お兄さん、マリオ……。結婚したら、私ぃ石原マリオン。面白い」
☆ ☆
うそ、会社が倒産なんて、なんの不幸よ!
「入社して半年もたたないのにね。ゴメンネ」
「安倍さんのせいではないので」
「私は他の会社へいけるけど、あなたたちは……」
「僕は短い間だけど映画業界で働けて嬉しかったです。ううっ……」
おぁ、泣くな城島軽人。化粧がくずれてるぞ。
まだ、無職。
居間で漫画読んでると。
「おい、キタロー」
「誰がキタローよ。 似てないモノマネはやめて」
「暇ならウチの会社でバイトしないか?」
「する」
バイトって、父の会社のゆるキャラ、スペース・キッドの相棒エイリアンの着ぐるみ着てイベントのUFO型風船くばりって。
違う仕事した気がしない。
今度は知り合いに会わないだろうな。
でも着ぐるみのドデカ頭をかぶってるからわからないか。
「木根間さん、今度は宇宙人ですか?」
アミちゃん、なんでわかったの?!
☆ ☆
「エイゾー、それホントなの。休学して海外へ行くって?」
「ああ……。さすが早いな綾乃。ホントだよ、休学の手続きも済んでる。俺は三日後にオーストラリアに留学して、世界の映画人の第一歩を」
あたしになんの相談もなく。
そんなぁあたしをおいて。
エイゾー。
「エイゾーのぶぁっか! オーストラリアでコアラに食われて死んじゃえ〜!!」
「バーカ、コアラは人喰わねーよ。あばよ綾乃」
☆ ☆
オーストラリアの某映画学校に入学した方賀映造。
あたりまえだが皆外人だ。
俺もだが。
「YOU、Japanese?」
「い、イエス」
声かけられた。俺、まだ英語は。
「日本でエヴァの新作が、作られてるのホント?」
うわっ、日本語だ。
「エヴァの新作……?」
「エヴァ知らない? YOU」
俺、アニメは畑違いなんだ。
「おいJapaneseだって」
「オートモは、なんで新作作らない?」
「カイヨードーのゴジラ、持ってるか?」
「鬼滅は好きか?」
「ラムちゃんのリメイク見たか?」
「ハヤオ・ミヤザキは、ホントに引退したのか?」
おいおい、映画学校だろ、なんでアニメの質問ばかり。
「おい、ここはアキバじゃねーよな!」
海外のオタクは、日本語がうまいなぁと少しホッとした方賀映造だった。
つづく




