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聖子の姉

16話


「やっばりホラーは邦画ね、わたしは。海外のはちょっとね〜。怖いってより、痛いの多くない。チェーンソーとか、でっかいナイフとかで……。実はわたし、血を見るのあまり好きじゃないのよね。まあ、ああいうのはスプラッターホラーっていうのよね。血が出てあたりまえだけど。それからゾンビもね、死人だからって残酷な殺し方したり……」


「ですよねキネマさん。和津もね、たまにゾンビ役のエキストラやりますけど、そんなのより『エクソシスト』みたいのが好きです」


「和津さんて、『エクソシスト』の他はどんなホラー映画が好きなの?」


「やっぱり邦画かな、『リング』とかも好きだけど『新耳袋』シリーズが好きです。テレビシリーズが好きで原作も読みました。やはり、短編っていうのがいいですね。最近のはあまり……」


「そうなんだ、わたし『新耳袋』は映画のしか観てないけど……」


「観ますか? 和津は全話DVDで持ってます。怖いですよ」


「観たいけど、わたし怖い話より不思議な話が好きなの」


「そういう話もありますよ。このごろはホラー映画って、季節に関係なくやるでしょ。冬でもホラーがあって。エキストラの仕事も増えるんですよね。和津はホラーだと単独なのが多くてギャラがイイんです」


「わかるような気が……」


   ☆ ☆


-「え、僕に手伝ってほしいって……」

「有楽さんって、大学時代に映研で監督してたと聞きました。で、現場に経験者が居てくれると心強いから……」


 僕の過去を誰から。豊洲くんあたりかな。

 

「いや〜監督って言ったって雑用係みたいので、忙しいだけで……」

「有楽さんは、どんな映画を? オレらが作るのは他愛もない恋愛物で」


 ソレを聞くか方賀くん。実はね、一本も完成作品ないんだ。


「あ、僕のも似たようなもんだよアハハ」


 あの頃は企画だけ作ってるのが楽しかった。


   ☆ ☆


「あ、雨だ。まいったなぁ」

「だな、でも今はホームレス姿で帽子とコートだ。助かったじゃないか、前向きに考えろ」

「そうですけど、あまりこんな姿は知り合いに見られたくないですね」


「あ、数寄屋橋さんだ。こんにちわ」


「いや、俺はそんなもんじゃ……」

「数寄屋橋さん、雨の中お仕事ご苦労様です。あ、コレ食べて下さい。では」


「数寄屋橋さんの知り合いですか?」

「あ、ああ……。チョコバーもらったから、食べろ石原」

「可愛い娘でしたね、どういう知り合いで?」


 大白里亜海とか、いったよな。あいつ、どこまで俺のコト知ってんだ。


   ☆ ☆


「ホントにアミが出るんですか?」

「ああ、オレの作った登場人物に大白里さんがイメージぴったりなんだ」


「エイゾー、その娘は誰よ。主役はあたしよね!」


「ああ、そうだ綾乃(あやの)が主演だ」

「あのさ、変なメガネのロン毛連れてきたり、勝手なコトばかり、あんたさぁ何様なの?!」


「あのな〜綾乃。オレがカネ出して作ってんの。おれ、プロデューサーもかねた。監督なんだよ。オレがスタッフで一番エライの。文句ある?!」


「あ……。ないわ」


  ☆ ☆


「なんだか最近のエイゾーって、気に入らないわ。ねぇみんなで撮影ボイコットしよっ!」

「でもよ、オレたち撮影に参加しないと単位もらえねんだけど。綾乃もそーだろ!」

「大丈夫よ、すぐに頭下げて泣きついてくるわよ。一人じゃ映画は作れないからね」


 と、仲間に言ったものの。

 一週間たってもエイゾーは何も言ってこない。


 不安になって、撮影現場の公園に行ってみると。



「はーい、そこの人もっとさがって……」


 え、ウソ。撮影してる。誰よ、あの連中?


「あっ、おーい綾乃。インフルエンザは治ったのか?!」


 あ、見つかっちゃったわ。


「あ、ああ。ちょっと良くなったから様子を見に。なんか見なれない連中ね……」


「ああ、おまえをはじめ他の連中もインフルエンザでさ、来れないからと。親戚とかの映画好きの連中に来てもらったんだ。主演の綾乃が来ないと撮影が進まねいから早く治して来てくれ」

「あ、そ……」


 翌日。


「おい見ろよ、綾乃のヤツが出てんじゃないかよ。オレたちは、どーなるんだよ」


   ☆ ☆


「数寄屋橋さん、今日は世間は連休でイイですね」

「あ、石原。連休に遊びに行ける彼女が出来たのか?」

「いいえ、土日もない、こんな仕事ですから彼女なんか出来ませんよ。数寄屋橋さんは、奥さんと何処で知り合ったんです?」


「あ……俺はな、映画サークル。あ、娘の誕生プレゼント買ってねーや。石原、頼む」


「映画サークルですか……」


   ☆ ☆


「はじめまして聖子の双子の姉で、日比谷里々(ひびやりりこ)でーす」


「え、聖子さんって、双子だったんですか。結婚式には来てませんよね」

「まあねぇ……。海外に住んでたんで呼ばなかったの。で、今戻って来てね……」


「おねえさん、なんか金髪でモンローみたいだね」

「あら、オジサマも居るのね。このサークル」

「わし、活堂映吉だ。よろしく」


 ホント、お姉さんは金髪でメガネもかけてなくて、厚い唇がセクシー。

 まあ、メイクもしてるから双子でも。


「キネマちゃん。姉と私、似てないと思ってるでしょ」


 図星だわ。


「そこのメガネくん、最近のハリウッド映画をどう思う、アメコミの実写化とか、リメイク作ばかり、堕落してるわよね。アカデミー賞なんかつまんない作品ばかりでさ、ディズニーだって、過去のアニメの実写ばかり、子供だましよね!」

「は、ハイ。ですよね……」


 有楽さんもタジタジ。


 聖子さんみたいにすべての映画を愛せよ精神とは違うわね、お姉さん。


              つづく

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