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ベストテン

14話


 房総の某書店。


「映画祭? 映画のお祭りよね、劇場で綿あめ屋さんとか金魚すくいとか、出るの……」

「みずほさん、それはないですよ。いろんな国の映画を集めてバーンと一挙に上映して、グランプリを決めるのよ」


 アミもイマイチよく、わかってない。


「カンヌ国際映画祭とか、聞いたコトない? いつもより安いし、公開より早く見れるしゲストも来て舞台挨拶したりもあるよ」


「ゲストねぇ。キムタクとか、橋本環奈とか来るの? アミちゃんの好きな賀来賢人とかは?」


「賀来賢人来るかも……? えーとなんだっけ、スピードじゃなく、スピルハンバーグとか、ジェームスキャラメルとか言った外国の監督も……。映画の監督の名前はあまり憶えられないのよ」


「誰よソレは? ナニかお腹がすく名前ね」


   ☆ ☆


「シネマディクトの会でも、会内ベストテンを決めようと思います。メモ用紙をくばるので、みんなが昨年観た作品の中から、一番良かったのを書いて下さい。書いたら私に持ってきて」


「会長、一作だけですかぁ」


「一つにしぼるのは大変よね。二作までにします」


「会長、三作書いたらダメですか?」


「書いてもいいけど順位付けて一番を私が選びます」


「それじゃ書くいみがありませ〜ん」


「じゃ三作でもイイから一推しに丸つけて……」


 なんだか十人もいない会員だけど、テンは無理でもスリーくらいなら。


 一週間後。わたしは会長に呼ばれ会長のトコの

近くのファミレスで会った。


「キネマちゃん、聞いて。いや、コレを見て」


 と、1枚の紙を渡され見た。


「コレってみんなの投票作品……。一作も同じ作品がないわ」


「やはり会内ベストテンは、無理だったのよ。やめましょ。みんな違うんじゃベストワンも決められないわ」


   ☆ ☆


 とある街中。


「なんだ、そのメガネ? 石原」


「あ、数寄屋橋さん。遅いですよ」

「悪いな『午前9時のロードショー』で、観たいのやっててな、つい」

「そんな事だと……」

「それより、そのダサいメガネはなんだ、せっかくの色男が、お笑い芸人みたいだぞ」

「あ、朝の食事んときにコンタクトを落としてしまい見つからなくて、予備も無く……」


「コンタクトは面倒だからなぁ。俺は度付きのサングラスだ」

「それ、家でも?」

「あ……まあな」

「お子さん、怖がりません?」


「なれた……」



「数寄屋橋さんを待っててなんか、人に見られてるような気が……」


「そうか? 行くか……」


 言われて見れば、年配の女がやたらと振り返り、二度見する女も。


「おい、たしかにやたらと見られてんなぁ……」

「僕!顔に何か付いてます?」

「いつもと……。メガネか?」


「あのぉ〜すみません……」


 オバさんが二人、声を。


「あなた様方は、ヨン様とマネージャーさんですか」 


「マネージャー?! 違う」


「あなたに、聞いてません。ヨン様、握手と写真を……。できたらサインも」

「ヨン様だぁ……。言われて見れば」


   ☆ ☆


 ホントに急な結婚で、会長になった。


「会長の結婚により、わたし木根間未来(きねまみく)が二代目会長になりました」


「キネマちゃ~ん。よっ二代目!」


「がんばってね。キネマちゃん!」


「キネマちゃん、期待してるよ!」


 え〜ナニを?


 ちょっとした声援のあと。


「わたしも、早くイイ人を見つけて、会長をアミちゃんにゆずろうと思ってま〜す」


「え、なんでアミが?!」


   ☆ ☆


 月日のたつのは早いもので有楽さんトコに赤ちゃんが生まれた。


 長男誕生。名を進之介(しんのすけ)と命名。


「進之介……。人生とは、なんて残酷なんだろう……。進之介を産むと、妻は……」


「進之介。父と、この父と冥府魔道をともに生きぬこう……」


「オギャー」


「ナニ、ヒトを勝手に殺してんのよ! ホラ、進之介が泣いちゃたじゃない!」


「ちょっと遊んだ、だけだよアハハ」

「赤ちゃんをオモチャにしない!」


   ☆ ☆


 珍しく今日はマリオンと映画に。


「時代劇でも、やっぱりアクションがないと寂しいです。退屈でした」

「わたしもチョンマゲ・サラリーマン物はね、コメディでもイマイチね」

「チャンバラ見たいです」


「マリオンは、なんでチャンバラ映画を好きになったの?」

「パパの影響です。パパが大好きで海外に住んでた頃は沢山観てました。小さい頃、父に『七人の侍』を百回以上観せられました」


「百回以上……。すごいね、お父さん。で、マリオン、よく嫌いにならなかったね」

「なんで嫌いに? 面白かったよ」


   ☆ ☆


 有楽邸。


「ゲームをやりすぎるとゲーム脳になって、キレやすい子どもになるかも……。と、雑誌に。なんか怖いなぁ〜」


 最近は小さな子どもがスマホでゲームしてると。


「進之介も気をつけないとなぁ〜」


「そんなコト、まだ心配しなくても……。それより、私は総士郎くんの影響で映画脳にならないか心配よ」


「え、映画脳……」


             つづく

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