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特技?

13話


 新会員の宝束さんと、お気に入りの映画が一致したから一緒に。


「早く始まらないかなぁ。予告編が多いですよね木根間さん」

「そうね……」



   くぅう〜


 え、宝束さん寝てる。

 おいおい、始まるよ本編。


 始まって10分くらいか? 


「おおーっ」


 おきた。


   くぅう〜


 あ、また寝た?!


「ひい〜っ」


 目覚ました?!


 映画が終わった。


「主演の俳優さん、やっぱりカッコ良かったですね~」


 え、あんた寝てたよね。


「登場シーンからしてイケメンドアップ。途中の傷ついて血を流す姿は絵になってました。ラストのしめのドアップは感激でした」


 スゴ、この人。お気に入りの俳優のトコはしっかり観てるわ。

 コレも特技?!


   ☆ ☆ 


「数寄屋橋さん、シネコンに現れる鬼の噂話知ってます?」

「鬼?! 今時、なんだそりゃ石原。俺はしょっちゅうシネコン行ってるけど見たことねーぞ」


「映画ファンのサイトで話題になってて、某シネコンに出るそうなんです。そいつを見ると不幸になるとか……」

「某、何処だそりゃ?」

「さあ某としか」

「マユツバだな、作り話じゃねーの」

「都市伝説ですかね。不幸も、どんな不幸か、わかりませんし」


「不幸か……。石原、そのサイトに投稿しろ。シネコンの鬼を見ると無理やり映画サークルに入会させられると」

「なんですか? 不幸なんですか映画サークルに入ると」

「ん〜シネコンに出るなら映画に関係ないとな」

「よくわかりませんが……。不幸?」

「不幸とは、かぎらねぇ。そーゆー噂は不幸ばっかじゃねーか。映画好きが入ると……」


   ☆ ☆


「パパ、あたし映画見に行ったら変なの見た」


「ん、鬼でも見たのか?」


「え、なんでわかったの? 鬼なんだけどね、ちっちゃいのポップコーン食べながら映画見てた。パパも見たことあるの?」


「いや、ない。噂で聞いたことあるんだ。ポップコーン食べながら映画観てる鬼か。おもしろいなぁ。パパも見てみたい。でもなぁそーゆーのは大人には見えないのかもな。とくに汚れた大人には……」


   ☆ ☆


 お、また大きな地震か、怖いなぁ。


「兄さん、テレビが地震のニュースばかりだから、映画観ようと兄さんの棚からDVDを」


「ん、いいけど。お前たちいつウチに?」

「さっき。声かけたけど聞こえなかった? 兄さんトコは大画面4Kテレビでホームシアターだから。で、ソフトも豊富だし。やっぱ迫力が違うで観に来たんだよ」


 下の弟と妹も来てる。


「で、ナニを観るんだ?」


 次男の弟、玉次郎は。


「僕は『大地震』です。兄さん」


 三男の太郎は。


「『日本沈没』、コレは昔の方だよ、兄さん」


 太郎の姉、長女のみどりは。


「『デイ・アフター・ツモロー』よ」


「はぁ〜。なんだ、こんな時に、その不謹慎な選択は!」


「兄さん、僕らはこういう作品で非常時の心がまえとかを学ぼうと観るんだ」


「おお、そうか……。悪かった」


 と、兄妹揃って映画好きな有楽家だが。

 その映画で学べるのか……。


  ☆ ☆


 房総の某書店。


「みずほさん、シネマディクトの会で観る会あるんですけど行きません? 今回はみずほさんが観たいと言ってた……」

「ああ〜。残念ねアミちゃん。その映画、彼と見に行くの」


「え、みずほさん、彼氏さんが出来たんですか!」

「そんなに驚かないでよ。初デートでね行くことに」



 観る会当日。


「あれ、みずほさん。なんで……。まさかフラ…」


「違うわよ、彼にねアミちゃんたちのコトを話したら……」

「すみません。僕もご一緒したいと。僕も映画ヲタクなもんで」


   ☆ ☆


 あっと言う間に五月。


「え、結婚ですか会長。やはり……」


「そうよ、弟くんとよ。実はね出来たの」


「え、まさか子ども?!」


「そう、だから早めにね」


 まさか、辰巳(たつみ)が、出来ちゃた婚に。

 あいつやるときは、やるわね。


 わたしはココ数年、彼氏無し。

 映画ばかり観てたわ。

 あれ、会長も。


 これから式のコトで大変だという会長と別れた。


 街中で。


「待ってよ愛ちゃん!」


「ごめんなさいと言ったわよ」


 小学生だ。


「映画ヲタクだって結婚出来ると言ったじゃないか」


 あたりまえよ。ナニ言ってるのかしら?


「だからぁ〜普通の人が映画ヲタクと結婚すると不幸になるのよ。テレビで占い師が言ってたわ」


 え、ホント!


   ☆ ☆


「イイでしょキネマちゃん」


「え、わたしが。会長はまだ」


「ええ、結婚するまでは私が。その後はキネマちゃんに会長をお願いします」


「会長なんてわたしは……」


「副会長、してるじゃない」


「会長と副会長では……。それにわたし、まだ二十代ですから」


「あのね、キネマちゃん。会長は歳関係ないから」

 

             つづく

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