十月二十三日
六時五十分過ぎ、目を醒ます。早起きというほどでは無いけれども、少し早く起きた私には二文くらいの得があっていいはずだ。ここ最近七時前に起きれているのは良い兆候だと思って、朝の振るわない気分を上げる。
今日は水曜日、元々全校の部活がない日だ。通勤ラッシュで鮨詰めになった電車に乗った後で、なぜバレー部に入ったのかを考える。
中学時代は文芸部だった私。部に入りたての最初の頃は、読書が好きな私は新しい小説の数々に触れ合うのを楽しみに、地元の公立中学校の図書室へ赴いた。
それもほんのわずかな間のことだけだった。公立校の貯蔵量など高が知れているし、どれも古臭い作品ばかりだった。私はすぐに飽きてしまい、二年生になる前には幽霊部員になっていた。
その後は有り余った時間を勉強に割き、県内でも有数の進学校に入学した。バレー部の新入生歓迎会に参加して仮入部に踏み切ったのは確か、そんな退屈な日々から抜け出すためだったはずだ。
それなのに、中学時代に友達を作る機会を逸してしまったがためにメンバーとの交流に失敗した私は、周りが悪いとでもいうかのように距離を詰めることもせず、排他的な態度で練習に参加しているのだ。
そろそろいい加減にバレー部で活動するのも限界がきている。ちょうど潮時かもしれない。
ぼんやりと遠くを見ていた視線を電車の中に戻すと、満員電車に揺られる人々が私の目に映る。灰色のスーツを着た男性、単語帳を捲る高校生、車内広告を見上げるサラリーマン風の女性に髪の薄くなった中年男性まで。
――その誰もが同じ表情をしていた。
いつもと変わらない日常に飽きたりたような顔、無表情で、それでいてつまらなそうな顔。まだ先の長い今日が来るのを、受け入れたくないかのような。
――私はどうなんだろう。
ふと浮かんだ疑問に背筋が冷える。否応なく迫り来る淡白な毎日に、嫌気がさしてるのではないか。
そうだ、きっとそうに決まっている。
この先も私の心を他所に、つまらない毎日が続いていくに違いない。
電車の扉付近に設置されたモニターが退屈なニュースを告げる。いつか見かけたカタルシス=アポカリプスとやらが破滅を叫んでいる。なんと馬鹿らしいことか。
いい加減に私を呆れさせるのもやめにしてほしい。
心地よい電車の揺れに身を任せていれば、学校の最寄駅に着いてしまうのだった。




