表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/219

ぐぁぁぁ、と女らしからぬうめき声をあげて美咲が悩んでいる頃。



ラウンジで珈琲を買っていた哲の携帯が、着信音を鳴らす。

「あー、亨? え、今? うん、大丈夫」

相手は亨。

{待ち合わせなんですけど、今日そっちの方に行くんで本社のそばで待ってますね}

「あ、ホント? じゃあ、七時には外に出るようにするな。美咲にも言っとくから。あと、別に俺相手に敬語使わなくていいぜ? 同い年だし。な?」

電話の向こうは何か逡巡しているようだったけれど、分かりました、と答えて通話を切った。


携帯をYシャツの胸ポケットにしまいながら、自販機で缶珈琲と紅茶のペットボトルを買う。

あいつは珈琲より紅茶派だから。文句はねぇだろ。

小銭を自販機に入れながら、小さく溜息をつく。


つい、本音言っちまった。

あいつが気にするの分かってるのに。

ホント、俺ガキだよなぁ


……どうも、焦ってる自分がいる。

最近、課長が目に見えて美咲をかまいだしたから

多分、打ち合わせの翌日から。


今まで、通り一遍の無表情ポーカーフェイスだったのに、美咲と話してると感情が表情にも声音にも言葉にも表れてる。

美咲はからかわれてるっ! て怒ってたけど。


そうじゃない。


目に見えて、特別扱いを始めたんだ。

本人もきっと分かってて。

間宮さんも斉藤さんも、微笑ましく見守ってる



「あーあ」

取り出し口に出てきた缶珈琲を取り上げながら、思わず目を瞑って息を吐く。



――多分、俺


感情の箍をはずすきっかけ、多分、俺




ポケットから小銭を取り出して、投入口から力なく落とす。





美咲のことで企画室の前で話した時。

自分で思っていた以上に、課長を煽ってしまったらしい。


気付いて後悔しても、後の祭り。

美咲はいらいらしながらも、傍から見れば以前より課長との間が縮まっているのが分かる。




そして――


無意識に、俺との関係も確立してきたように――


――感じる




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ