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13

「あー、疲れた」

一通り川島くんの愚痴を聞き終えて、酔い覚ましに居酒屋を出る。

会社から程近いこの居酒屋は、六階建てのビルの最上階に入っていて。

ドアを開けて外に出ると、冬の冷たい風が身体を包む。


「ちょっと寒いかな……、って言っても顔は涼しくて気持ちいいなぁ」

肘をのせるのに丁度いい高さの囲いにもたれかかりながら、眼下を見る。

網目のように張り巡らされている道路に、途絶えることなく車が走っていて。

いつもなら大きいそれも、上から見ると指で押しつぶせてしまいそうだ。

遠くのほうで電車の走る音が響いてる。


「――皆、すごいよなぁ……」


他部署とあまり会うことがないからかいろいろ聞かれたけれど、それ以上に企画課に対する憧れというか評価というか……が思っていたよりも高くて驚いた。

課長は言わずもがな、斉藤さんも間宮さんも。

それ以上に驚いたのが――



年下の癖に、出世街道まっしぐらだったらしい哲のこと。

今日、初めて知った。


「……」


お酒臭い溜息を、酔いも手伝って盛大に口から吐く。


ゆっくりと、頭の中でさっき言われた言葉をかみ締める。


――このまま営業一本でエリート街道突き進んでいくと思ってたからさぁ



異動希望を出したから通るわけじゃない。

ただ哲のことだから、考慮されるくらいの実績を自分で積み上げてから希望を出したんだと思う。




「私の、せいかな……」



呟いてから、両腕で自分の身体を抱きしめる。


二年前、私は企画課に異動した。

それまで商品管理課と営業部にそれぞれ所属していた私達は、結構普通に会う機会が多かった。

少なくても、おばさんの出張中は大体食事しに来てたし。

けれど私が企画課に行ってからは、まず会社で会うことがだいぶ減って。

哲がうちに来ても、残業で帰っていないことが多かった。


まさかと思うけど――まさかなのかな……



自意識過剰かな。


わかんない……けど――


でも――


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