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「それは愛の力さ、美咲ちゃん!」


「は?」

突然聞こえてきた声と、身体が宙に浮く浮遊感。


何が起きたのか分からず、お弁当を落とさないようにまだふたを開けていないランチバックを胸に抱え込むことしか出来なかった。


「え? 何?」

呟きながら、背中に触れる体温と少し漂う柑橘系の香水の匂いに、頭が反応して力が抜ける。

「なんで真崎さん、ここが分かったんですか――」

私の天国が……極楽が……


私を後ろから抱き上げている真崎さんは、そのままの体勢で笑う。

「それは僕に、美咲ちゃんレーダーがあるからさ!」

「そんな馬鹿なもん、神戸の広報部においてきてくださいっ」

「まぁまぁ美咲、そこで怒鳴り返すから、この子供は付け上がるのよ。少し、黙ってらっしゃい」

――コドモ……?


加奈子の言葉に、動きがとまる。


今、真崎のこと子供とおっしゃりまして……? 加奈子さん……

一応これでも、二期上の先輩……


目を丸くして加奈子を見ると、彼女は天使の微笑でふんわりと表情を緩める。


「年を重ねただけのお子様に、言葉を分かれと言ってもそれは無理難題だわ。ねぇ、真崎先輩」

表情が微笑みでコーティングされているだけに、毒の込められたその言葉がとても怖いです、おねぇさま――


真崎じゃなくて、私と哲の方が硬直中。


「その子供っていうのは、僕のことかな?」

「他に誰かいらっしゃるかしら? もしどなたか見えているのなら、精神病院か霊能者をお勧めいたしますわ」

「それは君が紹介してくれるのかい?」

「ふふ、知り合いに真崎先輩をご紹介するなんて、そんな失礼な事出来ません」


思い出した――

加奈子と真崎って、すこぶる仲悪かったんだっけ……




私は溜息をつきながら、真崎の名を呼ぶ。


「とりあえず、私を降ろしてから話してくれませんかね……」



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