表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/219

17

「まっじで? うっわー」

いろいろと推敲を重ね抜粋を重ね消去も重ねて、なんとか今までの経緯を話し終えた後。

斉藤さんの表情は、私にとって厳しいものでした。

はい、男二人への同情的表情です。はい。

それを見つつ、お酒に手が伸びる。

くそうっ、呑まなきゃやってられるかっ!


「生殺しだぁ、生殺し。同情するわ、課長と瑞貴に」

「そんなぁぁぁ」

すごい同情の嵐に、肩を竦めて斉藤さんを見る。

斉藤さんは向こうの壁に背中をつけて、呆れ顔。

「私、悪者ですか?」

「う~ん、まぁ、久我の気持ちも分かるけど」

「ですよねっ?」

がばっ、と机に身を乗り出すと懸命にまくし立てる。


「だってだって、ずっと幼馴染やってきたんですよ。いきなり態度変えろって言われても、無理ですしっ!

課長だって一年以上、上司部下やってきて、それ以上にあの性格。分かれって方が無理だと思いませんか!」

「――いや、まぁそうだけど。瑞貴に関しては気付かないお前の方が、ある意味貴重」

ぐぅぅぅ……

加奈子にも言われたなぁ、くそう。


斉藤さんは溜息をつくと、頬杖をしながら私を見る。

「課長に関しては、俺も分からなかったなぁ。ていうか俺、久我を女と見たことないし。企画室来てからの久我に惚れたんなら、課長の好みが分からん」

――それも、なんだか、微妙なお言葉ですが

表情に微妙なものが出ていたのか、斉藤さんは笑いながらだってさーと話し出す。


「さすがに女性社員が一人、部署に来るって言われた時は大丈夫かなぁって思ったけど、すげぇ仕事するんだもの。俺らの中にいても物怖じしないし。女っつーか妹? みたいな」

――あぁ、それ意味分かる。

斉藤さんも間宮さんも、おにーちゃんみたいっていうのは、思ったことある。

課長はおにーちゃんじゃなくて、課長! でしたが。


「でも、あの拗ねた課長は面白かったなぁ」

「確かに。ちょっと、笑えました」

小さく頷くと、斉藤さんも頷いてまた背中を伸ばして壁にもたれる。

「俺、大学ん時から加倉井課長の事知ってるけど、あんなこと言ったの初めて聞いたよ。付き合ってた彼女もいたのになぁ」

「へぇ、どんな人なんですか?」

あの課長と、お付き合い!

うーわー、想像つかなーい


といいつつ。

貫徹した夜を、思い出す。

見たことのない課長の笑顔。

うん、普段とのギャップで落ちる子はいる気がする。

ていうか。

ごめん、わたしもちょっとクラリときました。

いや、別に謝る事じゃないんですが。


だってさー、いつもストイックな感じなのに、いきなり……アレで……ソレで……あの笑顔は、――どきっとしてもおかしくないと思いますっ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ