表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
206/219

君だけを見つめていた 3

Side 宗吾



目を、奪われた。

彼女の、ドレス姿に。



控え室で、フロックコートに着替える。

男なんて、簡単なものだ。

女と違って、髪も自分でやるし化粧はない。

普段着で来て、着替えるだけ。

のんびり準備をしていて、少し、美咲より控え室から出るのが遅かった。

時間があると思って、そこまで急がなかった。



――だから



最初の言葉を、あいつに盗られた。




「……綺麗だよ、美咲」



そう彼女に告げる男の姿に、控え室から出た俺は体の動きを止めた。



愛しそうに、眩しそうに、美咲を見下ろす瑞貴の姿。

全身が……その声音が、瑞貴の全てが美咲に向けて想いを告げている。



愛している

愛している

愛している




暗い嫉妬心を感じると共に、その姿が……俺が言うのもなんだが、切ない。



ずっと想い続けてきた幼馴染が他の男に嫁いでいくのを、笑いながら見送らねばならない瑞貴の姿が。


恋敵だった。

きっと、まだ今も。

でも、最後は美咲の心を……想いを最優先に、彼女が幸せになるように背を押してくれた。

その先に、俺が待っているのが分かっていたのに。



俺は、瑞貴を、年下だが尊敬している。

口には出さないが。

出す事もないだろうが。

いくら好きな女の為とはいえ、あそこまでやれる人間はいないと思う。



だからこそ。



美咲は俺を選んだけれど、瑞貴が大切で大事な存在である事は変わらない。

天然で鈍感で、……素直な彼女は、無意識に瑞貴を縛り続ける。

それを望む、瑞貴の気持ちと共に。


それを、罪と呼ぶか。

絆と呼ぶか。



ふと視線を上げると、美咲の横に立つ佐和と目が合った。

困ったような視線で、俺を見てそのまま瑞貴に戻す。

その顔はまるで弟を見守る姉のような雰囲気で、その後ろに見える真崎でさえも同じ様な笑みを浮かべていた。


美咲は真っ赤な顔を瑞貴と佐和に向けていて、まだ俺の存在に気付いていない。


綺麗な、美咲。

俺の為に真っ白なドレスに身を包む、綺麗で愛しいひと。




俺が、言いたかった。

一番に。




でも、それくらいは、許すべきだと、告げる自分がいる。




これからの、美咲の全てを俺が受け取るのだから。







短いので、今日中にもう一話アップしますm--m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ