表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/219

「どうしたの? 久我さん」

「え?」

その声に、顔を上げる。


斜め前に座る間宮さんが、私を心配そうに見ていた。


「なんだか顔が赤いよ? 風邪でもひいたのかな」

間宮さんの言葉に、一気に顔に血が上っていく。


優しい穏やかな物言いの、間宮さん。

いつも癒されていますが!

今日だけは……! 今日だけは、気づいて欲しくなかった!


私は慌てて両手を振ると、上擦った声で答える。


「いえっ、その、なんでもっっ!」

その声は、自分で聞いてもおかしくて。

どー考えても、動揺しまくりな声。

「んー? どれどれ」

隣から、斉藤さんの手がおでこに伸びる。

「別に熱はないみてーだけど?」

「いえっ、なんでもっ! なんでもないっ、ですっ」

斉藤さんの手から逃げるように、椅子を後ろに引く。

「久我?」


――っ



課長の声に、思わず立ち上がった。

「えっと、あの資料室! 資料室に行ってきます!!」

傍に置いてあった筆記具を持つと、私は企画室から逃げ出した。




――――――――――




残された部屋の中では、首を捻る間宮と斉藤。

そして美咲が途中で放り投げたスケジュールを覗き込む、課長の姿。

「なんだぁ? 久我、どうかしたの?」


斉藤が間宮を見ると、彼も首を捻るばかり。

課長はスケジュールを保存してパソコンの電源を落とすと、そのまま席に戻る。

「ま、久我がおかしいのは今に始まったことじゃない。ほっとけばそのうち戻ってくるだろ」

「まーた、課長。そうやって冷たくするから、嫌がられるんですよ」

苦笑い気味に斉藤が言うと、課長は一瞬目を上げて斉藤を見る。


「斉藤」


課長の視線に、首を捻る。

「なんです?」

そのまま課長は、パソコンに視線を移した。


「仕事しろ」


「――へーい」

肩をすくめてデスクに向かう。



これで話は打ち止めとなった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ