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恋愛をしてみなさい―1

恋愛へたれですみません




仕事、頑張るだけじゃダメですか?






――第2章 恋愛をしてみなさい









「あぁ、久我。お前の企画、通ったぞ?」

哲が出張で福島に行って一週間。

少し身構えていたけれど、別に課長から何を言われるでもなく毎日は過ぎていって内心安心していた。


昼休憩を終えて屋上から戻った私を、課長が企画書をぴらぴらと振りながら呼ぶ。

「企画? って、先週出したやつですか?」

慌てて課長の傍による。

「それ。俺が進めてる企画と連続させたいらしいから、時間的に結構ハードだが。大丈夫か?」

「はい、ありがとうございます!」


わ~い、自分の企画が通るのって、嬉しいんだよねぇ。


歌いだしそうなくらい上機嫌で答えると、課長は時計を見て私に視線を移す。

「俺と行った展示会の素材を使うんだろう? 急で悪いが今日の夕方、向こうとの打ち合わせがあるが出れるか? 担当を紹介してやる」

「もちろんです、お願いします!」


企画書を課長から受け取って、自分の机に戻る。


横の席の斉藤さんが、にかっ……と笑って私の頭を軽く叩く。

「課長と一緒に展示会に行かせた、俺のおかげ?」

「感謝ですよ、斉藤さん~」

鼻歌うたいたいくらいだわ。

よしっ、今日中に企画つめちゃって、早く進めよう。

パソコンの電源を入れて、スケジュール立てから始める。



今日からのスケジュールをエクセルに起こしながら、頭の中で予定を組み立てていく。


――今日、素材を大まかでいいから決めてしまえれば、早いかな……


来月に入ると、忙しくなるからなぁ。


すでに決まってるスケジュールを書き込みながら、ふと手が止まる。

来週の金曜日の欄。

この日、哲が福島から帰ってくる。



――全力で、奪い返す



哲の言葉を思い出して、顔が熱くなる。

自信満々なところとか、強引なところとかいつもと何も変わらなかったんだけど。

何だろう、まっすぐに気持ちをぶつけられると、こっちはうろたえる。

今までが、今までで。ひねくれた哲とずっと一緒にいたから。

そりゃあ、嫌いじゃない。嫌いだったら、幼馴染やってない。

けれど、男として好きかといわれると、分からない。



でも――



あのキスは、驚いたというか……


そんなに経験あるわけじゃないですが、その……


どんどん頬が熱くなっていくのを止められず、左手で頬杖を付いて周りから顔を見えないように隔す。


――上手くないですか? 哲くん。


私のことずっと好きだったとか言ってましたが、どれだけ場数踏んでんだよー




小さく溜息をつく。


うぅ、幼馴染相手に、こんな考えを持つことになろうとは、思いもしなかったよ……




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