表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
135/219

25

**************************************



美咲の部屋を出て、階段を降りる。

宵闇だった空は、真っ暗な夜に変わっていて。

駅までの道を、前のめりで足早に歩いていく。




なんで、俺じゃないんだろう。

美咲の横にいるのが。

どうして、俺じゃないんだ。


課長に渡すために、美咲と一緒にいたわけじゃない。




小学生の頃から、今思えば独占欲丸出しで、美咲にまとわりついてた。

自分では、なんとも思わずに。

ただの、幼馴染なだけだって。

でも。

中学校に入って制服を着た美咲を見たとき、性別と年齢の差を突きつけられた。

ずっと俺と同じだと思ってたのに、いきなり大人びて見えた。



俺の知らない世界が、美咲の日常になった。

どんなに追いかけても年齢だけは、越えられない。

なら、見合う男になりたいと思った。

美咲の世界にずっと必要と思ってもらえる、そんな男に。



今は、そう見てもらえなくても。

男としてみてもらえなくても。

いつかは、きっと……って




苦しい。

幼い頃からの、片思い。

どうやったら、消すことが出来る?



苦しくて、苦しくて。

美咲に、壊してもらおうと思った。

好きな人に、消してもらおうと思った。



切り捨てられたその傷の痛みで、毎日をごまかして生きていこうと思った。






頬に風が当たって、その冷たさにいつの間にか涙が零れているのに気付く。

片手でそれを拭うと、足を止めて空を見上げた。




――辛いけど

でも、もういい

もう、充分




苦しいけど

ホントは、嫌だけど






――なんで泣きそうなの?




悲しそうに、俺を見つめて美咲は言った。








俺の気持ちを、お前は探し出してくれた

俺を、お前は信じてくれた




お前が、好きだ

今だって、きっとこれからだって

俺の幸せを望むなら、ここでお前を壊してしまえばいいのかもしれないけれど。



お前の幸せを望むから、俺は、幼馴染に戻るよ。

お前を守れる、場所に戻るから。




いつか、この気持ちが薄れる時が来るとしても





幼馴染の、大好きな美咲ねーちゃんを守りたいから――





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ