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ゆっくりと開くエレベーターのドアをじっと見ていたら、そこには女性社員が一人。

バインダーを抱えて、階数ボタンのある左端に乗っていた。


うわ、こいつ柿沼の取り巻きだ。宮野っていったかな。

しかも、すげーうるせぇ奴。


一瞬乗るのをやめようかと思ったけれど、流石にあからさま過ぎたのでやめた。

俯いている彼女を見下ろしながら、足を踏み出す。




宮野は俯けていた顔をなんでもない仕草で、ふぃっと上げた。


「……っ」


俺と目が合った途端、目が丸く見開かれ口がかすかに開く。


「……?」


いつもと違う表情に、こっちが呆気に取られてエレベーターに乗り込む前に足が止まった。


「――何?」


宮野の目は見開かれたまま、じっと俺を見上げていて。

あまりにも見つめるから、声をかける。

途端、弾かれたように俺から視線をはずし、エレベーターから降りようと歩き出した。



――おかしい……



その行動に、とっさに腕を伸ばして前方を塞ぐ。

「……っ」

びくっと、肩を震わせたのを、俺は見逃さなかった。






高校の、感覚が、蘇る。







-------------------------------------------------------








――私じゃない! 瑞貴はわかってくれるよね?


わかんねぇよ


――久我が悪いんだから!


お前が悪いんだよ


――あの人のどこがいいのよ!


全部


――いなくなっちゃえばいいのに!!




   ――――お前が、消えろ……











---------------------------------------------------





甦る、記憶に、わずかに目を瞑る。





なぁ、もしかして。

もしかして……




また、俺は、美咲を守れなかった――?


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