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23

既に冷め切った珈琲を喉に流し込んで、窓の外に目を向けた。


視線をずらして、壁にかかった時計を見上げる。

六時近くを指す、針。


俺の視線に気付いたのか、間宮が腕時計を確認した。

「もうそろそろ戻らないと、課長と瑞貴が変に思うかもしれないね」


倉庫に探し物を見つけに来ただけ。

あまり遅くなると、見にこられてしまうかもしれない。


「俺、戻るから」

間宮はそう言って、飲み終えた缶を手にとって立ち上がった。

「僕も、そろそろ広報に戻らないと。斉藤は、しばらくここにいて」

立ち上がる真崎を見上げる。


「そうだね。斉藤はきっとごまかせないから。本社の人間が大体帰り終わる七時くらいまで、誰かが倉庫に入らないように見張ってて」

間宮を見て、頷いた。


確かに、俺には無理だ。

笑って話せる、自信がない。


俺の飲み終えた缶も一緒に手に取ると、二人は部屋から出て行った。




静まり返る、室内。

机に肘をついて、両手で頭を抱える。



――怖かった



目を瞑る久我を見て。


冷たい水をぶっ掛けられたような、感じがした。


あんなことを、今まで幾度もされてきたのだろうか。


慣れてるからって、噂のことで久我に謝った時、言われた。

それ自体が、俺を安心させるためについた嘘だったのかもしれないけれど。



辛かったに違いない。

苦しかったに違いない。



でも、俺達や……課長や瑞貴のために、笑って過ごしていたのだと思うと、久我の言葉に安心していた自分に罰を与えてぇ。




七時が大幅に過ぎた頃、間宮のメールでやっと俺はその部屋を後にした。





短くてすみません。

今日、せめてあともう一回は更新します

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