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18

「斉藤さん、美咲の鞄そこにありますよね?」

瑞貴が携帯でメールを確認しながら、俺の方を見た。

「あるよ。鞄もコートも」

その言葉に、瑞貴が顔を顰める。




――そう



俺の隣のデスクには、鞄もコートも置いてあるけど本体がいない。


久我からよくわからない外回りに行くという連絡が来たのが、一時半過ぎ。

電話を取った課長は、怪訝そうな顔をしてしばらく顔を顰めていた。


「瑞貴、お前にはなんて連絡来たんだ?」

メールで久我に連絡を取っていた瑞貴は課長の言葉に、首を傾げながら携帯を机の上に戻す。


「多分同じ内容だと……、急に呼び出されたからメーカーに行ってくるって――」


二人とも、というか今ここにいる久我以外が、全員腑に落ちない表情でお互いに顔を見合わせた。

確認しようにも、出先の会社名を言わなかったらしくて、お手上げ状態。


いつもなら確認するんだろうに、課長も確認を忘れたらしい。


「まぁ、本人がそう言うんですし、確認もとりようがないなら仕方ないんじゃないですか?久我さん真面目な子だし、さぼりとかそういうものではないと思いますが」

間宮の言葉に、それはそうだが……、と課長が呟く。


「後でもう一度、連絡してみたら? 何の資料も持って行ってないんだから、まさか夜までってことは無いんじゃないかなぁ」

そう瑞貴に言うと、納得したようなしないような複雑な表情で、そうですね、と呟いた。




微妙な雰囲気を維持したまま時間だけは過ぎ、夕方に突入しようとした時、企画課のドアが勢いよく開かれた。


「斉藤! 前にやった企画の資料頂戴」


久我かと思って全員で見つめたものだから、真崎が珍しく驚いて瞬きを繰り返す。

「どうしたの、皆。なんか変」

ドアを閉めて中に入ってくる真崎に、皆して溜息をついた。

「なんだっけ? 企画の資料?」


不穏な空気になりそうな雰囲気を消そうと、引き出しを開けながら真崎に話しかける。

真崎は、うんそう、と不思議そうな表情で横に立った。


企画の資料……企画の……


「あ」


置いてある場所を思い出して、思わず声を漏らす。

「何?」


なんとなく課長や間宮の視線を気にしつつ、苦笑い気味に真崎を見上げた。


「わりぃ、資料……倉庫だ」


間宮の信じられないものを見る視線が、俺に痛かった(涙


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