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体を入れ替えられて聖女では無くなったけど何も問題ありません  作者: アイ氏
1章『病』の王子と『冷遇』聖女

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討伐隊の到着

魔獣の襲撃から数日が経った。


あれから私の結界が効いていて、魔獣は一度も村に姿を現していない。


そうして討伐隊の騎士達が、ようやく村へとやって来た。


私が張った結界はまだ維持されているけど、あと数日で消える所だったので、これで一安心。


そう思っていたら村の人と共にやってきた討伐隊の人達から回復役として私に同行して欲しいと頼まれた。


「貴女がマリアさんですか?村の者達から回復魔術が使えると聞いた。良かったら、我々に手を貸してくれないか?勿論、貴女の事は我々が守るし、後方で待機して怪我人を治療してくれたら、それでいい」


そう頼まれので、私は快く引き受ける事にした。


「分かりました。お手伝い致しますわ」


そして私は彼らに同行する事になった。


村を放れ、森の近くまで来ると酷い邪気が漂っていた。


その気配を感じ皆に緊張が走る。


だから私は討伐隊の皆さんが魔獣相手に少しでも有利に戦える様に、『肉体を強化する光魔術』を使う事た。


「皆さんに今から私が武器や皆さんの体を強化する補助魔術を掛けます。この魔術は数時間しか効果が無いので、それまでに魔獣を倒して下さい。では掛けます」


『聖なる光よ。剣に宿り悪しき魔獣を退け』


これで普通の剣から、神聖力を宿した聖剣になる。


神聖力には邪悪なものを退ける力がある。


だから魔獣にも、多少効き目があるはずた。


そして光魔術には様々な身体能力の強化魔術がある。


『強い力と風のごとき速さそして鳥の様に優れた視力を彼らに』



初めての魔獣討伐の手伝だから加減がわからない私は私に出来る『ありとあらゆる補助魔術』を彼らに掛けたのだ。


当初は半信半疑だった討伐隊の騎士達も、魔術を掛け終わる頃には、とても驚き騒ぎ初めた。


「なんだ!これは体から力が溢れる!それに信じられない位に体が軽い!」


「こんな魔術があるなんて!」「信じられない!」



そんな騒ぎを隊長と覚しき人が隊員達を諌めそして命令をする。


「これほどの凄い魔術の恩恵を受けたんだ!ここで我々が魔獣を完璧に討伐しなかったら、騎士の名折れだぞ!さあ!戦闘開始だ!」


「おう!」


そう言うとこ森の中へ意気揚々と入っていった。



私は森の外で、私を護衛する為に残った騎士の人と皆さんの帰りを待っていた。


数時間後、魔獣討伐部隊は1人の怪我人も出す事も無く無事に終わった。



そして私達は再び村へと戻った。


村では、魔獣討伐の成功と、討伐隊の皆さんを労う為に、宴会の準備がされていた。



私の生活魔法の腕も上がったが、やはりプロの料理人が作った食事は匂いや見た目からして違い食欲がそそられる。


宴会の料理はバイキング形式で、好きな料理を自分で取って食べる形式だ。

私は早速、取り皿を手にノアールに話しかける。


「ノアール。見てご馳走が沢山並んでいるわよ!何から食べて良いか迷ってしまうわね。ノアールは何がいいかしら?」


「マリア。あたくしは魚料理をお願いしますわね」

ノアールは聖獣といっても、やはり猫だから、魚が好きなようだ。


私は、ノアールの希望通り、魚を皿に盛り、次に自分の食べ分を皿に盛って漸く席に着いた。


私とノアールが料理を食べて居ると、討伐隊の隊長さんが私に話掛けてきた。


「マリアさん。大変図々しいお願いではあるが、貴女の力で、第二王子であるセインフォード殿下の病を治して頂け無いだろうか?」


それは突然の申し出だった。


「セインフォード殿下ですか?」


隊長さんの話を聞いて、他の隊員達も私の周りに集まって来た。


「「どうか、私達からもお願いします」」


そう言って隊長さんを初め討伐隊の全員のが私に頭を下げた。


一応、貴族の令嬢という事になって居るが、私の様なそう平民と変わらない人間に頭を下げてまで頼むなんてアルティミではなかった事なので驚いた。


そして第二王子のセインフォード殿下という方が、皆さんから、とても慕われているのが分かった。


本当は、また身分の高い人に関わりたく無かったが、こんな風に頼のまれたら無視なんて出来ない。


「分かりました。私で良ければ療養中の殿下の元にいって病を治療して見ますわ」


◇◇◇

そして宴会から自宅に戻って来て早々にノアールが心配そうに尋ねてくる。


「マリア。よろしいんですの?あんな約束して?」


「ええ。だってあんなに熱心に頼まれたら、お断りし辛いし。それに私は、光魔術の中では回復が一番得意なの!だからどんな病気か分からないけど、きっと治せると思うわ」


「マリアが、そう言うなら、あたくし何も言いませんわ。ただ貴女、ちょっと自覚が無さ過ぎますが、はっきり言って貴女の魔術は凄い力です。もし、この先も平凡に生きたいのら、余り力を使わない事をお勧めしますわ」


「そうかしら?アルティミでは、そんな事を言わた事が無いわ。でも治療する約束をしてしまったし王子様を治したらノアールの言う通りにするわ。

それでノアール。明日の支度なんだけど荷物は余りいらないわよね?後、旅行鞄は確か物置に有ったわよね?」


「ええ。ロザリアがこの屋敷に来た時に持って来た物がありますわ。ちょっと大きけれど、今回はそれで良いと思いますわ」


「ありがとう。ノアールは何か持って行く物あるかしら?」


「あたくしは特にございませんわ」


「そう?もし後から必要な物があったら言ってね」


「ええ。分かりました」


そうして、私は旅の支度に取り掛かった。


そして、この旅が私の運命を大きく変える事になるとは、この時は思わなかった。

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