村を魔獣から守ります
朝日が今日も眩しく照らす。
目覚めた私は、手間どる事なく身支度を調える。
体が入れ替わってから早いもので1ヶ月以上が立った。
ノアールのお陰もあって、私はすっかりこの体や新しい生活にも慣れていた。
シンプルなドレスに自分で着替えて、そして洗面器に水を張る。
「湧き出ろ。ウォーター」
そう呪文を唱えれば水が洗面器に水を張る。
「灯れ。ファイア」
小さな火を起こして、その周りを結界で包んでから、水の中へと沈める。
こうすると冷たい水がぬるま湯に変えられるのだ。
そうして、洗顔と歯磨き、髪を三つ編みに結ってからエプロンをして朝食の準備に入る。
(う~ん。今日のメニューは、チーズクロワッサンに、ほうれん草の入のオムレツとトマトサラダ。それからデザートに甘い蜂蜜をタップリと掛けたヨーグルトが良いわね)
朝食のメニューを決めて私は早速、朝食作りに取り掛かった。
今や私の『生活魔法』は日々レベルアップしいて、同時に数種類の料理を平行して作れる様になっていた。
そして朝食が出来たタイミングでノアールがやってくる。
「おはようございます。マリア」
「おはよう。ノアール。朝食の用意が出来ているわよ。今日は暖かいし天気も良いから、外の庭で食べるのはどうかしら?」
「良いですわね。そうしましょう」
この1ヶ月は穏やかなで平和な日常で私は幸せに暮らしていた。
それに体が入れ替わって直ぐに、魔獣に襲われた村人を助けたお陰で村の皆さんは、私に好意的だ。
お陰で食糧も色々と融通して貰えるし、私が森の中で取った、木の実やキノコ、山菜等も買い取って貰ったりして、僅かながら収入にも恵まれた。
他にも、『光魔術』で簡単な治癒をしたりもする。
そして村にやって来た商人さんに、お願いして派手なドレスとシンプルで動き易いドレスを数着交換して貰った。
お陰で、今では1人でドレスを着替えるのも簡単になった。
だだ、この日はだけは村人が慌てた様子で、私の家に飛び込んできた。
「マリアさん!!食事中に悪いが直ぐに来てくれ!!村が魔獣に襲われて沢山の村の者が怪我した!」
「分かりました!すぐに行きます!」
私はそう答えると、ノアールと一緒に急いで家の中に入り外出の支度をする。
そうして、村へと急いで行くと村は想像以上に酷い状況だった。
辺りは、魔獣が暴れ回ったらしく建物が壊れ足り、生活用品等が散乱していたし、血も飛び散った後があった。
村の小さな診療所には、沢山の怪我をした人達が居て、横になっている明らか重症の怪我人から座って手当の順番を待っている軽症者等様々いた。
この村で唯一のお医者様も、1人では手が回っていない。
私は直ぐに、この状況で1人1人を回復させるのは時間が掛かるから無理だと判断した。
だから大きく息を吸い出来る限り大きな声でいった。
「皆さんお待たせしました!今すぐに広範囲の回復魔法を掛けます!だからそのままのの状態で動か無いで下さい。お願いします!」
そう言うと、皆は、ピタリと動きを止める。私はそれを確認してから、目を閉じて『神聖力』を集める事に集中し呪文を唱える。
『聖なる光よ集まりて邪気を払い全ての人々を癒し給え。範囲回復』
そう唱えてから溜めた魔力を一気に放出する。
私が放った魔力は、空に登り拡散して小さな光の玉となって村人達に降り注いだ。
この光魔術は重傷の怪我人も、一回で全てをを回復させる光上級魔術だ。
だから重軽症者、関係無く怪我人が、すぐに回復するので喜んで貰えると思っだけど、何故か、皆『し~ん』してしまった…。
予想外の反応に、私は不安になった。
(……えっと??私、治癒に失敗してしまったかしら?)
そんな状況に真っ先に声を掛けてくれたのは、ノアールだ。
「マリア。貴女なんて凄い力なの!一度に、こんなに沢山の人を治すなんて!」
そう言って驚くので、私は、ノアールに私の使った光魔術の効果を説明をした。
「ノアール。私は範囲回復魔法を使ったのよ。一度に沢山の人を治す魔術なのよ!だから皆が治るのは当たり前よ」
「それは分かっています。ですが、こんなに一度に短時間で治癒出来る者なんて何処にもいませんわ!!」
そう興奮気味に言っているが光魔術を使える人は私以外にも存在する。
アルティミでは驚かれる事は無かったし、寧ろ『聖女』なら出来て当然だと言われた。
(この国では神聖力を持つ人が居ないから、ノアールは、初めて範囲回復を見て驚いたのね)
そして今度は村の人達が私を取り囲んで興奮気味に、お礼を言ってきた。
どうやら、皆もノアールと一緒で範囲回復に驚いていた見た。
「マリアさん!ありがとう!!それにしても魔法の治療なんて初めて受けたが凄いな!腰痛まで一緒に治っちまった。お礼に畑の野菜何個でもやるよ!」
「オレもだ。昨日、森で追った、傷まで綺麗に治ってる。オレは肉だ!森で昨日仕留めたいい鹿肉があるんだ」
「マリアさんなら、ウチの食堂の料理はタダでご馳走するよ!」
そう言って皆がとても喜んでくれてた。
私は、これまでアルティミでも請われるままに光魔術で治療をしたが、誰もお礼なんていわれた事がない。
だからこんな風にお礼を言われるのは初めてで戸どう答えて良いか惑ってしまう。
「あ、ありがとうございます。その…どういたしまして?でもそんなに凄いお礼は別に良いんですよ。ほら、私は光魔術がちょっと使えるから、皆さんを治しただけで、そう助け合いです」
慌てふためく、私の姿を見て今度は皆が笑い出した。
そして皆さん大変な状況なのに、どうしてもお礼をさせてくれと言われ、私はまた村の食堂で、お昼ご飯をご馳走になってしまった。
食事を食べながら、私は村の人から魔獣討伐隊の派遣がある事を聞いた。
そして討伐隊が到着するまで数日掛かる事を知った。
そこで私は村を守る結界を張る事にした。
私の提案に村の人達も喜んでくれた。
そしてお昼ご飯を食べ終わった後、早速、
私は村の中心で祈りを捧げた。
『光よ。壁となりて、邪悪な者から我らを護りたまえ。サンクチュリア』
広範囲の結界は無事に張り終わった。
この結界は聖水晶の結界の様に永遠では無いが、討伐隊が来るまでなら消えないはず。
こうして結界も張り終えて、また私は、いつも日常に戻った。




