お忍びデート
謁見式から2日が過ぎた。
フレイヤ公爵夫妻は、私が大衆紙の記事を見せて謝罪したけど気にする事は無いと言って許してくれた。
そう言われても、私は、やはり記事の事が気になり、今はフレイヤ公爵邸から外出もせずに静かに過ごしていた。
当然、噂が落ち着くまでは、セインフォード殿下にも会えないかも知れない。
フレイヤ公爵領では、いつも一緒に居たので、そう考えると、ちょっと寂し…。
そう思っていたら2日後に殿下はフレイヤ公爵邸にやって来た。
その知らせを受けて、私は慌てて玄関に行きセインフォード殿下を出迎える。
そして会って直ぐに大衆紙のスキャンダルになってしまった事をお詫びした。
「あの殿下…この度は私とファーストダンスを踊ったせいで大衆紙の記事になる様な騒ぎになって申し訳ありません」
「え?こんな大衆紙の記事をマリアが気にする必要は無い。それに私はマリアと噂になれて嬉しかったのだが…マリアには迷惑だった?」
そう少し悲しそう表情で聞かれたので、私は慌てて否定した。
「いいえ!迷惑だなんて」
「それなら何も問題無いだろう?それよりも謁見式から公爵邸に引きこもって居るって聞いた。大衆紙の記事の事を気にしているのは分かるが、全く外に出ないのは体にも良くない。どうだろ。私とお忍びで街を出歩いてみないか?」
「え?でも…」
ここで迂闊に行動してまた記事にでもなってしまったら困るから、私は返事を躊躇ってしまった。
そんな私の背中を押してくれたのはノアールとカロリーナだった。
「マリア。折角の殿下のお誘いですもの。いってらっしゃいいな」
「そうですよ。私が記者にもバレない様にマリア様を完璧な町娘に変身させて差し上げます。お任せ下さい」
2人が強く勧めるので、私はセインフォード殿下と出掛ける事にした。
「分かったわ。殿下、それでは着替えて参りますので、少しお待ち下さい」
そう言って私は急いで自分の部屋へと戻った。
◇◇◇
私がカロリーナに支度をして貰っていると同時にセインフォード殿下も安物のジャケットやシャツにズボンに着替えていた。
だけど残念ながら、全然似合っていない。
その姿は『高貴な人が頑張って庶民に変装しました!』という感じだった。
それに殿下の白銀の髪やインペリアルブルーの瞳もそのまま無ので、このまま町を出歩けば直ぐにバレてしまう。
「あの、殿下…。失礼ですが、変装が全然変装になっていないと思うのですが…殿下の髪や瞳の色は王家と特徴ですし…」
「分かってる。だから仕上げに、これを使う」
そう言って、魔法陣が刻まれたプレートの付いたペンダントを私に見せた。
そのペンダントを首に掛けると殿下の髪と瞳の色が茶色に変わった。
「まぁ!髪や瞳の色が?!」
「髪や瞳の色が変わる魔道具だよ。どうだろう?髪や瞳の色を変えるだけでも、随分印象が変わったと思うけど」
「確かに…。パッと見ても殿下とは分かりませんわ」
「そうだろ。さあマリアもペンダントを付けて見て」
そう言って、私にも同じペンダントを渡してきた。
ペンダントをつければ私の髪の色が茶色に変わる。
自分では確認出来ないけど瞳の色も、きっと変わのだと思う。
私は、それが何となく嬉しかった。
そんな私の様子を不思議に思ったのか殿下が聞いてくる。
「髪の色が茶色に変わったのが、そんなに気に入った?」
「はい。ふふふ。聞いて下さい殿下。私、体が入れ替わる前は茶色の髪と瞳だったんですよ。だから元の体の私に戻った見たいだと思って」
「そうだったのか」
私が、そう言うと殿下は私を見つめて来る。
まるで本来の私を見られていると様で少し恥ずかしかった///
そうして私達は使用人達が利用する公爵家の裏門から外に出る。
少し歩くと事前に手配された辻馬車が道に止まって待っていた。
その馬車に乗って、私達は町へと繰り出した。




