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体を入れ替えられて聖女では無くなったけど何も問題ありません  作者: アイ氏
2章シオン聖国の異端審問官

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火刑の理由

マリア公女の左手には『黒百合』では無くて『白百合』の紋章が現れた。


想定とは違う展開だったが、どの道、左手に『白百合』の紋章が現れた理由を、私は審問官として把握しシオン聖国に報告する必要があると考えた。

 

そして突然、現れた聖獣の様子を見るに、明らかに全員が何かを隠していると思った。


だから私は少し厳しく問いただす事にした。


「この世で『白百合』の紋章が左手の甲に現れる可能性がある方は、だだ1人『聖水晶』に選ばれた『聖女』様だけです。ですが『聖女』様は、この国に居る筈がありません。どう言う事なのか改めてご説明を願います」


私が、そう問い正すとセインフォード殿下が隠す事を諦めたのか、あるいは言い訳が思いつかなかったのか事情を話しだした。


「全ての事情を正直に説明します。マリアの左手の甲に『白百合』紋章が現れたのは、ラインベルト審問官のご推察の通りマリアが『聖水晶』に選ばれた『聖女』だからです。

そして私の『王家の病』が治ったのは、マリアの力によるものです。

『地底の魔王』は、私の病を治して魔獣と戦わせたいという目的の為に、ロザリア·ピラカンザを何らかの方法で操り危険な魔術を行使させました。

その魔術は、マリアの魂はロザリア・ピラカンザの体に、そしてマリアの体にはロザリア・ピラカンザの魂が、2人の魂を入れ替える魔術です」


セインフォード殿下の話を聞いて、私はその危険な魔術の名前を口にした。


「その危険な魔術は『魂交換魔術』ですね?。マリーン・ピラカンザが残した研究にありましたね」


私がそう言えば、今度は聖獣が話してきた。


「ええ。その通りですわ。あたくしは、昔、マリーンと契約していた聖獣ですの。お恥ずかしい話ですが、あたくしは魔王に操られたロザリアに協力して、マリアとロザリアの魂の入れ替えに協力しましたし、魔王に魔術成功の対価も払いました。ですから、マリアは被害者ですわ!」


「話しは分かりました。それで聖女様は、アルティミ王国に帰国をお望みなのでしょうか?それとも、ロザリア・ピラカンザとしてクリーガァ王国で暮らしていくのですか?」


私が、そう聖女様に聞けば聖女様は必死に殿下への思いや、如何に日常が充実してるかを訴えてきた。


「私は、その出来れば、ずっと、このまま、クリーガァで//殿下のお側で暮らして生きたいと思っているの///そのセインフォード殿下は、とても優しくて、頼りになる素敵な方で、私、心からお慕いしているんです//それに、セインフォード殿下と『黒い森』を一緒に歩いて珍しい薬草を見つけて、新しい薬を作る事も、私が今一番の楽しみで、とてもやりがいを感じているの。他にも、手作りの料理を殿下に召し上がって貰ったり//それから…」


聖女様の顔は殿下への思いを話す当たりから段々と赤くなって行き、その隣りでは、セインフォード殿下が聖女様の話を耳まで赤くして堪れない様子で聞いている。

そして聖獣は少し生暖かい目で聖女様を見守っていた。


 必死に話す聖女様には申し訳ないが、聖女様が、

どちらの国で暮らすのかを確認したかっただけで、殿下のどこに惹かれたかや、2人のプライベートには興味が無い。


聖女様の意思も確認が出来たので私は話を変える事にした。


「聖女様のお気持ちは、とても良く分かりました。聖女様がクリーガァで暮らす事を、お望みなら、私達は何も言いません」


「え?本当?私、このまま暮らしても良いのね?」


「はい。勿論です。そもそも、我々は、魔王と取り引きした者も捕えるために来ました。

聖女様の手に『黒百合』の紋章はありませんので拘束する理由がありません。ただ、そちらの聖獣に付いては、もう少しお話をさせて頂きたく思います」


私は、そう言って聖獣の方に視線を移した。


「ええ。ノアールは魔王と取り引きをしているものね」


「先ずは『魔王』の紋章があるか、どうか、一度『聖石』で確かめさせて頂けますか?」


私が、そう言って『聖石』を差し出せば聖獣は抵抗を示す事なく応じた。


「…分かりましたわ」


そして聖獣が『聖石』に触れると紋章が額に浮かんだ。


「まぁ?!ノアールの額に黒百合の紋章が現れたわ!」


「な!?なんですって?!」


聖女様の言葉で聖獣は慌てて鏡が置かれて居る場所へ走って行った。


そして聖女様は不安な表情で聖獣の事を尋ねてきた。


「あの、それでこれからノアールは、どうなるのかしら?」


「どうも致しません」


「え??でも『黒百合』の紋章が現れたのに?」


「はい。我々シオン聖国、審問課は『地底の魔王』と取り引きをした人間を裁く機関です。

聖獣を捕まえて裁く事はありませんし裁いた事例もありません。

正し、一つだけ聖女様にお約束を頂きたい事がございます」


「何かしら?」


「それは、もし、あの聖獣が亡くなりましたら、その遺体を必ず火葬して葬って頂きたいと言う事です」


私が、そう言えば聖女様は少し驚いた様子だったが、それは仕方がない事だ。


帝国時代から王侯貴族、並びに平民まで土葬が一般的な国で火葬は馴染みがないのだから。


「か、火葬ですか?」


だから私は理由を話した。


「はい。これは公に公表されていないことですが、魔王と契約した者は死後、不死者(アンデット)と成り、そして魔王の従僕になると言われています。

帝国時代に魔王と取り引きをした者が火刑に処されたのも、その為です。ただし今は人道的観点から火刑は廃止され、罪人の死後、火葬をして葬っています」


「まぁ。そんな事が」


「因みに蘇った『不死者』は再び人間社会の中に入り込み魔王と契約させる仲介の役割を果すとも言われています。

当然こんな事が世に広まれば、大変な混乱が起きますので、この事は他言無用でお願いします」


「ええ。約束するわ」


私の話を聞いて聖女様も殿下も他言しない事を約束してくれた。


そして鏡を見て紋章を確認して来た聖獣が戻ってきた。


私の話が聞こえていたのだろう。


自らも聖女様に火葬を頼んでいた。


「そう言うことでしたら、マリア。あたくしが死んだら火葬をお願いしますわね。あたくし魔王の手下なんて絶対にお断りですから!」


そう聖獣に言われ聖女様も同意した。



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