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体を入れ替えられて聖女では無くなったけど何も問題ありません  作者: アイ氏
1章『病』の王子と『冷遇』聖女

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【番外編】王家の病が治った真相は?①

ー王宮執務室ー


突然、弟のセインが亡くなったと、フレイヤ公爵家から連絡が入った。


いつか、こんな日が来ると覚悟していたが実際に、その日がくるとは信じられなかった。


国王たる父上は会議中、王妃である母上は貴婦人達を招いてお茶会の最中だった。


弟のリーンは寄宿制の学校にいる。


勿論、私とて王太子として、色々と公務があるが、それでもスケジュール調整をして宮廷魔術師達に『転移魔術』の準備をさせてフレイヤ領へと急いで向かった。


『転移魔術』は、大変便利だが発動には複数人の魔術師の魔力が大量にいる。


宮廷には優れた魔術師が沢山いるが、彼らには彼の日々の業務がある。


大量に魔力を使えば業務にも支障が出る為、緊急事態で無ければ、この『転移魔術』は使えない。


だが、今は正に、その緊急事態なのだ。


そうして私は『転移魔術』を使い一瞬でフレイヤ領に着いた。


出迎えてくれた叔父上に案内され、セインフォードの遺体が安置されている場所へと向かう。


そこでセインの亡骸と対面すれば魔獣に殺られた為か服は乾いた血で汚れていた。


だが、その顔は安らかで、まるで眠っているようだ。


それだけが唯一救いだった。


そして私は叔父上と今後の手筈を話しあった。


そこへ、マリア嬢が慌てて部屋と入って来た。


弟の訃報を聞いて気が動転しているのだろう。


私が居る事には気が付いていない。


そして叔父上にセインに光魔術を掛けさて欲しいと懇願した。


正直、亡くなった人間が生き返るとは思えない。


そう考えれば安易な提案で私達の心を乱して欲しくなかった。


だがマリア嬢が『聖水晶』に選ばられた『聖女』である事を考えれば、どうしても彼女に期待してしまう。


叔父上も、そう思ったのだろう。


私の方を『チラッ』と見る。


恐らく、一人では判断出来ないから、私にも同意を求めているのだ。


だから私は意を決し頷いて同意した。


そして、その日、私はマリア嬢が、いや『聖水晶』の『聖女』が起こした奇跡を目の当たりにした。


そうマリア嬢の力で死んだセインは息を吹き返し蘇ったのだ。


それから数時間後には、両親もセインの死の知らせを聞いて『転移魔術』を使ってフレイヤ領に駆けつけて来た。


だが既にセインは意識を取り戻し医師の診察を受け健康に問題は無いと言われている状態だった。


だから私と一緒に両親を出迎えた。


死んだ筈のセインが元気な姿で2人の前に現れたから、当然、両親はとても驚いた。


そんな驚いている2人に、セインは更に『王家の病』が治った事も報告した。


「父上や母上には色々ご心配をおかけしましたが私なら。もうこの通り大丈夫です。魔獣にやられた怪我も王家の病も治りました」


その話を聞いて母上は、その場で倒れ込んだ。


王妃として常に平静を装い普段と変わらず公務に励んていたが、セインの事では、ずっと心を痛めていたのだろう。


今まで溜まっていた心労が、ここに来て一気に出たようだった。


結局、そのまま母上は、公爵夫人やメイド達に付き添われ寝室のある客間で休む事になった。


そして私達は、セインから詳しい話を聞く為に、人払いがされた部屋に入った。


部屋で父上も叔父上も、『王家の病』がどうやって完治したのかを聞いたが、セインは何故か頑なに何も話さない上に、私達から逃げようとした。


「…申し訳ありません。今日は、私も、その生き返ったばかりで疲れているので、休ませて頂きます。その話はいずれ日を改めて…」


そう言って立ち上り逃げようとしたが先回りした叔父上が扉の前に立ちはだかって逃さない。


そして座っていた父上が立ち上がってセインに詰め寄る。


「セイン。疲れているなら、さっさと白状しなさい!そうすれば直ちに解放しよう」


「…な…何を、、ですか?」


「無論、先程から言っているように『王家の病』を、どうやって治したか!だ!」


「………それは//まぁ、その//」


セインは困った様に口ごもる。


そんなセインの態度に父上は苛立ち更に詰め寄る。


「セイン。どうして話さない。これは大切な事だ。病の治し方が分かれば、これ以上、王家から犠牲者を出さずに済むのだぞ!」


そう詰められセインも、これ以上は逃げられ無いと思ったのか素直に白状した。


だが、その答えた声は余りにも小く聞き取れなかった…。


「…」


「何と言ったのだ?聞こえなかったぞ」


そう父上が言えば、セインは再び今度は、聞き取れる大きさで話す。


「…キ…キスをしました//マリアと//」


だが、その話は余りにも意味不明なので私達は理解出来なかった。


「「「は?」」」


そしてセインはヤケなのか、開き直ったのか、更に詳しく話す。


「つまりですね。王家の病を治すには聖女様とのキスをすればいいんです。あれは病では無くて女神様による呪いだったのです。そして、その呪いを解く方法は物語とかで、よく出てくる典型的と言うか古典的な方法の異性とのキスだった訳ですよ。だから今まで聖女様と接触が無かったクリーガァでは誰も解けなかった。更に付け加えるならクリーガァ王家の者が再び聖女様を妻に迎えれば、我々は女神様からも許され、もう二度と『王家の病』の発症は無いそうです」


そう詳しく説明されて、やっと私達は理解した。


そして『王家の病』が結婚適齢期の若い王子にしか発症しないのか、その理由も。


その話を聞き父上は

「なるほどな。確かに聖女様も王女や我々の様な既婚の中年相手ではキスも結婚も、ごめんだろうからな」

と冗談を口にする。


父上の冗談はともかく『王家の病』を克服すること。


これはクリーガァの王家の建国以来の悲願だ。


そして、それが、もうすぐ叶おうとしている。


そうセインとマリア嬢の二人が結婚をすれば良いのだから、だが、それは新たな問題の発生でもあった。





次の話に入る前に、どうしてもエピローグで入れられなかったエピソードを番外という形で書きました。


この番外が終わり次第、新たな話を更新予定です。


よろしくお願いします。

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