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体を入れ替えられて聖女では無くなったけど何も問題ありません  作者: アイ氏
1章『病』の王子と『冷遇』聖女

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19/30

カーニバルデート?!

セインフォード殿下が図書館へとやって来た。


「マリア。待たせてすまない」


そう言われたので、私は笑顔で答える


「大丈夫です。ずっと本読んでましたから、全然、退屈しませんでしたわ」


「え?ずっと図書館で勉強してたのか?」


「はい」


私が、そう答えてると横からカロリーナが少し困った様に話す。


「そうなんですよ。セインフォード殿下。私も、王宮のお庭とか美術品とか見に行きましょうってお誘いしたんですけど、マリア様ってば、医学の本やこれからクリーヴァで暮らしていくからクリーヴァの事を色々と学びたいと、仰ってずーっと図書館で勉強されてたんですよ!」


その話を聞いて、セインフォード殿下が少し考えてから言う。


「それはいけないな。よし、これから寄り道して港のカーニバルを見て沢山遊んでから帰ろう」


そう言うと、カロリーナが同調する様に賛成する。


「わぁ〜!賛成です。マリア様は、もっと遊べきです」


「分かりました。私もクリーガァの国民として、頑張って遊びます」


二人の言葉を聞いて、私は真面目に答えた。


だけど、どうやら、それが可笑しかったらしく、セインフォード殿下が笑いながらアドバイスをしてきた。


「マリア。遊ぶ時は、もっと肩の力を抜いて楽しむんだよ。頑張らなくてもいいしね」



そうして、私達はカーニバルを楽しむべく港街へとやって来た。


街に着くなり、セインフォード殿下が私に聞いてくる。


「マリア。お腹は空いて無いか?王宮で余り食べて無かっただろう?少し早いけど夕食にしよう」


私は朝から緊張していたので、公爵邸でも王宮で出された食べ物を余り食べていなかった。


だから殿下が気を使ってくれたのだと思う。


確かにお腹は空いている。


だけど、それを正直に言うのは、少し恥ずかしい。


だから「ええ。少しだけ」と答えた。


そして、私の答えを聞いたセインフォード殿下が食事の提案をしてくれた。


「それなら歩き回るのは後にして、近くに美味しレストランがあるから、そこで食事にしよう」


そう言うとレストランへと歩き出した。


そしてレストランに入れば、当然、クリーヴァの王族であるセインフォード殿下の顔を知っている人は沢山いるらしく、賑わっていた店がシーンと静まり返った。


だけどセインフォード殿下は慣れた様子でレストランで食事をしていた人達に話掛けた。


「驚かせてすまない。今日は、私人として来ているから、私の事は気にせず皆は食事を続けてくれ」


そう言うと静まり返った店は何事も無かった様に再び賑わいを取り戻す。


レストランの様子を見れば、どうやら殿下が、ここに来るのは初めてでは無いのかも知れない。


「マリア。待たせたね。私達も座ろう。ここはテラス席がオススメだ。海の景色が楽しめるから」


そう言うと、慣れた感じで素敵なテラス席に案内してくれる。


だから一緒に付いて来たノアールやカロリーナもテラス席に座るのかと思ったら、2人は室内の席に座ろうとしていた。


その事に気が付いた、私は二人に声をかけた。


「あら?どうして室内の席に座るの?こっちで一緒に食べましょうよ」


私がそう言えばノアールが首を振る。


「あたくし達は、こちらで良いですわ。あたくし強い日差しが苦手ですの。マリアは、あたくしに遠慮せずテラス席にお座りなさい。海の眺めてがとても素敵ですわよ」


「え?そうなの?それなら、私も室内に…」


「マリア様。ノアール様には私がお側にでお世話させて頂きますから、マリア様はテラス席へ殿下も、お待ちですわ」


「そう?分かったわ。カロリーナ。ノアールの事お願いね」


そうカロリーナに言われて、私はテラス席へと移動した。


そして、よく見るとテラス席は私とセインフォード殿下の2人っきりになっていて、他には誰も居なかった。


こんな素敵なテラス席で誰も食事をして無いのはおかしい。


それに入った時よりも室内が混雑している。


どうやら殿下が来た事で、他のお客は室内に移動したらしい。


だから、こんな風に2人っきりされると、私は少し困ってしまう///


だけど、セインフォード殿下の方は特に気にして居ない様で、テラス席に座りメニューを見ていた。


だから私も平静を装いながら席に座り、セインフォード殿下に聞いてみる。


「あの、殿下は、よくこのレストランに来るですか?」


 「ああ。ここのレストランの主人は元は王宮料理人でね。退官後、このレストランを開いたんだ。私は、幼い頃から彼の料理が好きだったから、時々、この店に食べに来ている」


「まぁ。そうだったんですか?それならメニューは、殿下にお任せしてもいいですか?どんな料理が出で来るのか楽しみです」


「勿論だ」


そうして殿下がメニューを注文してくれる。


それらから少しして料理が運ばれてくる。


どれも新鮮な海の幸をふんだに使った料理で本当に美味しかった。


そしてレストランを出で街へと繰り出す。


大通を歩けば、あちらこちらで大道芸が披露され、美味しそうな食べ物を売る屋台、珍しい異国の物を売る露店、見るもの全てが新鮮で、私は驚きの連続だった。


そして日が暮れて、今日、泊まる予定の別荘へ移動する。


この別荘はセインフォード殿下が個人で所有している別荘で、殿下は、この港街がお気に入りらしい。


夜、カーニバルのフィナーレを飾るのは花火とスカイランタン。


 私は別荘のベランダからフィナーレのスカイランタン飛ばしに参加するべく、スカイランタンを用意してその時を楽しみに待っていた。


そんな、私にセインフォード殿下が話掛けてくる。


「マリア。もうすぐスカイランタン開始のアイズである花火が船から上がる。その時に併せてスカイランタンを飛ばすんだ」


そう教えてくれた。


「はい」


そうして殿下の言う通り船から花火が一発打ち上げられた。


「さぁ。マリア今だ」


そう言われて私は海に向かって、スカイランタンを飛ばした。


同時に街から、沢山のスカイランタンが飛ばされて空に舞う。


そして海からは沢山の美しい花火が打ち上げられて夜空を彩どる。


まるで夢を見てる様な気持ちになる。


「セインフォード殿下、カーニバルに連れて来てくださってありがとうございます。こんなに楽しい1日を過ごしたのは、初めてです!」


「喜んで貰えて良かった」


そうセインフォード殿下が優しい笑顔で答える。


その笑顔を見た時、私はこんな幸せな時間が永遠に続けば良いと思った…。

◇◇◇

 

そうしてカーニバルが終わり私は部屋へと戻った。


「マリアいかがでした?スカイランタンは楽しめたかしら?」


部屋に入ると、突然、ノアールが話し掛けて来たので私は驚いた。


「わぁ!!ノアール部屋に居たの?!びっくりしたわ!ええ、とても楽しかったわ。それよりノアールは今まで何処にいたの?一緒にスカイランタンを飛ばそうと思って探しのに姿が見えないんだもの。心配したわ」


「あたくしは、カロリーナと一緒に別な場所でスカイランタンと花火を楽しんでましたわ」


「えー?どうして?」


「あら?それは勿論、マリアとセインフォード殿下の二人っきりの方が楽しめると思って気を利かせましたのよ。デートですものね」


「デートって!?な、何を言ってるの///?」


「あら?男女二人で遊ぶをそう言うのではありませんの?それにマリアは、セインフォード殿下がお好きなのでしょう?」


「////な、さ、さっきから、一体な、なにを、言って?///」


「図星ですわね?その証拠に顔が真っ赤ですもの」


「ち、違うわ//ノアールが、さっきから変な事を言うから//」


「良いじゃありませんの。セインフォード殿下と貴女。お似合いだと、あたくしは思いますわ。後は、セインフォード殿下の病気が治れば全てが上手くいきますわね」


「ううん。ノアール。…残念だけど、私とセインフォード殿下では釣り合わないの。無理なのよ。セインフォード殿下が元気になったら、きっと、ちゃんとした有力な貴族令嬢を妃に迎えられると思うわ。もしかしたら、既に婚約者が居るかもしれないし…。

王族や貴族は、ただ好きだけで結婚は出来ないの。だから貴女の考えてる事なんて起きないんだから…」


そうノアールに説明する。


「はぁ〜。人間って本当に色々と面倒な生き物ですわね。貴女が、そう言うなら、あたくしは、これ以上、何も言いませんわ」


(私の気持なんて迷惑でしか無い。気持を打ち明けた所で所詮は叶わぬ思いなのだから…)


それでも、こうしてクリーヴァで、ノアールや沢山の優しい人達に出会えて、今、わたしは、とても幸せだと思う。


だから、私はその気持をノアールに伝えた。


「私の事を気に掛けてくれてありがとう。ノアール。私、今とっても幸せよ」


「まぁ、そのマリアにお礼を言われる事なんて、あたくし、何もしてませんわ//」


ノアールは照れくさそうに答えた。

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