魔導機関車の旅①
ろうか
無事に帰還した養父様や討伐隊をセインフォード殿下と出迎えて、遂に王都に出発する日がやって来た。
セインフォード殿下とノアール。そしてお供にはメイドのカロリーナと殿下に使える侍従のアランと公爵家の騎士マルク卿が同行してくれる事になった。
侍従のアランと騎士のマルク卿はセインフォード殿下と同い年で同じ学院に通った幼い馴染だと聞いた。
そして私達は公爵家の皆に見送られながら馬車に乗り込んだ。
カロリーナとアランは、前の座席に座りノアールを抱っこした私とセインフォード殿下が進行方向の席に座った。
そして騎士のマルク卿は馬に乗って馬車の横を走っている。
馬車で王都まで移動をするのかと思ったけど、馬車は公爵邸から30分位走って止まった。
馬車が止まった場所は立派な建物が建っているが、どう考えてもフレイア公爵領内で、王都では無い。
私は戸惑って、セインフォード殿下に尋ねる。
「あの、ここは?」
「ここは駅だ。私達はこれから魔導機関車に乗り換えて王都に向かう」
「駅?」
初めて聞く単語だったので、私は聞き返したが丁度、御者が馬車の扉を開けたので、私は慌てて下りる準備をしたので答えは聞けなかった。
そしてセインフォード殿下が先に降りて、私に手を差し伸べてけれた。
私はその手を取り馬車を下りる。
馬車を下りると、セインフォード殿下が駅の説明をしてくれた。
「マリア。駅と言うのは魔導機関車を乗る場所だよ」
「魔導機関車?ですか?」
更に私は知らない乗り物の名前だったので首を傾げてしまった。
そんな私の様子を見て今度はノアールが説明してくれる。
「マリア。魔導機関車と言うのは魔力を動力に動く乗り物ですわ。はっきり言って馬車よりも速く走りますの。王都からフレイア領まで、馬車なら1週間かかりますわ。でも魔導機関車は速いから2日で王都に行く事が出来るんですよ。そして、ここはその乗り物を乗る場所で駅ですわ」
「まぁ。それは凄い乗り物ね。魔導機関車とは、どんな乗り物なの?」
「なんて説明したらいいか?長い箱の家に車輪が付いた感じの乗り物ですわ」
ノアールから魔導機関車に付いて教えて貰っが、私は残念ながら想像がつかなかった。
そして駅員と思しき人達が私達を出迎えてくれて、駅の中の部屋に案内してくれた。
そこはラウンジで私達は差し出されたお茶を飲みながら、魔導機関車の出発時間を待っていた。
そして魔導機関車の出発時間の少し前に今度はホームと呼ばれる場所へと移動する。
そこで私は生まれて初めて魔道機関車を目にした。
ピカピカと光る黒く長い大きな車体が5両編成で並んでいた。
「これが魔道機関車なのね?格好良い乗り物ね!どうやって乗るのかしら?」
「マリア。こっちが入り口だ」
そう言うと、セインフォード殿下は私の手を取りエスコートしてくれる。
乗り込んだ車両の中は木材を基調とした落ち着いた雰囲気の廊下が真っすぐ走り左側には窓。
右側は壁になっていて、そして真ん中には大きな扉が有った。
その扉をカロリーナが開けてくれる。
「マリア様。どうぞこちらへ」
扉を開くと、そこはかなり広い個室になっていて、机、ベット、ソファ等のクラシカルなデザインの調度品が並ぶ。
「まぁ。お部屋になって居るのね」
「そう。どうだろ?マリア。この魔導機関車で王都まで行くから、今夜は、この機関車に泊まる事になるんだけど問題は無いだろうか?」
初めて魔導機関車に乗ったので、どんな風に動くか心配だが、私は乗り物酔いをした事が無いので自信を持って答えた。
「勿論。大丈夫ですわ」
「良かった。私の部屋は隣の車両だ。マリアは機関車に乗るのは初めてだし、もし、気分が悪くなったりしたら直ぐに言って欲しい。その時は宿を手配して、再び馬車で休みながら行くから。後方の車両には食堂やティールームになっているから、後で一緒に食べよう」
「はい。楽しみにしていますわ」
「では、また後で」
そう言うとセインフォード殿下は部屋を出ていって自分用の部屋がある車両へと向かっていた。その後には侍従のアランと騎士のマルク卿が続く。
カロリーナは私の部屋に残って色々と荷物を解いている。
「マリア様はソファでお寛ぎ下さい。もう間もなく出発ですから」
カロリーがそう言って案内してくれた場所には、ゆっくりと広いソファ式の椅子と小さなテーブルがあり、車窓の横に配置されて景色を眺められる様になっていた。
そして小さなテーブルには既にティーセットとお菓子が用意されていた。
私は、そこに座りノアールも反対側の椅子に座る。
置かれていたカップに紅茶を注ぐとカロリーナは再び、荷物の整理に戻っていった。
私とノアールは窓から外の景色を眺める。
すると丁度、他の魔導機関車が、私達の横を通り過ぎていった。
そのスピードに驚いて私はノアールに話掛ける。
「魔導機関車は凄いスピードで走るのね」
「ええ。そうですわね」
それからベルの音が聞こえ魔導機関車は動きだした。
「わっ!」
出発の際にガタンッと少しだけ揺れたのに私は驚い声を上げが、その後は比較的揺れも無く静かだ。
だが外の景色は変わっているので機関車が動いているのか分かる。
「ふふふ。マリア。大丈夫ですか?それにしても凄いですわ。あたくし、こんな魔導機関車は初めて乗りましたわ」
「ノアールが乗った機関車は違うの?」
「あたくしが乗ったのは座席しか無い機関車ですわ。ロザリアと一緒にフレイア領に来る時に乗りましたの。あたくしは機関車に乗ってる間はずっとバスケットの中に閉じ込められて、それに王都からフレイア領までは乗り継ぎが合って、途中の駅で降りて宿を探して泊まったり、フレイア領に2日近く掛かって色々と大変でしたわ」
「まぁ。大変だったわね。でもどうしてもロザリアさんは、こんな風に泊まれる魔導機関車に乗らなかったのかしら?」
私の疑問に荷物の整理を終えたカロリーナが答えてくれた。
「マリア様。こちらは公爵家が所有する特別な魔導機関車ですわ。一般の者は使用でません。今日も特別な運行で走ってますから、本来なら王都まで色々な駅にも止まるのですが、この機関車は王都まで止まりません。だから普通なら、2日掛かる道のりを1日で行く事が出来るのです」
「そうなのね」
「ねぇカロリーナも良から私達とお茶をのまない?」
「え?よろしいのでしょか?」
「もちろんよ」
その後はカロリーナとノアールと私で女子会になり会話が弾み、ランチの時間まで、とても楽しく過した。
こうして魔導機関車での旅がはじまった。




