6違和感
読んでくださってありがとうございます!
あのダリア嬢から悪役令嬢といわれ、2カ月が過ぎたが父がよく夜会にでたり夜に出かけたりするようになったこと以外何も起こらずほとんど忘れていたときだった。
あの地獄のような日々が始まったのは―――
「お父様ただいま帰りました」
それはいつも通り父のいる書斎に足を運び、帰ってきたことを告げようとしたときのこと。
書斎に入り、一目散に目に入ってきたのは私より少し小さい令嬢と父と同い年くらいの夫人が書斎に置いてあるソファーに座り、3人でティータイムをしている光景だった。
「お父様。その方たちはどなたでしょう」
不思議に思って聞くと、
「今からその話をしようとおもってな、この方たちは、おまえの妹と義母になるかたたちだ。大切にするように。」
「……はい?」
え……再婚するの?今?お母様を溺愛して再婚を今までしなかったお父様が?
「アネモネ。あなたのお母様になったロベリア・サルビアよ。お母様と呼んで頂戴」
「えっと……アネモネさん。あなたの妹になったイソトマ・サルビアです。よろしくおねがいします!イソトマと呼んでください!」
ロベリア様とイソトマ様……どこかで聞いたことがある名前な気がする……
「彼女たちは、故エラノン伯爵の元妻と娘で、夜会で会い、夜に話を聞いているうちに、親密な仲になったのだ」
「はあ」
事故でお亡くなりになられたエラノン伯爵の妻と娘だったのか
エラノン伯爵は、12年ほど前に山登りをしているときに、落ちてしまい山は広いためすぐに見つけることはできずそのまま……(護衛には絶対についてくるなとのご命令を出し、お1人で行った)らしい。
エラノン伯爵は領民にとても好かれていたので、とても悲しんでいる。というのを記事で読んだのを思い出した。
夜会……夜……だからよく出かけるようになったのね―――
だが、今はそのことより、どうしてという気持ちが強い。話されている馴れ初めの話が頭に入ってこない。
今まで母のこと以外を愛する気はないため再婚はしないと私に話してくれたのは嘘だったのかと身勝手だが裏切られたような気持ちになる。ずっと前に進んでほしくないわけではないが……
「彼女とは、ずっと前から結婚したかったのだが、タイミングが悪くてな。不自由な生活をさせてしまった。だからその分、いい思いをさせてやりたい。いい部屋を渡したいのだが……」
母が使っていた部屋と私が使っている部屋、それと父が使っている部屋。これがこのサルビア公爵邸で大きくていい部屋なのだが……
母の部屋は物などはそのままで掃除をしているので、物がたくさん置いてあるし、私は現在進行形で暮らしているし……
まさかそこを使わせるとか言いませんよね。
「だから、キキョウが使っていた部屋とお前が使っている部屋を2人に渡したいのだが、いいな?」
「……………」
そのまさかだった。
父は一応確認をしてきたが、もう決定事項ということだろう。
私の父はかなり頑固なので意見を変えることは滅多にない。
しかし、私は納得することができなかった。私の部屋を使うということはこれからどこで暮らすのだろう。
「お父様。もし私の部屋をイソトマ様がお使いになるのであれば、私はどこで暮らすのでしょうか。それとお母様が使っていた部屋には、今もたくさん物が置かれていますが、どうするのですか?」
「お前の部屋はそうだな……客室でも使え。キキョウが使っていた部屋にあるものは……ロベリアとイソトマにあげろ。要らないものは全て燃やしてしまえ」
「…………え?]
今まで溺愛してきた私に客室を使え?以前の父は絶対にそんなことは言わなかった。
そんなことより、父は母が使っていた物を捨てることはできなかった。だから今も物をそのままにしておいたのだ。
そんな父がロベリア様とイソトマ様が要らないのなら、燃やしてしまえ?
再婚するから変わったといっても、変わりすぎだ。いつまでも過去に囚われていてほしくはないが、なんだか父の外見をした赤の他人みたいだ。
この違和感はなんなのだろう―――
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