4自称ヒロインの中の私―後編
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そんなことはつゆ知らず、いつも通りダリア嬢を取り巻きたちに虐めさせそれを陰からクスクス笑っていた日のことだった。
私たちは解体工事中の旧校舎でいつも‘遊んで,いるのだが、それは、今は卒業試験中で、騒音問題になるのを防ぐため工事は一旦中止になっていて、わざわざ旧校舎に来る生徒もいないためだった。
‘遊び場,は、気分によって変わるらしいが、その日は取り巻き1人の希望により、踊り場になった。
取り巻きたちは、いつも通り、服で隠れて見えないところを殴ったり蹴ったりし、男に色目を使うなと言ったり、お前は聖女じゃないだろと言ったりした。
そして、ダリア嬢が泣いて謝っているところを見て私は楽しんでいた。
その時、踊り場で今日は‘遊び,ましょうと言った令嬢が急にダリア嬢のもとに走り、肩を押した。
突然のことに驚いている私と他の取り巻きたち。
ダリア嬢が私たちの方に手を伸ばす―――が、その手を取るものは誰もいなかった。
―――ドゴッ―――鈍い音が聞こえ、恐る恐る下を見ると頭から血を流し、左腕が普通は曲がらない方向に曲がっているダリア嬢。
「えっ。」
はあはあ。と息が荒くなる。体の力が抜け、へなへなと床に座りこむと、
バンッ鍵をかけていたドアが壊され、皇太子等が旧校舎に入ってきた。血を流して倒れているダリア嬢を見つけると、一目散に駆け寄り抱き上げた。
「ダリア……ダリア……どうしてこんなことに……目を開けてくれ……」
脈を測っていたが、脈はもうなかったらしい。
「なんで脈がないんだっ……こんなに冷たくなっているんだ……なんでこんなに白くなっているんだ……」
騎士団長の息子等が私たちを拘束する。
「ダリア……ダリア」
涙を流し、懸命にダリア嬢に呼びかける皇太子。
皇太子の涙がダリア嬢の心臓のあたりに落ちる。すると、どこからか扉が出現し、開き、美しい方がやってくる。と、ダリア嬢が宙に浮き、周りがキラキラと光り始め、声を発した。
『我が名はそなたらが信仰する女神パナケイアなり。そなたは我が愛し子のダリア・ナヴィレンである。ダリアを蘇生するとともに我の祝福を授ける。』
ダリア嬢の周りを浮遊していた光がダリア嬢に吸い込まれた。
「う……うん……」
ダリア嬢の目が開く。
「ダリアッ」
「あれ?スイレン様達どうされたのですか?」
そういって周りを見渡したダリア嬢は私たちの方を見て顔を引きつらせた。
「アネモネ様……」
「ひっ」
情けない声をあげて、後ずさろうとする私。だが、おさえられているため、それはできない。
ダリア嬢は決心したようにこちらに歩いてくる。
「こないで……こないでぇ」
必死に逃げようとするが、逃げられず。
「……どうしてこんなことをしたのですか」
「……あなたには話したはずよ。私の思い全部」
「だからといってっ。こんなことしていいはずがないでしょう!」
―――バチン
頬に鋭い痛みがあり、反射的に頬を押さえるとゴミを見るような目で私を見るダリア嬢がいた。
「本当に。こんなことをされるなんて思ってなっかたです」
『我もダリアに危害を加えた奴らはいくら聖女だとしても許さないからな。泣いてダリアにわびるがいい。よいな皇太子よ』
救いを求める目で皇太子をみつめる。
「もちろんですよ。いくら聖女とはいえ、ダリアに危害を加えたのは断じて許されることではないですし、ダリアにあたえた何百倍……いや何千倍もの痛みを与えなければ私の気も済みませんしね」
『ではいくぞ。:リバース:』
その瞬間、女神や聖女が治した分の痛みが体中にはしる
「ぎゃあああああああ」
私と取り巻きたちは、痛みにもがき苦しむ。
痛い痛い痛い痛い痛い
聖力は使えなくなっていた。
死にたいけど死ぬことは出来なくなっていた。地獄だった。
『こ奴らは我が見張っとくぞ。こんどダリアを泣かせたら、ダリア以外皆殺しにするからな』
「もちろんです。ダリアは私たちが守ります。」
「スイレン様……」
ダリア嬢は嬉しそうに皇太子の名前を呼ぶ。
『……まあよかろう。ダリア、なにかあったらすぐに天界に来るのだぞ』
「はい!ありがとうございます!」
『では。さらばだ』
扉がまた開く。私たちはその後、天界の極悪人がいれられる牢屋に放り込まれ、ずっと痛みにもがき、苦しむそう。
皇太子とダリア嬢は結婚し、国中から祝福され、二人で困難を乗り越え―――っとそれはまた別のお話。
………おおまかこういうことらしい。
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