第33話 たえる意識
「あがッ……ぁがあ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛!!」
脳天を貫く、衝撃が全身に駆け回る。
冷静に判断できない、痛み……恐怖。
痛みが、脳のシワを一つずつ苛烈に焼いていくようだ、思考の糸が解けて……
痛い、痛い、怖い、なにが? 分からない、怖い痛い痛い怖い…………!!
「また……!? 先輩っ!!」
サクラが俺のことを上から絡みつくようにして抑え込む。
身体の底から湧き上がる痛みと恐怖に混じって、力が湧いて……いや、上からパワーが降りてくる、ような…………
俺の身体を中心に黒い嵐が吹き荒れ……砂利を巻き上げながらゴウゴウと風が鳴く。
それを恐れたのか、ゴロックは嵐の前で止まる。
「な、なにが起きているのだね!?」
「チュウリンも抑え……いや……」
サクラは、チュウリンにも助けを求めようと思った。
が……同時にこうも思った。
ウサミがまたあの姿になれば、この状況を打破できるのではないかと。
自分たちは助かるのではないかと。
それでも…………
「……チュウリンも、抑えてっす!」
「あ、あの二匹のモンスターはどうするのだね!?」
「今はそれどころじゃ、このままじゃ先輩がまた……!」
「サク、ラ……離れろ……」
「は……!?」
俺は……俺は、起きるまできっと二人に守られてた……今もそうだ……俺のせいで、二人が傷ついてる、迷ってる、苦しんでる。
もう痛い思いなんてしたくない、したくないよ……!
それでも……
「やらせて、くれ……! 絶対生きて……生きる……!」
また、繰り返すんだ……。
人間は、愚かな生き物だから……痛みから学んでもすぐ忘れる。
俺も……そうみたいだから。
俺は耐え難い苦しみの中、サクラの顔をまっすぐ見つめる。
サクラはプルプル震え、泣きじゃくる。
「嫌だ……嫌っす……また、またオイラは先輩を守れない……オイラのせいで、また……」
「違う……! 違う、サクラ……!」
やばい……頭、回んなくなってきた……違う、サクラのせいじゃないのに……落ちる……嫌だ、ここで落ちたら……
「なにも……違わないじゃないすかぁ゛!!」
歪んだサクラの顔から、涙が一粒落ちた。
角を伝って……痣に消えていった。
やば、い……意識が…………
ごめ、ん……サクラ……俺、もう、あぁ……むり、かも……──────
◇◇◇◇◇
──────…………。
……?
急に音が……消えた。
巻き上がる砂の乾いた香りも、巻きついたサクラの感触も消えた。
地面も……なんだ、これは……水の中?
けど濡れた感じもない……。
俺は我慢できず恐る恐る……目を開けた。
目を開けても、光は入ってこなかった。
光はおろか何もかもない、黒が広がるだけの世界。
ただ……目の前にいた存在に俺は目を見開くことになる。
「先輩……」
「サクラ……!?」
黒しかない背景に……無表情の、サクラ。
丸くてピンク、モチモチの……サクラ。
いつもと違うのは……頭にスカーフがないところだけ。
なのに……なんか…………
「先輩、オイラ、言いたいことがあるっす」
いつもと…………違う…………




