目覚め 2
「そうだな。アルとでも呼んでくれ」
「アルさんですか。私のことはテレサと呼んでください。私も分け合って下の名前は名乗れませんがすいません」
そう俺たちの世界は上の名前、下の名前となる。下の名前で兄弟がいるかいないか判断し、上の名前は親がつけた個人の名だ。
「すまん。今、そうだな4人の英雄はわかるか?」
「はい。存じています。魔王は倒したが王国を救えなかった英雄ですよね?」
え?そんな残り方してんの俺ら。英雄じゃなくね?
「それでその4人の英雄が倒されてから何年たった?」
「え?ご存じないのですか?それほど若い肉体でいらっしゃるのに」
「いやはや。世間体に疎くてね。山籠りしてると何年たったか忘れてしまったよ」
笑いながらごまかすとテレサはふーんと言いながら
「そうですか。野蛮人さんだったなら服を着てなかったのにも納得しますね。ですがならなぜ今更服を」
「それは、やっぱり、そうだよ!山籠りする前は服を着ていたから服が恋しくなったんだよ」
苦し紛れのいいわけをしまくる俺。流石に怪しまれたかな・・・
「そ、うですか。分かりました。人それぞれ事情はありますしあまり詮索しないようにしましょう。で何年たっているかですよね?4人の英雄が死んでから」
「ああ。頼む。教えてくれ」
何年たったか数えてないがたのむ!さほど離れてないように!お願いします!
俺は両手を前にして祈る。
「あの4人の英雄を抹殺してからもう2千年たっています」
・・・え?俺は思わず耳を疑う。そんな2千年もたってるなんて
「じ、冗談だろ?」
「冗談とか言われましても事実ですし。それよりアルさんはこれからどうする気ですか?また倒れるまで山籠りですか?」
う、うーん。それを聞かれるとどうしよう。もし本当に2千年たっているなら家族の安否の確認もクソもないし仲間たちが本当に死んでしまったのかの確認もできない。モーリスのやつとは城に入る前に別れたのに誰に殺されたんだ?
情報を得るならやはり
「なぁ。テレサ。オウガスト王国ってあるか?」
「あるにはありますけど私のようなものは入れませんよ。私、王国に目をつけられているので」
「・・・そうか。まぁ恩人のあんたには何も言うまい。倒れてる俺を助けて衣服までくれたんだし」
「・・・もし行くあてがないなら私が世話になってる村に案内しようか?」
テレサが俺に提案してくる。村か、村なら俺を知らない奴は多いだろうからな。多分俺たちは書物などに残されひどい英雄だなんだと書き残されているに決まっている。いきなり王国に行くのは得策ではないからな。ここはテレサのご好意に甘えよう。
「それじゃ世話になろうかな。案内を頼む」
俺はテレサの後に続いてテレサの世話になっている村に向かった。