プロローグ 5
俺たちは城に向かっている間、王国の住民達には白い目で見られ、子供には石を投げられたりもした。なぜ魔王を倒してきた俺たちがこんな不当な扱いを受けねばならないんだろう。
そう考えていた時、急にモーリスは住民の中にいる誰かを見つけて、嬉しそうな顔をしていた。
「どうした。モーリス」
「嫁さんがこっち見てんのよ!行ってきてもいいか?」
俺とサルスター、ナウルは笑いながら
「とめるわけないだろ。行ってこいよ」
モーリスはすまんなと言って嫁さんのところに走っていく。
「しっかしサルスター達が死罪だとバレたらうちも大変だな」
「それはみんな同じよ。私だってそうだし。アルミニアも可愛い嫁さんが待ってるでしょ」
ナウルに言われ俺はああと言って返事を返す。
俺たち3人は城についた瞬間手錠をされ王の間へと兵隊達に連行される。
「もう1人はどうした?モーリス・アウルスがいないようだが」
「モーリスなら大事なようだから先に別れたよ。いいだろ別に1人くらい」
俺は連行する兵隊に嫌な感じ風に言うと兵隊は俺の背中をバーンと叩く。
「うぐ、」
「大臣が丁重に扱えと言わなかったらさしていたところだぞ」
俺はイラつきながらも兵隊の言う通り王の間までおとなしくすることにする。
王にさえ、王にさえ報告すればきっと・・・。
俺たち3人が王の間の前に着くと大臣が扉の前で待っていた。
「やぁやぁ。やっときたかい。魔王を倒した英雄殿」
「英雄を迎えるような扱いではないがな。早くサルスター達を王に会わせろ!」
サルスターは大臣に言うと、大臣は舌打ちしながら
「これだからド底民の冒険者は。貴様ら如きが魔王を倒しやがって。本来なら勇者殿の仕事だというのに。ド底民が!まぁいい。さ、早くお入りなさい」
一度口調が荒れた大臣だが、咳き込み、丁寧語に直して王の間の扉を開ける。
俺たちは王の間の中心にまで進むと、王が座っているであろうはずの場所を見るとそこには黒い羽が背中から生え、頭から一本の鋭い角の生えた魔族らしき者が座っていた。
「おやこれはこれは。遅いおかえりで。親父はそれだけ粘ったのかな?こんな王国、私にかかれば3日で済むというのに」
魔族らしき者が言うと俺は大声で
「き、貴様!どこに座っている!そこは王の座る場所だ!王をどこへやった!」
「あ?王だ?それなら」
魔族らしき者が俺たちの方に向けて何かを投げると転がってきたものを見て俺たちは絶望した。
「そ、そんな。王様、オウガスト王ー!」
俺は転がってきた王の亡骸を触って叫ぶ。
「はっはっはっは!その表情が見たかった!これで私は満足した。我が名はアムラウル!新たなる魔王であり、オウガスト王国を支配する者!そしてここにいる3名に命ずる!即刻殺すがよい!魔王を倒しでも国を救えなかった哀れな英雄共!」
アムラウルが命令した瞬間地面から黒い沼が出現し、そこから魔族が溢れてくる。
これはもう、やばいな。逃げ場がない。なら俺が!