表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

~集団登校~

「おはよう」「おはよ」「おう」「はよー」

私の地域では小学生は集団で登校する為

集合場所へと駆けていけば皆笑顔で迎えてくれる



いつも急かす母のお陰か

これでも遅刻はしたことは一度もない

「おはようございます」

上級生に挨拶して決められた順番通りに列に入る




「今日はどんな夢を見たの!?」

おはようと互いに挨拶を交わすと

間髪いれずに毎朝質問してくるのは

集団登校の班長さんは6年生のお姉さん夢花(ゆめか)さん



とっても優しくて頼りになるけど

夢見がちなところがあってよく妄想の世界に飛んでいたり、人の見た夢を聞いては夢占いなどをもとに解釈したりするのが趣味なのだそう



「あの…今日はよく覚えてないんです」

すみませんと付け加えてしょんぼりと頭を下げれば

ポンポンと私の頭を撫でながら

「ううん!気にしないで!また不思議な夢を見たりしたら、何でも話してね!?」

と、困ったように微笑んでくれる。



「は、はい!」

頭を撫でられて嬉しくて恥ずかしくて尚更俯いてしまう



「夢なんてただの夢だろ!」

後で声をあげたのは私の家の隣に住んでるあっくんこと(あらた)くん。同じ2年生である。



「あっくん?」

振り向くとチッと舌打ちされてしまう

「いい加減その呼び方やめろよ!恥ずかしい!」

そう言ってそっぽ向いてしまう



「ご、ごめん…あらた…くん?」

なんだか今更呼び方を変えるなんてなかなか慣れなくて…でも本人が嫌がってるなら仕方ないと、少し恥ずかしいけど名前で呼んでみる



「な、なんだよ!」

大きな声をあげられてびくっと肩が弾む

「あの…えっと…」

怯える私をギロリと睨むと

「用がないなら呼ばなくていい」

と冷たく言い放される。



「あ、ごめん…ね?」

恐くて下を向いてしまった顔を上げ、恐る恐る顔色を伺ってみる

モゴモゴと口を動かして何か言っているようだ



「あ、あの…!聞こえない…かも」

決死の覚悟で指摘をすると

あー、うー、だからーなどの返事なのか分からない言葉しか発してくれない



「あの、あらた…くん?」

ちょっと心配になり声をかけた途端

「それだよ!」

と指を指されて怒鳴られる

「わっ!?なに!?」

これまたびっくりさせられて隣で見守っていた優花さんに隠れる



やれやれ…とため息をつくと

「こーら!言いたいことがあるなら、ハッキリ言わなきゃ分かんないでしょ?怒鳴らないでさ」

ツンツンと彼の頬をつつく



「や、やめろよ!…だから!」

「「?」」

「…くんはいらないから」

「???」

一度傾げた首を更に傾げる私と

「あぁ!なるほどね!」とニヤニヤする優花さん



「あらた!そう呼べって言ってんの!」

「は、はい!」

言い終わると私の体をくるりと回して

キャーキャー言ってる優花さんの背中をぐいぐいと押して「…遅刻するぞ」と冷静な声で放った



「え!うそ!?みんなー!いくよー!」

気づけばとっくに全員揃っていたようで

優花さんは慌てて列の人数を確認しながら先頭へと走っていく



「「「「「はーい!!!」」」」」

みんなで元気に手を上げて

いつもより少し早い子供列車に置いてかれないように大きく足を動かした

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ