火属性管轄魔法庁(2)
アーヴィン=ヘニング…鍛え抜かれた逆三角形の筋肉、燃えるような赤髪と瞳の髭を生やした男。
気さくで爽やかな笑顔に対して圧倒的な暑苦しさ肉体から発せられている、そんな印象を受けた。
ガッハッハッハッと笑いながら背中を手加減もなく叩いてくる、非常に痛い、身体が叩かれた反動で前に少し飛ばされる
「お前がラドの言ってたレージとかいう奴だな!よく来たな!!待っていたぜ!」
さらにズシッと重い腕で肩を組んでくる。重さで身体が中腰になるが気にせずアーヴィンは話しかけてくる。
「お前、何かスゲー魔法使えるらしいな!昨日のラドとの酒の肴はもっぱらお前の話だったぜ!おおっと!とりあえず、中に入れ!!な!色々聞きたいことがあるんだよ」
と力任せに、中庭の手前にあった扉から、中に連れていかれる。
ささっ、入れやと連れてかれた部屋の中は小ぢんまりとした事務所になっていて、特注なのか立派な革製のソファと対面にローテーブルと低めの布製ソファ。
ドカッという音を立てて、革製のソファに座り、股を広げて膝に手を置いてふんぞり返るアーヴィン。
「改めて名を名乗る、アーヴィンだ!ラドから聞いてるぞ、ラドの話じゃ、最強の魔法使いになれるとかいっとったが、何でも全属性使えるとか豪語してたらしいじゃねぇか!」
ドンッと置かれたコップに茶を注ぎながら話している。
「んで、火属性も使えるからここに来たんだろ、少なくともラドより強い魔法使いになるんじゃねぇかって呑みながら話しててさ~。あ、そういや、お前さんの魔法、時空魔法ってやつになったから!」
と言ってアーヴィンがゴクゴクといい飲みっぷりでお茶を飲んでいる。
まるでビールでも呑んでいるかのようだ。
「いやー、俺が生きてる内に強い相手が生まれるなんてな!今度、一辺相手にしてもらいたいとこだが…ぁ……リアがな…」
そんな話の最中、バンッと激しい音で扉が開く、その方向を見ると一人の美少女が目の前にいた。赤髪の長い髪がふわりと揺れ、琥珀のようなオレンジの瞳に整った綺麗な顔立ち、その顔は凛としている。
一目で綺麗だと思った。流石異世界、こんな美人を間近で見たのは初めてだ。
そんな彼女を見とれていた俺に剣先が近付く。鼻先に今にも当たりそうだ。
剣を振り下ろした彼女は険しい表情で一喝した!
「ラドさんが言ってたのはあんたね!勝負しなさい!!」
異世界初めての人との戦闘がはじまるのだった。
中庭に俺と彼女は対峙した。
彼女、リアはアーヴィンの娘だと一目で分かる様な赤い髪をしていた。その髪は編み込まれたハーフアップにしていて、姿は冒険者の剣士の様。リアは威嚇するかの様な顔で此方を睨み付けている。
「あんたね、ラドさんに対して勝てるとか言ってらしいじゃない
」
いや言ってないし、似たようなことを言ったのはラドさん本人だ。
「しかも全属性魔法使いですって?確かに火の対になる水や氷使えるみたいだけども攻撃魔法でもない、大したことない能力なんだってね」
や、何で怒ってるの?この人。
「どうせ、あんたのじくう?とかいう魔法も大したことないんでしょ!あたしがあんたの力見定めてあげる」
そういって此方に剣を向けてくる。
これ、戦わなきゃだめっすか?
と言うような顔でアーヴィンを見てみたが、ガハハと笑いながら腕を組んでいるだけだった。
その後、アーヴィンが何やら他の人としゃべってると思ったら審判役みたいな人まで出てきた。
「言っとくけど、どちらにしろ火属性のバッジが欲しがったら能力値は測らしてもらうから!覚悟して来なさい!」
そういって油断のない構えで此方を見据えた。
戦うしかないのか……仕方なく短剣を構える。
そんな姿を見て審判役は一息し…
「はじめっ!」
試合のゴングがなった!
しかし、試合は一瞬で決まった。
何かを言おうと口が開き身体を動かそうとしたリアの動きがピタリと止まる。
そのリアの首元には背後をとった玲二の短剣が構えられていた。
続き、早く書きます。