その後(6)
カーヤ宅に着くとマンドラゴラが扉を開けて歓迎する、植物が動き、俺達の飲み物を出したり目を疑うような異様な光景と前はぐちゃぐちゃだった部屋が見違える程綺麗に片付いていて驚いた。
「@@@@@@@」
マンドラゴラが何か言っている、マンドラゴラって喋るのか……まぁ叫ぶみたいだからそうか……と思いながらもマンドラゴラから出されたお茶を啜る。
「@@@@@@@!」
俺の真ん前にテーブルに乗ったマンドラゴラが期待の眼差しで見ている……なんだか分からんがとりあえず頭(?)をポンポン撫でてやる、すると喜んだかのように頭から生えてる葉っぱを逆立ててマンドラゴラ2本が何処からか板を運んでくる。
それはどうやらまな板の様でそのまな板に横たわり恍惚とした表情をする。
―――ああ、食べて欲しいのね……
他のマンドラゴラが俺に包丁を持たせる、いやいやいや流石にこんな事されても困る!食材なのはわかるけどさっ!と戸惑っているとリアが俺から包丁を奪い取り。
「今日のマンドラゴラ煮はこの子ね〜♪」ザンッ!
アッサリとマンドラゴラを真っ二つに切る、動かなくなるマンドラゴラを羨ましそうに見る他のマンドラゴラ達……。そんな俺達を家に着くなり奥の部屋に少しの間離れていたカーヤが戻ってきて話しかける。
「流石生みの親だけ打ち解けてますねぇ〜」
と育ての親が言う、変な冗談言うなぁと思いながらジト目でカーヤさん……とだけ言葉が漏れるとカーヤはハハハと笑いながら手に何個か持っていた小物を見せてきた。それは小さなベルで、一つ一つ白いリボンがついている。
「カーヤさん、何ですか?コレ………見たところベルの様ですけども」
「ええ、ベルですよぅ魔法のベルです」
リアはカーヤさんが持っているアイテムを様子見、その物の用途を知っている様で俺に教えてくれる。
「魔道具のベルって伝達用のアイテムよ、私の家にもあるわ。カーヤさん、どうしてコレを?」
「レジくんにまたマンドラゴラの採取をお願いしたくてですねぇ、その報酬にどうかと思いまして」
「伝達用の魔道具ですっけ?……コレはどうやって使う物なんですか?」
「そうですねぇ……百聞は一見にしかずといいますし、分かりやすく実演しましょう」
そう言って2つのベルの頭の部位にある出っ張りを同時に押す、すると2つのベルのリボンは青に染まる。
「コレで準備完了です、1つ持って離れて下さい」
言われて俺はリボンが青く染まったベルの1つ持ってカーヤから距離を置く。
「見ていて下さい」
カーヤがベルを鳴らす、2回リンリンと綺麗な音を立てる………とすぐ俺の持っていたベルも2回鳴った。
「もう一回やりますねぇ」
カーヤがベルを激しく鳴らす。4回打ち付けたような強い音でキンキンとした音を立てると俺が持っていたベルも同じ様に音を鳴らした。
「………とこの様に同じ音を鳴らし他のベルに信号を伝える効果があります、魔力を込めれば半永久的に使えます。伝達距離は2国先でも使用されているのでほぼ何処でも使えるかと〜」
俺の世界じゃ携帯があったがこの正解では存在しない、モールス信号の様に音で言葉を伝える技術さえあればコレで意志疎通も可能だ。きっとこの世界なら貴重な物ではないのか?
「レジ、コレって軍用でも使われてる魔道具よ…いいのかしら?」
「たしかに魔道具って……こんな貴重な物貰ってもいいのですか?」
「ええ、コレを開発したのは私なのでその時の試作品ですので気にしないでください。それにコチラあくまでマンドラゴラ収穫の報酬、今いるマンドラゴラが増えればより研究が捗りますしお渡しする分のマンドラゴラもいりますからね」
「え!?マンドラゴラが貴重ならばマンドラゴラまで貰うわけには」
……そう言いながら遠巻きにマンドラゴラを拒絶する俺…味は大根みたいで美味しいが好んで食べる程でもない。そんな俺の服をつまみ潤んだ瞳で何かを訴え掛けるマンドラゴラ……いや、それだから余計食べづらい。
「こう貰われたがっているマンドラゴラも多いですしマンドラゴラは貰ってやって下さい、その分育てたマンドラゴラの収穫お願いします!」
「……わかりました」
「よかったです〜早速ですが明日お願いしますねぇ!明日昼頃そちらの宿に迎えに行きますので」
「?この辺の農地のマンドラゴラでは無いんですか?」
「この辺のマンドラゴラは全て収穫してくれたじゃないですかぁ〜、別の場所に植えてあるのでそちらを明日お願いしますねぇ」
カーヤはそう言いながらさてとマンドラゴラ煮の準備しますかとマンドラゴラと一緒に俺達の食事の準備をし始める。ベルは前払いで頂いた、5個も貰ったのだがこんなにいいのだろうか?2つだけでも用途として充分だ、1つはリアに渡しておこう。




