その後(3)
ユーリに魔法を教わるようになって数日。
ユーリも全属性魔法が使えるということがわかった。といっても火や水等は生活に役立つ程度の魔法力で、種別でいえば聖魔法が特化しているようだ。
そもそもユーリ曰く本来魔法は白魔法という原祖魔法があり、人族が魔法を使用できるのはその者の魔力値が高くその属性に特化した身体というだけであった。
本来属性魔法は理解が出来れば魔力値があれば誰でも覚える事はできるらしい。
「はあぁ〜、そんなこともわかんないの〜?レ〜ジ?」
ピコピコ耳を動かし、尻尾を鞭の様にしならせながら空中で胡座をかくユーリ。
呑気にフヨフヨと宙に浮くユーリの周りには白い靄の様なモノがくねくねと手足のように動いている。ユーリ曰く白き鎖と呼んでいる魔法らしい。自身の手足のように使用でき夜や霧が濃いところではほぼ見えることのない半透明な無数の触手といったところだ。発動状態も魔法の名前も知っていてもユーリ特有のスキルなのかなんなのか分からないがユーリの魔法を真似る事は出来なかった。最初は助けた恩義か『さん』付けだったが教えられる身になってからは段々と横柄な態度になっていた。
「僕の魔法使えなかったかぁ〜、やっぱこの魔法は難しいのかな…レージなら使えると思ったんだけども。ん〜じゃあわかった、レージが使える魔法全部いったん見してくれる?」
こいつ…調子に乗ってるなと思いながら火、水、風、土、氷、魔法袋、そして仕返しついでに時間を止めてコイツの顔に落書きをする。
「ん?」
時間が進みだすと顔に何かしらされた違和感をユーリは感じたらしく顔周りを気にし始める。そんなユーリをにやにや見ながら笑いをこらえつつ教えてあげる。
「ユーリ、自分の顔見てみろよ」
自分の顔といわれてユーリは自身の顔の前に水魔法で作った球体の水で顔を確認すると真っ赤にして怒りつつその水で顔を洗いまくる。顔を水浸しにした後猫らしい顔を洗う仕草をしながら睨み付けつつブスッとした声で聞いてくる。
「レージ、僕に何したんですか?」
「あぁ、時間を止めたんだ」
「え!?時間…ですか?ホントにですか!?」
急にユーリは興奮冷めやまない様子で俺の服を掴んで問いただした。なんだか分からない俺はあぁと一言言うとユーリは今までの中でとてつもなく可愛い笑顔になり…
「レージさん!凄い!魔王様の魔法まで使えるだなんて!僕の願いが叶うんだ!やった!もうこれからは尊敬の意味を込めてお兄ちゃんって呼ぶね!お兄ちゃん!ステキ!大好き!!!」
そう言ってユーリは飛び跳ねて喜びつつ急に甘えて擦り寄ってくる、急な変化に戸惑うがピッタリと身体を寄せてきて甘える姿は可愛い、だが男だ。
そんなこんなで少しとドギマギして甘えるユーリを振り解けないでいると買い物帰りのリアに見つかりドン引きされつつ怒って去っていく。
ごめん、リア違うんだ待ってくれ〜!!




