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その後


ファート領に監禁されていた奴隷は調査の結果殆どが誘拐され奴隷として売り出された人達であった為それぞれの親元へと帰された。

奴隷は基本罪を犯した者が落ちるもので誘拐した者を奴隷にする事は国の法律として違法、よってファートは逮捕され、領地の殆どが解体、王の元へと返還された。

またファートの屋敷の資料から奴隷を支持した者、ファートから奴隷を購入した者の大規模捜査がされることとなった。



「……というわけでな、レージお主は臨時でティエラ国の魔法師として依頼を受けてもらいたい」



ミラが言った。



「なんで俺が必要なんだ?」



「簡単な話だが奴隷の状態異常を治せるのがレージしかいないからだな」



「え?キュアポーションじゃあ効かないのか?」



この世界にはHP.MPのポーションと毒、マヒ、やけどなど状態異常のポーションその状態異常に万能なキュアポーションと多様なポーションがあり、てっきり利くと思っていた。



「効くかどうかも分からん薬を大量に買うより人一人雇った方が確実だと国が判断したのだ」



「なるほどね」



「国からの依頼といっても一時的にこの国に流れた奴隷を一箇所集めてレージが全員の魔法を解いてもらうだけだ、堅苦しい事は何もないし、レージの事がバレる事も無い安心してくれ」



「わかった」



「奴隷が集まるその日までここでのんびりしていてくれ」



「あぁ、ありがとうミラ」



ミラの仕事もこれで一段落できそうだ。俺達はそれまで羽を伸ばすことにしたのだが、その前に一つ問題があった。それは―――




―――――――――――



「助けていただきありがとうございました。ですが僕の故郷は………」



ユーリの事だ。ユーリの故郷は金の亡者な何処ぞの貴族様が難癖付けて襲撃し皆が散り散りばらばらに、ユーリ曰くユーリの種族はエルフと獣人族の混種族であり美しい顔立ちと動物の耳と尻尾を持つ愛らしさを持っていた。だが本来獣人族とエルフは仲が悪いわけではないが友好関係はなくそれ故に混種族のユーリ達は迫害され一つの集落を作って生活していたらしい。



「僕はこれから冒険者になりたいと思います、出来れば奴隷になった仲間を元の生活に戻せるようにしたいです。それでもしよろしければ僕をレージさん達のメンバーにいれてくれませんか?」



うるうるした上目使いでお願いするユーリ、そんなユーリにリアはすぐさま抱き着き頬ずりする。



「もちろんいいわよ!こんな可愛い子!!ね、賛成でしょ!?」



俺としてはリアと二人でいる方が楽しいのだが、確かに可愛らしい女のコだ。不思議な魔法を使うから強いだろうけど何かあってまた誘拐されたりしたら可哀想だしな…



「リアがいいならそうするか……」



「やった!ユーリちゃんこれからよろしくねっ♪」



「はいっ!リアさんっ!!」



「今日はお互いの仲深める為に親睦会ならぬ女子会しましょ!一緒にお風呂入って一緒に寝ましょうよ♪」



「いいんですか?僕……」



「いいのよ!全然!!ユーリちゃん可愛いから旅支度の準備にお買い物もしないとね!」


リアは凄く嬉しそうだ、まぁそうだよな…いって俺と知り合ってそんな長い仲でもないし女性同士の方が気が楽だよなぁ……とリアとユーリの仲睦まじい姿を微笑ましいやら羨ましいやらな遠い目で見つめる。

夕飯の食事中もリアがユーリにあ〜んして食べさせたりして俺はどんどん遠い目になる、あ〜あ、いーよなぁ〜俺って今凄く蚊帳の外だなぁ…と部屋のソファでゴロゴロしながら思っていた時。



「ギャーーーーー!!!!」



と悲鳴の後にドタドタと足音が近づいてきて、俺の部屋の扉が激しく開く。



「ユーリ!!ユーリちゃっ!!ユーリちゃんが!!」



「うわっ!お前なんて格好してるんだっ!!」



扉の方をみるとバスタオル一枚姿のリアが!思わず俺はソファから飛び起きリアを見ない様に顔を隠す。



「ユーリちゃんが男だったのっ!!!」



「えええぇっ!?ユーリが?男ってかリア!?服を!?」



混乱してとりあえず顔を手で隠す仕草をする俺に気付き自分がバスタオル一枚だと気づくリア。



「キャーーーー!!!!」ばちんっ



と叩かれる俺。痛い、謂れのない暴力だ。勝手にバスタオル一枚で部屋に入ってきてひっぱたくなんて酷すぎる………。俺はバタバタと逃げてくリアが居なくなるとハァと溜め息を付きソファに腰掛けた。

にしてもユーリが男だった?と困惑しているとバスタオルを巻いてこっちに来たユーリがいた。まだ男だと確信もないので思わず目を逸らす。



「いててて、いきなり僕をひっぱたくなんてリアさんは酷いことするなぁ〜、ねぇ?そう思いませんか?レージさん」



ユーリは自分の頬に手を当てながら白々しく笑いながら覗き込んでくる。俺は更に俯いて見ない様にしているとそんな俺の足元にしゃがみ込み顔を見ようとする。



「僕、胸全然ないでしょ?だから男と勘違いしたのかもしれません」



そう言って俺の頬に手を当てて無理矢理顔を見るように仕掛けてくる。



「そんなに僕って色気ないですかね?」



困ったような仕草で子首を傾げソファの上の俺を追い詰めるように跨り誘拐する、俺は動揺しながらも段々とユーリの姿に見惚れているとユーリは膝をついた形で立ち上がりいきなりバスタオルを外した。



「ま、男なのは事実なんですけどね」



そう言って俺をあざ笑いながらどっか行くユーリ。俺は悪ガキに騙されたんだと気付き激しく恥ずかしくなり両手で顔を隠し悶絶する。穴があったら入りたい……どっと疲れを感じそのまま眠りについたのであった。


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