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次の作戦(3)


 この子を解放してあげなければ―――


停止した時間の中で俺はユーリにキュアをかける。


そして時間を少しだけ解き様子を見ると首枷と手枷がゴトゴトと鈍い音を立てて床に落ち外れる。



「なっ!!」



ファートは驚きの声を上げ暗がりでも分かるほどに顔を青ざめた、手足は震えさせながらも少しずつ距離を取るように後退りする。



「………な…な…んで」



ファートの声はもう覇気もない掠れた声になる。ユーリは死んだ瞳に光を宿し首と腕にあった重い物が外れた事を何回か確認して………



「アハハハハハハハハァ!!」



狂気の笑みを浮かべた。

カクンと子首を傾げ、俺を睨みつけたかと思うと口はニヤァと笑みを浮かべてそのままくるりと後ろを向き……



「よくも散々僕を虐めてくれたなぁ………クズめぇ………」



とユーリはファートに毒づいた、ゆらりゆらりとファートに近づきファートはへたり込みお漏らしをしている。



「あ……あ……」



ファートが死んでは元も子もないので俺は時間を止め、ファートを縛り上げる。

そしてファートの前に身を乗り出しユーリを静止させる。



「待ってくれ」



「退いてくれ、僕はこいつをじっくり痛ぶりコロしてやるんだ」



「待って!やめてユーリちゃん!!コイツは法で裁くべきよ、それに私達は他の奴隷を解放しにきたのお願いだから力を貸して」



慌ててリアも止めに入る、ユーリは包んでいた怪しいオーラが消え臨戦態勢を止めたようだ。



「そうだねわかったよ。コイツは死よりも苦しい思いになる事を願っているよ」



ユーリが吐き捨てるとファートはより青ざめ、身体を限界まで縮こませて動かなくなる。そんなファートを蔑んだ目で睨みつけ髪を鷲掴み更にビビらせた後床に投げるけるように顔面を叩きつける。これぐらいで許してやるかと踵を返して俺に話しかける。



「付いてきて」



ユーリがそう言うと寝室の天蓋付きベットに付いている紐を引っ張るとベットがゆっくりと横に移動し地下へと続く階段が現れた。



「他の奴隷達は全てここにいると思うよ、あとコイツのわぁるい証拠の数々もね♪」



ユーリは俺にニヤリと微笑み魔法でライトの様な光の珠で地下を照らした。



「ユーリありがとう。リアはコイツを見張っていてくれ、それからモーリーに連絡を」



「わかったわ」



不思議な光で照らされた地下にはたくさんの牢屋、様々の人種の麗人が男女問わず牢獄されていた。皆虚ろな目をしているのでキュアを1人1人かけて治していく。

暫くしてモーリーが呼んだであろう衛兵達がぞろぞろと牢屋にいる奴隷達を保護、調査に入った、斯くして一連の騒動は呆気なく収束したのであった。


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