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魔法省


翌日、俺は宿屋のおばさんが言っていた大通りのつきあたりの場所にいた。



「……すごい」



つきあたりといわれた場所は風光明媚な場所であった。

確かにつきあたり、大通りの道はTの形に逸れていく。

そのつきあたりの場所にはは美しく装飾見事な噴水と噴水を挟んで左右にアーチ型の上り階段が、その先に見えるのは城だろうか、でかでかとした門が見えた。

Tの形にそれた左右の道先にある建物もそれは立派な物だった。


噴水の位置から見る姿は全貌を見ることは出来ないが噴水と相まってその城の美しさと風雅さを醸し出していた。



「……とそうだった、ここがおばさんの言ってたつきあたりのならこっちか」



左側の建物に近づく、建物の角に入り口があるおしゃれな作りだ。扉の上には魔法省と書かれているようだ、文字の言葉の意味が脳に何となく入ってくる。その文字を見て入り口前で少し緊張してきた。


よし、さっさと魔法使いの登録して終わったら観光でもしよう



そう心に決めて扉を開けるとこじんまりとしたスペースにカウンターがあり、そこには眼鏡を掛けた冷淡な面持ちの女性が立っている。その女性は革ばりの重々しい本を読んでいたが直ぐに止め、こちらに視線を移した。



「いらっしゃいませ、どのようなご用件ですか?」



「魔法使いの許可を取りたいのですが」



「そうですか。では、身分の分かるものお出し下さい」



「……これなんですけど」



…と、何気無しに魔法袋から身分証を取り出す。

カウンターの女性は受け取りながら問を投げ掛けた。



「………お待ちください、今何処から身分証出しました?」



「……と、この時空の歪みから……」



魔法袋の歪みに向けて指を指した。



「なるほど、そういうことですか。…発行場所は………カカの村ですか……少々お待ち下さい」



とカウンターから離れてしばらくすると戻ってきた。



「左側の扉、空いておりますので中へお入りください」



そういうとそちらへとカウンターの女性は促した。

扉に入ると廊下がカウンターと繋がっており、カウンターの女性がさらに奥の部屋へ案内する。



「どうぞ、こちらへ」



案内された場所は応接室のようだ、カウンターの女性が飲み物を持ってくる。少々お待ち下さいとどこかへ行ってしまった。

飲み物を飲みながらしばらく待っていると一人の年老いた男性が現れた。


一見、穏やかそうだが歳を重ねた分の重みがあるその姿の男性は優しげな口調で話しかける。



「私は、魔法省の総括、管理を任されておるラド=ハイドルフだ、よろしくレージ君」



そういって握手を求める。軽く挨拶を交わした所で仕切り直しラドは俺に尋ねる。



「単刀直入に言おう、君、村の者では無いだろう。だが此れは代表のラウル書いた身分証だ。どういうことかの?」



「……えっと……」


何でだ、ラウルさん。ラウルさんの書いた身分証出せば大丈夫だって言ってたじゃないか。素直に言うべきだろうか?



「えっと…ですね」



「……?…………どうした?別にやましいこともなかろう……おぉ!そうじゃった!すまんすまん。魔法省の者でもあるが儂はカカの村の村長だ、村長として話が聞きたい。」



「…へ」




「……で、どうした?何があったかの?」



俺は事の経緯を話した。



「……なるほどな、ゴブリンの襲撃か……。無許可の魔法で討伐と……」


「……ふむ、ま、よろしい。元々村の出身ということにして、そのゴブリンの襲撃で魔法の能力に目覚めたということにしよう」



そう言いながら何やらメモをとっている



「んじゃ、次は魔力の質を図ろうかの」



「魔力の質…ですか」



「うむ、本質を図るものだ。火はわかった、あと何か変わった魔法が使えるとか聞いとったからな、どんな魔法が使えそうなのかを図るのだ」



「たぶん必要無いと思います」



「何故かね」



「プロフィール画面に『全属性魔法使い』って書いてあるんで」



「ぷろふ……?とはなんだね、まぁ良いとにかく見させてもらおうかの」



そういって呼び鈴のような物を鳴らす、しばらくするとカウンターの女性がやって来た。



「あれを持ってきてくれ」



「かしこまりました」



軽くお辞儀してすぐさまあれという物を渡す。

金の宝飾がされた台座の上に半透明の水晶のような丸い物を持ってくる。



「これは魔道具(マジックアイテム)の一種で、手で触れるだけで、発光度合いで魔力の量を、発光した色で魔力の種類を解る代物だ。ほれ触れてみよ」



魔道具に手を触れてみる。すると七色に輝き出したかと思えばその光は混じり合い白く発光し、急に激しく輝きだす。そのまばゆい光に思わず目を閉じ、手を離す。離した途端に魔道具の水晶の部分は壊れてしまった。



「ふっふぉっふぉっ!こりゃ凄いのぉ!魔法使いの能力として充分じゃ…だがあの光の色は何の属性だか全くわからんの」



そういって魔道具を片付けさせた。



「おぉ!それからな、先ほど話した変わった魔法何だか…見してくれるか?」



「変わった魔法とは?」



「受付の女性に見せてただろう。身分証を歪んだ空間から出していたと聞いていたのだが、ちと見してくれるかね?それ以外に使える魔法も見してくれても構わんよ」



ラドはそういいながら好奇の目でこちらを見てくる。

魔法袋を使い、適当に物を出す。おぉっとラドさんから声が漏れる、これはどれだけ入るのか?機能は魔道具と同じなのか色々聞いてくる。


カカの村で貰ったパンを取り出して、入れた物はそのままの温度や形状で保存されていること。今の所どれだけ入るのかは不明であることなどを述べた。

フムフムとラドさんはメモを取り出した。ラドさんの質問は止まらない。魔法はまだあるのじゃろう?とニヤリと笑う。


どうやら、観光はおあずけの様だ。俺は諦めてラドとの時間を過ごすのであった。


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