ミラの依頼(2)
「ではモーリー、私とリアを守ってくれ!!
ミラはぱんっと手を叩きモーリーに指示を出す。
「かしこまりました、お嬢様。ささっ、リア様此方へどうぞ」
モーリーはティーセットの載ったトレーを片手で運びながら、スマートにリアをエスコートする。
ガーデンテーブルのチェアにミラは座り、モーリーに促されたリアも体面に座った。モーリーは紅茶を注ぎ優雅なティータイムが始まる、モーリーはこちらに目も繰れずに俺に一言。
「私の能力はもう発動しております、いつでもどうぞ」
なんだか知らないが凄い自信だ!俺は一定の距離を取り、目一杯の火の矢をモーリー達に撃ち込んだ。
何十本の火の矢がモーリー達を襲うがドーム状になった透けた黄金色の障壁が容易く攻撃を防いだ!
「じいちゃんっ……!すげぇっ!」
俺は思わず声が漏れる。火の矢の攻撃を止め俺は時間を止めた。
そして物理で攻撃しようとモーリーに近寄ろうと駆け出した!
……が俺は足を止めた。
時が止まった世界は色の無いモノクロの世界だ。
だがモーリー達の周りには明らかに金色のドーム状の結界があり、色の無かった世界を染めていた。
「……嘘だろ」
俺は結界に触れる、殴ってみる、びくともしない。
「……完敗だな」
時間を止めるのを解除し、その場にしゃがみこむ。
「……おや? いつの間にここへ? ……ふむ? レージ、私の能力はいかがでしたかな?」
モーリーはいきなり現れた俺に驚きはしたが、涼しい顔して少しニヤリと微笑んだ。
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「じいちゃんあれは凄すぎだわ」
俺はモーリーに結界の中に入れて貰い、リアの隣に座ってじいちゃんからもらった紅茶で一息つく。
「……この結界そんなに凄いの?見たところ風の結界と色以外違いが感じないんだけど……」
リアは紅茶を飲みながら辺りの結界をまじまじの見つめた。
「……リア、これには時空魔法が効かない」
「時空魔法って……時を止めてみたの?」
「あぁ、時間を止めて物理で殴ろうとした……けど結界だけは起動してた」
「へぇ~、レージの魔法って最強だと思ったんだけどねぇ……」
リアは感心しながらよりまじまじと結界を見ていた。
「ほっほっほっ!リアさんのような素敵なお嬢さんに私の能力が評価されるのは嬉しいですな!!」
そう言われたリアは顔を赤らめる。そんなリアのティーカップに紅茶を注ぎながら自身の能力について語りだす。
「私の能力は固有スキルというものだそうです。『守る対象にした者の側で強靭な盾となり、あらゆる攻撃も通さない結界生み出す』と書いてあります」
「ん?じいちゃん、書いてあるって?」
「浮いてる画面のような何かに書かれていました、私の情報が事細かに記してある様ですな」
「……それってステータス画面か?じいちゃん俺がしてたテレビゲーム覚えてるか?」
「テレビげぇむ……?あぁ、レージが幼少の頃何なのか分からずプレゼントしましたがピコピコ熱中して遊んでましたなぁ……あの頃のレージは可愛いかったですねぇ……今も可愛いですが」
モーリーはそう言って熱視線を向けてくるがスルーして問いかける。
「そのピコピコしてた時にテレビの画面で似たようなの見なかったか?」
「ふむ……あぁ!確かに似ていますね!……なるほど、ステータス画面というのですか……」
「俺は使えなくなったけどね」
「何故使えなくなったのですか?」
「なんかここに来て1ヶ月もしないうちに神さまからメールが届いて、一定期間が過ぎたから今後使えないとか書いてあって使えなくなった」
「そうですか……私はこちらにきて軽く1ヶ月越えてますがその様なメールは来ていませんね。便利な物なので消えて欲しくはありませんねぇ」
「そうなんだよなぁ……便利だったんだよ」
モーリーはどうやらステータス画面の利便性を感じていたようだった。モーリーのステータス画面は消えて無いようだ、凄く羨ましい。




