セルディア王国
「それじゃ、魔法使い様私はこの辺で」
俺は帽子のおじさんと別れを告げ、とうとう王国に着いた。
セルディア王国……魔法での犯罪・暴挙の最中、最初に国で魔法を保護・管轄をし、国ごとの管理を求め同盟を行った国である。
今では火属性の魔法を受け持ち、安寧を願う民に優しい国だ。
帽子のおじさんから聞いた通りで、王国に入ると賑わっていて皆とても綺麗な国だなと思った。
ソワソワしてまるで田舎者の様なその動きであちらこちらの店を見回ってみたが日はすでに落ち、店もちらほら閉じていて、長い馬車での移動疲れもあったので仕方ないが早々に宿へと向かう。
これまた帽子のおじさんが話していたオススメの宿だ。
扉を開くと喫茶店のようなスペースに旨そうにご飯を食べている人がちらほら、奥にはカウンター、人柄良さそうなおばさんが迎えてくれた。
「いらっしゃい、旅人さん。お一人ですか?」
「はい、あと食事もお願いできますか?」
「はいよ、銀貨2枚と銅貨3枚ね。左手の階段からあがって奥の部屋に泊まってね。ご飯はすぐに食べていくかい?」
「お願いします」
「じゃあ、そこの空いてる席で待ってておくれ、すぐ作るからね」
そういって、カウンター裏のキッチンへ向かう。
しばらくしてご飯が出てきた、ピラフのような炒飯とそれを覆うでかでかと焼かれた股のチキン、香ばしい匂いが食欲をそそる。思わずがっつく。そんな姿を見て笑うおばさん。
「そんな急がんでも、誰も盗んだりしないだからゆっくり食べなさい」
「すいません、美味しいんで…(ごくん)つい」
「それよか、あんたまだ若いよねぇ、まだ大人の年でも無いだろう?一人で旅とか大丈夫なのかい?」
「カカの村から来た者です、魔法使いになったのでここに来ました」
「あぁそうなのかい、じゃあ安心だね。魔法使いの登録は大通りを真っ直ぐ行った突き当たり左にある建物だよ」
「ありがとうございます、助かりました」
「いいのいいの、それじゃゆっくりしてってね」
そういっておばさんはカウンター裏へ。食べかけの飯を食べながら飲み物を手に取り、ゴクリと一口。
やっぱり、氷は入ってないか…
せっかくの美味しいご飯だが、出された飲み物はカカの実ジュース。温くてはせっかくの美味しさが損なわれる。
こそっと飲み物のグラスを手で覆い隠し、氷を唱える。
ポチャリ…と飲み物に氷が2つ、やはり食事時に冷たい飲み物は美味しい。
異世界に来てまだ数日としか経っていないがもう不便さを感じていた、やはり便利さは前の世界の方が断然良かった。
俺は食事を取りながら考えた。
魔法で円滑に出来ればいいと思っているが、その為には許可を取らなければ、無駄に捕まってしまう、ほんと洒落にならない。
森にいた時に暗くなるまで魔法の練習をしていて良かった、おかげで氷の入ったジュースが飲める。
最初は大量に氷を生み出したりデカい氷を出してしまったりと酷かったが森で暇潰しに練習したり色々唱えたりしてたのは間違いではなかった…
そしてふと気付く。
……思えば、もし森で迷ってなかったらあんな数のゴブリンに勝てたのだろうか?…すんなり村を見つけていたら村で魔法の練習なんて出来ない。コントロールが出来てない魔法で勝てたのか?
段々の食事の味をしなくなり不安に駆られたので早々に食事を終え、氷と共に飲み物を飲みきって部屋に戻る。
明日は魔法の登録だ、登録は直ぐに済むのだろうか…無事に終わるといいのだが…
ボーっと不安を抱えてベッドの上で色々考えていたが、今日の疲れで直ぐに眠りについていった。
説明が無かったので補足。
カカの実は異世界産りんごといったところ。
見た目は赤い洋梨ですが
味はりんごにマンゴーが混ざった感じです。
アップルマンゴーよりアップルな果物といったところ、甘くて旨い。
次の話は3日後更新にしますが、書けたら直ぐに投稿します。