地の国 ティエラ
地の国、ティエラ……同盟国の一つ、地の魔法とそれに属する植物の魔法を受け持つ緑豊かな国である。
ティエラの国が納める領地は全て緑豊かな土地であり、それ故に魔物による害獣被害が多い為、ギルドの活動も盛んである。
又、ティエラの国は蔦で覆われていたドーム状になったその建物はかつて国を守る為の壁に覆い被さるように蔦が伸び今の形になった。
文献に書かれた内容を覚えていたリアは自慢気に説明したが、実質行ったことも無い国。国に着けば、あまりの美しさに言葉を失った。
這う蔦は天井を包む様に育ち、直射日光を防いでいる。蔦の隙間から差し込む太陽の光がスポットライト様に大地や、建物や、道行く人を照らしている。そして時折蔦の葉がハラハラと落ちてきて美しく、それはそれは前の世界では観たことの無い幻想的な国であった。
「宿でゆっくり休みたいところだけど、登録すぐ済むからギルドに寄ってかない?」
リアに言われてこの国に来た目的を思い出した。当面の目標は生活基盤を整える事だ。もちろん指名手配されている事も分かっているが、それ以前に金銭面は良くない。
ダンジョンのお宝があると思うが宝石としても装飾品や武器に関してはあまり売りたくは無いのだ。
何故かと聞かれたら俺は特殊効果の付いた装備品、魔導具が混ざっているのでは無いかという事だ。
一般人には付けてみるしか調べる方法は無いのだろう。
もちろん俺も転生者だからといってもその物を調べる能力は無い。
……いや、チュートリアルで存在していたステータス画面が存在していればアイテム欄から情報を見ることが出来たが今はもう使えないから確認は出来ず、俺も一般人と同じになったと言える。
故にむやみにダンジョンのお宝は手を出したく無いのだ。
だが残念ながらかつかつな俺は、ダンジョンで手に入れたお金は将来の投資として使用することにした。
……ま、色々有りすぎたからな……
隣を見ると指名手配犯といるとは思えないほどリアは喜んだ表現で並んで歩いている。目は合ってはいないが「へー近くの国とはいえ全然雰囲気違うのね」と無邪気に笑うリアを見ていると自分が追われている人間だと言うことを忘れてしまいそうだった。
目尻が下がり笑みが零れる、あ、目が合った。
思わずバッと目を反らす。考えてみればかなり見つめていたかもしれない、バレただろうか?やっぱりバレてるだろうか。
恥ずかしい気持ちを誤魔化す様に前を見ると、気が付けば目の前にギルドの建物が見えていた。突き出た看板に狼の様なマークが描かれている。
「あっ、あれよ!行きましょっ♪」
リアはグイッと腕を組んだ形で早足で強引に引っ張り連れていく。
「や、分かっているって」
俺はいきなり引っ張られた拍子に転けそうになりながら慌ててリアと一緒にギルドに訪れた。
ギルド内は予想通りに装備をしっかり着た男達ばかりだった。
そんな男達には似合わない綺麗なギルド職員と思われる人がカウンター越しに笑顔で出迎える。
ジロジロと視線を感じる中、カウンターの女性へと向かう。
「いらっしゃいませ!初めての方ですね!」とはっきりとした声で対応されたが俺は人の視線に吐き気を覚えて辛くなっていた。
そこまで考えが思い付かなかった、俺は人の視線が苦手というレベルを越えるほど弱かった。突き刺さる視線が痛い、奴らはきっと俺を見下している。やめろ、見ないで欲しい。前の世界での記憶がフラッシュバックして俺の顔から血の気を引かせる。
「大丈夫?顔色悪いけど」とリアが心配する中、カウンターの女性から貰った用紙に自身のサインと能力を記入する。
……と、あぶねー。危うくレージと書くところだった!
完全に他事考えていた俺はハッと気付くと記入欄にそのままの名前を書きそうになる。……がもう『レ』と記入した後でカウンターの女性の前では急に偽名も思い付く筈もなく……
「ご記入、ありがとうございます!! リア様とレジ様ですね!!」
隣でぷぷぷと含み笑いするリア。や、俺だって嫌だよ…けど他に思い付かなかったから……クソ、先にしっかり考えておけばよかった!!
後悔先に立たず、この名前で一生使用することになった、誠に残念無念である。少し落ち込んでいるとまぁまぁとリアが肩をポンポンしてくる……リア、知ってたよね? 本名書いたらヤバい筈なのに何で事前にっ! ……いや、注意しない俺が悪いよなぁ……
テキパキと作業したカウンターの女性が俺達のギルドカードを渡してきた。
シンプルなカードで色はクリーム色、狼のロゴが右上にあり、名前と自身が使う能力が書かれている。
俺の場合は『レジ』『剣士』だ、リアは『リア』『魔法剣士』となっていた。
「これがギルドカードかー! シンプルで可愛いわね!」と喜ぶリアはふと何かを思い出したかのようにカウンターの女性に耳打ちをする。……するとカウンターの女性は裏に急いで消えていき、暫くすると戻って来るタイミングで眼鏡をかけた別の男性職員であろう人が此方へと奥の部屋へ案内してきた。
俺が疑問に思っているとリアはまた俺を引っ張り一緒に案内された部屋へと行った。
その部屋はローソファと絨毯が敷いてあるだけのシンプルな部屋だった。




